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日本のFWはとにかく全部を求められる

 ツーロン国際ですが、チリには負けてしまったそうですね。
 まぁ、ここで負けておくのもタイミング的には良かったんじゃないでしょうか。



 さて、フランス戦後の反町監督のインタビューを今さらだけど少し取り上げてみます。
(今でこそ批判の多い反町監督だけど、五輪監督になるまでは知的で面白いことを言う監督として有名だったはずなんだけどな。)


――森本選手が初スタメンだったが評価は?
 まだ日本のやろうとしている方向性にうまくインプットできていない、というのが正直あると思います。しっかりボールを収めるところで収めていれば。それはやっぱりこれからの課題になると思います。森本らしいゴールといえば森本らしいゴールかもしれないので、それはよかったんじゃないか。彼にとって得点できたことは非常によかったと思います。
 セルヒオ(エスクデロ)も、今日は(岡崎が)けがということで出てきましたけど、あれぐらいの力を出せることは分かりましたし、いい競争相手になるのではないかと思います。
――「日本のサッカーの方向性にインプットできてない」とのことでしたが、そこをもう少し詳しく
“日本のサッカーの方向性”というか、海外のサッカーも同じような方向性にあるのかもしれませんが、今はもうセンターフォワードは点を取れればあとはもう何もしなくていいというわけではない。
 言い方が難しいんですが、チームの一環として守備の組織でしっかり仕事をする。それと足元でボールをもらうだけじゃなくて、動きながらボールをもらう。チャンスメークもできる。ゴールゲットもできる――たくさんの仕事があると思うので、与えられている仕事をどんどん増やしていくことが大事でしょう。もちろん時間がないのでゲームを通じてやることになるかもしれませんが。(スポナビ)
 話していること自体は目新しいものではないのかもしれませんが、重要なのは海外に比べてどうかということ。
 海外より日本サッカーの方が万能型のFWを求める傾向にあるというのであれば、なかなか興味深い話しですよね。

 そして、ラス・パルマス所属の福田健二も以前このように話しています。


スペインでは、僕にドリブルなんか求めていないですから。とにかくゴール前にデンと構えて、そこでゴールを狙ってくれと。ヌマンシアでは、前で競り勝ったり、クロスのボールに対してDFの裏をかいたり、といった動きも要求されましたが。でも日本だと、ドリブルもできて、ポストもできて、シュートもうまくて、とにかく全部を求められるんですよね。
――なるほど、オールラウンダーよりも、むしろスペシャリストが求められるんですね。(スポナビ)
 反町さんの言うように、イタリアで頑張っている森本も同タイプなのかもしれません。

 


 こういう話しになると、「こんなんだから日本にいるFWはダメなんだ」という話しになってしまうかもしれないけど、私はそういうつもりはありません。
 日本では逆に考えると得点を奪う能力に飛び抜けているFWがなかなか産まれないから、万能型FWを活かす方向のサッカーに日本サッカーが進化していったのかもしれません。
 そして、それはもしかしたら日本人の特性を活かすという意味では、良い方向での進化といえるのかもしれません。
 

 オシム監督などはFWに得点を求めない分、中盤の選手でもサイドの選手でもゴールを奪えるトータルサッカーを理想の形として掲げていたわけで、日本サッカーが全体としてそういった方向に進んでいるかもしれないのですから。
 もしかしたら、そういった進化の道を進んでいたこそオシム監督は日本とジェフを選んでくれたのかもしれません(あるいはトータルフットボールを理想と掲げるオシム監督がジェフで成功したのも、そういった背景があったのかもしれない)。

 
 万能型FWをどう判断し評価するのかこそが、『日本サッカーの日本化』を考えていく上で、1つの重要なポイントになるのかもしれませんね。
 もちろん得点を取る能力に特化したFWを、蔑ろにするわけではないですけど。