普天間問題その後と、その片隅で起きていたブクマでの一コマ

えっと。ブログさぼり中。
まとまった文章を書く気力が起きないのだ。ツイッターの性だ。

さて菅直人政権に移行してなんとなく頓挫中の普天間基地移設問題。

徳之島訓練移設では、今月21日に民主関係者が島に来るとかなんとかで、密かに進行中な模様です。

â–¼http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20100612ddlk46010599000c.html
鳩山由紀夫前首相が辞任を表明した翌日の今月3日。徳之島のある町議に民主国会議員秘書から電話があった。「21日に島に入る。一緒に回ってほしい」

普天間問題はとにかく手順悪過ぎだったうえに、鳩山政権内のコンセンサスがとれなさ過ぎており、それぞれ勝手に動き回ったり、個々の思惑がマスコミにだらだらと流れ、それを元に記事が書かれることで混迷したり、つまり政権内でのすり合わせが全然出来てなかったのが一つの要因ではあったと思う。政調置けよ。ということで菅内閣は置いた模様。

徳之島の流れがいい例だが、実際的でない理想家の弱さが反映されてしまったと言える。

▼普天間期限、「半年短かった」と鳩山前首相 大ざっぱな判断
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100611/stt1006112235016-n1.htm
 鳩山由紀夫前首相は11日、テレビ朝日のBS番組収録で、辞任の要因となった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題で、決着期限を5月末としたことについて「今考えれば半年は短かった」と後悔まじりで振り返った。

 鳩山氏が期限を切ったのは昨年12月。「5月末」とした理由に関しては「どこまで延ばせるか考えた。沖縄も米国も1年(待つのは)は無理だから、その半分で5月末と言った」と、極めて大ざっぱな判断だったことを明らかにした。

 移設候補地は当初、米領グアムが最適と考えていたが、「抑止力も必要」として鹿児島県の奄美大島や徳之島を模索。「徳之島に狙いを定めた時期もあった」と明かした上で、4月ごろから沖縄県名護市辺野古にしかないとあきらめたとした。

 米側の姿勢については「最後は辺野古と踏んでいた。非常に固かった」と指摘。「外務省や防衛省も『最後はここしかない』との思いがあった」と指摘した。

「腹案」という言葉で濁していた辺りの潔くなさ加減も不信に拍車をかけていた。
「グアム移転」を目指していたならば、強力な抵抗が予測されても腹を据えてそれを公言しやればよかった。正直、私の個人的な意見では国際情勢の現実を鑑みて一足飛びにそこに行くのは難しいことだろうとは思う。しかし、理想家なら理想を最後まで言い続けてもよかっただろうに。それを前面に打ち出し、ものすごい抵抗にあって、結局挫折していたなら支持はあそこまで落ちなかっただろう。社民が離反することもなかっただろうに。今となっては沖縄住人は「嘘つき内閣に裏切られた」と思うだけだ。

グアム移転が難しくなり徳之島と決めたその道行きでは、徳之島に対する不誠実さが、島民の反対運動に火に油を注ぐ羽目になった。

徳之島基地移設を決めるにあたっての政府の説明不足。地元住人の声を聞かず、勝手に決めるに到っては「ファシスト」の手段としか思えない。沖縄の負担軽減したいという思いやりを見せながらも、一方では徳之島住人にはウムを言わさず飲ませてやる的姿勢。「札束で顔をひっぱたく政治はやらない」と谷垣に豪語したにもかかわらず、徳之島の振興政策をちらつかせる矛盾する内閣。誰が信用しろと?

徳之島は地理的にも沖縄に近く、近代から第二次世界大戦後まで、沖縄と同じ辛酸をなめた経験もある。沖縄問題を身近で知っているから心情的に沖縄を理解しやすい。だから話の持っていき方によっては受け入れを呑んだ島民も出たかもしれない。しかしそれすらぶちこわしたのが鳩山であった。

▼ゆかりの人たちが見た「なるもんじゃない」首相の8カ月
http://www.asahi.com/politics/update/0603/TKY201006030003.html
 発言の軽さが国民の不信感を招き、命取りとなった鳩山由紀夫首相。しかし、じかに接した人たちの目には、思ったことを口にする裏表のなさが魅力と映っていた。政権内部、米国・沖縄……と立場の違う相手をまとめ切れず、疲れ切った末の退場劇。「もう少し長い目で見ないと、何も変わらない」と口々に惜しんだ。

