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「はやぶさ」カプセル回収状況の報告記者会見

日時
2010年6月14日(月)14:00〜
場所
主会場:ウーメラプレスセンター(JAZZA Complex)/テレビ会議接続:JAXA相模原キャンパス研究管理棟内会議場
内容
小惑星探査機「はやぶさ」カプセル回収状況について/質疑応答
説明者
長谷川義幸執行役

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回収地点のGoogle Map画像が配布されました。「カプセル着地推定地点:南緯30度、東経135度」

参考:JAXA|ヘリコプターから撮影したカプセル本体の画像について
http://www.jaxa.jp/press/2010/06/20100614_hayabusa4_j.html

記者会見が始まろうとするときウーメラの長谷川執行役に電話がかかり「はい、ヒートシールド発見」と。「じゃあほとんど近くにあったのね」とのこと。

概要説明(長谷川執行役)

※時刻は断りがないものは日本時間です


夕べカプセルが発見されヘリが向かった。ビーコンを元にカプセルを発見、写真を撮影(既報)。その様子から、ちゃんとパラシュートが開いたことを確認できた。

日本時間8時ごろにヘリがアボリジニの代表者と共に向かい着陸許可を得た。カプセルから500メートル離れたところに着地すると決まり回収隊を載せたヘリが12時18分ごろ出発。

12時53分現地到着。カプセルから離れた許可地帯へ着陸。20メートルほど離れた安全距離に近づく。

アブレーター(熱防護シート)発見、14時。カプセルからそう離れていない場所。

配布物の説明。カプセル着地場所について。「カプセル着地推定地点:南緯30度、東経135度」。ウーメラ村から北西の方向。グレンダンボとクーパーペディの中間地点近く。予想から1キロ離れていない地点に着地していた。

今後の予定。

カプセル回収メンバーはピストン輸送で移動中。カプセルがウーメラに届くのが夕方。RCC内クリーンルームへ移動。翌日輸送準備が行われる。

ヒートシールドについて。

予想以上に早く発見できた。どうするかRCC内メンバーが検討中。(回収の段取りのことと思われます)

(質疑応答、ウーメラから)

回収メンバーは何名か。

トータルでのべ16人。実人数は10名程度。

ヘリは6〜7人乗り。4人ずつくらいしか運べない。6回ピストンで往復。最初は2人移動。次にカプセルのことがわかる人/IHIや研究者を移送。など。

共同通信:回収作業の内容について

カプセルの様子、衝撃でリークがないかなどを確認。次にカプセルの土壌を処理しコンテナに入れる。コンテナを閉じる。サンプルがどこかに行ってないかなどを確認。亀裂などがあれば入れ込む(?)。

クリーンルーム内できれいに二次処置をして運送。

毎日新聞:カプセル発見、回収は順調だが川口先生のご感想は

川口:思いかけず…予想外にというとまずいですね、理想的に進んでいて信じられないというのが正直なところ。

ビーコンの発信停止からするときちんとパラシュートが開いたことがわかっているし、カプセルの様子は写真で見た限り健全のようだし計器類も問題ないようだ。かなり良好な状態と想像している。

ヒートシールドが近くで見つかるということは上空の風も少なかったのだろう。風の懸念は外れてすぐに見つかり非常に喜んでいる。

カプセルの移送スケジュールについて

17日に発送、18日の早朝に羽田に着く。詳しいタイムスケジュールはセキュリティ上明かせない

初期分析はどのくらいで完了か

川口:理想的にすめば1か月程度で内容物の点検ができるだろう。中身は微粒子であるため打ち上げ時に混入したものもあるだろうから分別が必要。最終的な結論には数か月から半年ほどかかるだろう。

山田(作家):オーストラリア側の友好的な協力が感じられた。彼らの喜びの声や彼らへの感謝を

テストレンジなので厳しいことは厳しいが、ものすごく親切にしてくれた。日本人並みの気配り。日本への好意がベースにあり、かつ科学技術への意欲も高い。オーストラリアの人にとってわくわくすること。

オーストラリアとの将来の協力関係も含めた意気込みがあるのだろう。

成功したので、すごいものを一緒にやれたことを喜んでいた。さらに続くことを喜んでいた。

(相模原へ)

読売新聞:回収ヘリはどこから出て現地まで何分くらいかかるのか、往復回数の詳細

ヘリはウーメラのRCC(Range Control Center)から一時間弱で現着。RCCへカプセル入りのコンテナを運ぶ。

ヘリが飛んだのは6回、3往復。

(3往復でカプセル移送を含めた全作業が終わるということか。)→その通り。

産経新聞:カプセルのリークなどはあったのかなど、カプセルの状態について詳しく知りたい

こちらにもまだ情報が届いていない。

共同通信:熱防御シールドは日本に戻るのか。戻るならいつ。

ヒートシールドも日本へ持っていく。一緒に戻るかは検討中。

日経新聞:コンテナはどんなものなのか。コンテナはIHI製か。

川口:コンテナは窒素ガスで封印する。コンテナはリチウム電池や火工品がついたままでも航空機で輸送できる基準を満たしたもの。

ただカプセルが壊れていなければ電池は容易に外せるようになっている。火工品も発火されていれば同様。

サイエンスウィンドウ:発見から回収を待つ間の心境は。カプセル内に地球から持っていったものが入っている可能性があるということだが完全な除去はできなかったのか。

ヒートシールドが見つかるまでビーコンの解析をしていた。パラシュートを開くものではないのでそれを考慮してヒートシールドの場所を解析。

(川口)クリーン度を管理した中で作業をしてきた。が完全を保証はできない。板を置いて標本としてとっておき、それを見れば混入があればわかるようにしている。スターダストなどのサンプルリターンでも同様で、地球から持っていったものを混入させないことをキュレーション(前処理)といい、標準的なプロセスを行っている。すでに行われた成果を反映させている。

東京新聞:火球が予想以上に明るく見えたとのことだが原因はわかるか。

再突入時になにかが燃えるなど発光源があったのではという推測。はやぶさがばらける中で爆発したような光が見えたという話もあり、燃料の一部が発火したのかもしれない。詳細は解析中。

我々の後ろに影ができるくらい明るかった。

(記者会見は以上)

記者会見後のぶら下がりから、川口先生のコメント

  • 現地での回収でも周囲のサンプルを採る。カプセルの中身の解析に役立つかもしれないから。
  • ヘリが飛ぶ時刻に合わせてビーコンを出すようになっている。
  • 回収にはNASAのスターダスト回収経験者も同行。スターダストのときの経験からアドバイスを求めた。
  • コンテナはカプセルとほぼ同じ大きさ、抱えられる程度。規格がある汎用品。
  • ヒートシールドはこの短時間でよく探せたものだと思う。
  • カプセルの耐衝撃性能は十数メートルから落ちても大丈夫なくらい。(下に岩とかあれば変わるかもしれないが)パラシュートがきちんと開けば問題ないように。

ここで井手酒造の「虎の児」に、「川口酒造」などのパロディを施したラベルを先方が届けてくれたというのでプチ撮影会。

虎の児を選んだ理由は、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」、現地へ突入して初めて得られるものがある故事にちなんで。

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