 作曲家の三枝成彰さん(67)は4月26日、東京・虎ノ門のホテルで、鳩山首相と夕食を食べていた。

 「本当は話はついてたんだけどなぁ。おかしいなぁ」。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関し、首相がボソッとつぶやいたのが印象に残っている。「腹案」の鹿児島県徳之島や沖縄県で大規模な反対集会が相次いで催された頃だった。

 北海道で初めて会った時の印象は「政治家特有のギラギラ感がないな」。隠しごとなく思ったことを正直に話すところは、首相になっても変わらなかった。普天間問題では、そこで足もとをすくわれた、と感じる。「政治家はウソつきでないといけないのか」とすら思う。

「ウソつきでないと」などと言ってる時点で既に駄目である。嘘つきかそうでないかなどは問題ではない。問題は赤で記した箇所。現状認識不足。情報認識不足である。

徳之島と話などついていなかった。「話がついていた」のはごく一部の利権乞食との勝手な約束のことであり、島民のほとんどは寝耳に水の話であったのだ。だから反対問題が急速に盛り上がった。そんな話聞いてもいないのに何故?という驚きは他の島にいる私にも伝わって来たほどだ。何処に話がついていたのか?腹心を現地に足を運ばせ情報収集する知恵も回らない政治家っていったいどーなんだ?こういう人物が恐ろしいファシストになるんだろう。

基地が来ると言えば誰だって不安だ。反対するのが当然で、だからタウンミーティングを重ね、意見を聞きながら、不安解消の為の具体策を考え、またお願い説明をするという地道な努力の積み重ねしかないのだが。誰かが動いてくれるのを待つ、小遣い貰えるみたいな感覚で天から降ってくるのを待ってるんじゃナニも進まん。

しかも鳩山さんの軌道修正後、まだ民主内部でグアムテニアンなどと念仏のように唱えているのがいたので、足並みもそろわない。かように鳩山氏の政策方針の足を引っ張る始末に到っては内閣内部が破綻していたという感しかない。

結局、辺野古、徳之島と言う「日米合意」を背負わされ、沖縄のみならず奄美まで基地が拡大しただけで終わった。合意を出した以上民主政権はそれを履行しなくてはならず、沖縄との約束不履行という矛盾のなかで沈没してしまった普天間基地移設の経緯に暗澹たる気持になってしまう。

私は徳之島辺野古移設反対(普天間は当然撤去が前提)を表明している。それが東アジア軍事バランスから鑑みて、或いは軍事拡張国家の中国や北朝鮮の軍と政治の関係性の不安定さがある限り現実的には無理であるかもしれないとは思いつつも、いつかは実現させて欲しいゆえに、敢えて反対派に与したい。

離島の振興は、沖縄では基地補償の、奄美群島では奄美振興という金ばらまきによって経済の発展を阻害されて来た。徳之島の建築業者の「基地が来たら10年は食える」という認識。そのような短期的な経済しか考えることが出来ない体質は改善していかないと駄目だと思う。建築関係は大変だと思うが、ハコモノ的なものではなくなにか別の道を探って欲しい。

追記

タイムリーな記事が日経にあったんで貼っときます。

▼「基地経済」からの離陸(上)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100609/214851/?P=1

◆◆

ところで、普天間問題に絡んであるブクマカさんが批判されてましたです。

○dj19の日記
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20100608/p1
■「沖縄の人とともに」と言いながら反基地運動家を在特会呼ばわりかよ

発端はid:nohohonn68さんのブクマ

nohohonn68 菅内閣、民主党, 安全保障, 沖縄 の中でも基地被害に遭っていたり基地を頼りに生活している人達と伴にありたい/一部の犯罪者をもって米軍出て行けという人も一部の犯罪者をもって在日出て行けという人も排外主義者であるのは一緒だ。近親憎悪の関係 2010/06/08

いつも離島や過疎地での地方問題にブクマしたり、星つけたりしているnohohonn68さんが、怒られていたんでちょっと気の毒になったが、確かに上記のブクマ発言は誤解される。
その辺りはdj19さんの批判やid:Elekt_raさんの批判は妥当で、この短い文書から受ける印象が基地反対派に対する偏見めいたものを感じてしまうのは仕方がない。

確かに例えばツイッターの普天間基地問題関連つぶやきを読んでいると、過激な応酬が多く、驚かされる。反対派も反対派批判も議論の過程でどんどん過激になっていき、しまいには売り言葉に買い言葉レベルでの応酬になっている。日の丸つけた本土ナショナリストに対し、沖縄ナショナリストが対本土レイシズム発言をしている始末である。もっともこれらはその流れでのカウンターでしかなく、沖縄人の感じているワジワジ感が凝縮されただけに過ぎないのであるが、真に受けるとぎょっとしてしまう。煽る方もわざと怒らせる発言をしていて建設的ではない。こういうのをいきなり読んだら、いささか認識は狂うかもしれない。喧嘩の途上の単純化されたカウンター言論なのだがマジに受け取ると「まぁ!過激!」となってしまいそうだ。

ブクマにしても、ツイッターにしても字数制限の中での発言は誤解されやすい。

で、弁明として書かれたブログ記事・・・

○のんぽり日記
http://nohohonn68.blog27.fc2.com/blog-entry-2.html、
http://nohohonn68.blog27.fc2.com/blog-entry-4.html

を読む限り、基地反対運動の実態をイマイチよく理解してないのかな?と。ポジショントーク的になってしまっていて、沖縄の問題を実は消化しきれてないのかもしれないとは感じた。

多くの方が指摘しているように、架空の基地反対派が描かれているに過ぎなく、それは例えば、基地反対運動が起きると即座にプロ市民が〜人数水増しが〜などと言い出す、脊髄反射的な批判と似たような光景で、こういう場面に出くわすとげんなりしてしまう。徳之島反対運動でも、サヨクプロ市民が〜などというのが掲示板などにちらほらいてちと苦笑した。あれ、保守ごりごりの自民の徳田毅が音頭取ってたのに。まぁ基地問題では島民はそのようなイデオロギー立場ではなく、単純に生活に直結して思考してるので、××派のプロ市民が〜などとやられると困惑しますな。党ではなく、島のこと考えてくれる方を支持するだけなので。

ただ、沖縄問題が抱える矛盾構造、つまり日米安保見直しか、抑止としての必要悪(米軍受け入れ)かという難しい問題、つまり私自身もすっきりと「海外移転が一番いい!」と言い切ることが出来ないもやもやを抱えているので、nohohonn68さんも同じようにそういう自身にある矛盾感を消化しきれずにいるんじゃ?と読んでいて感じた。

で、前者の基地反対運動の実態において「米兵犯罪問題」が取り沙汰されたごく最近の記憶では保坂展人さんのブログがある。

○保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/95d8de18a8b1bbe55fa0c0daa805e533
▼沖縄の「米軍等の事件・事故」は年間1000件の衝撃

保坂さんは単に犯罪が多いんだと驚いただけで、犯罪組織とレッテル貼りをしていたわけではないのですが、これに対するブクマなどを読んでいて色々妄想が飛んでしまったんじゃないか?と。

http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/95d8de18a8b1bbe55fa0c0daa805e533

米軍基地の兵士犯罪、事故については確かに基地反対の引き金となった事件のことなどもあり、当然関連はあるだろうが多くの問題の中の一つに過ぎない。寧ろそれは地位協定に繋げ、考えなくてはならない問題であるし、また沖縄の人々は一部の米兵の素行の悪さは問題としてはいても、反面米軍関係者との交流もあるわけで、彼らや、或いは沖縄をよく知ってる人でアメリカや米兵を十把一絡げにしたレイシズムをいう人は出くわしたことはない。
またこっちの地方局では一部の米兵の悪さのニュースとともに、努力中なニュースもよく流れて来る。先日は米軍が外出禁止令出して軍内の引き締めをしていたが、お酒飲みにもいけなくてフラストレーション溜まるんじゃ?とちょっと気の毒になった。

普天間基地の問題は一筋縄ではいかないから、難しくはある。しかし、物事を単純化せず、色々な方の意見を読まれた方がいいとは思う。沖縄の問題を考えようとしてくれているだけに、頑張って欲しいかな?と。