シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

自滅する地方 静岡編 その1

ども、元祖ニセ外国人のシートンです。

今年の課題、地方問題について述べていくことにしますね。今回は地元静岡県の県都、静岡市についてです。
静岡県内では浜松と対照的に扱われる事の多い静岡市ですが特徴があります。それは、地方都市としては例外的に中心街が栄えているということ。スプロール化が進みすぎてゴーストタウン化し始めている浜松市、そしてそのうちに取り上げますが、磐田市、袋井市、掛川市、菊川市、島田市、藤枝市、焼津市、清水市、富士市、沼津市らの様相とは異なる状況にあります。単純な人口規模で云えば、浜松市と静岡市は大きな差がありません。しかし、街の賑わい自体はまったく違った状態です。その差はどこにあるのかについて述べていきます。
一方で、静岡市の状況は、けっして行政の先見の明によるものではありません。なぜなら、行政施策は静岡市の長所を潰そうとしているからです。その「自滅策」についても、述べていくことにしましょう。まずは、静岡市の中心部、静岡駅から徒歩5分。伝馬町のスクランブル交差点「109」前の風景です。



駅から歩いてすぐ、という利点ゆえか自動車を利用できない中高校生の姿を多く見ます。正面通り奥には「丸井」もあるため、人通りが活発です。そして、休日にはこの奥の通りはトランジットモール(=「歩行者天国」)となります。車に脅かされずに往来できるのですね。


ここは、上の通りから徒歩5分、紺屋町通りの風景です。左手に見えるのは「PARCO」。以前は西武百貨店だったんですが、撤退。代わりに入居したのが「PARCO」です。地方都市ではデパートが撤退した場合、廃墟化する事がほとんどである事を考えると、例外的と云っても良い事です。浜松市中心街では再三の「中心市街地活性化策」にも関わらず、「松菱」が潰れた跡に入居するテナントは決まっていません。「大丸」が進出する話も立ち消え。商業複合施設「ザザシティ」は慢性的に赤字状態に陥っています。
静岡市と浜松市の差は本当に対称的なのです。


こちらは、静岡市中心街の中心、呉服町と紺屋町を繋ぐスクランブル交差点の様子。東京近郊とは比較になりませんが、通りを歩く人が多い事は特筆すべき事でしょう。地方では「歩く」姿自体を見掛ける事が少ない。自動車で移動するのです。


そして、呉服町商店街の様子。地元商店街の長年の努力によりトランジットモール化が続いてきました。かつては日曜だけ呉服町に限られていたのですが、現在では土曜午後、紺屋町や伝馬町、七間町にまでトランジットモールが拡がっています。


写真は、札の辻から七間町商店街を撮ったもの。この先には全国的にも珍しくなった「映画街」があります。写真の右手は「静岡伊勢丹」。
人の流れを見ると面白い事がわかります。行政はこのような歩行者を「通行量」として量的に推し量ります。つまり、伊勢丹やPARCO、109の存在が人を惹き付ける、ということですね。そうした「アトラクタ」の存在が必要だと。だから、浜松でも(そして静岡でも)「複合商業施設」を作りたがります。ですが、人の流れはその「アトラクタ」への経路をくまなく通るわけではなく、「トランジットモール」に沿って現れます。そぞろ歩き、を楽しんでいるんですね。自動車に脅かされない散策ができる「フィールド」こそが重要なのです。魅力的な散策可能なフィールドには、魅力的な小店舗が進出しうる。それが、静岡の中心街を支えているのです。
早くから「トランジットモール」の重要性に目を付け、徐々に拡大してきた中心商店街の人々の努力がこの静岡の魅力を生んでいるのです。


一方で、市の行政はそれに気づいていません。その事は駅南を見ればわかります。


ここは、静岡駅南口ロータリーの交差点。右手に見えているのは再開発ビル「エスパティオ」です。この写真の奥にはホテルセンチュリーやアートギャラリーなどもあります。駅からは歩行者の動線が断たれないよう、「高架歩道橋」が設けられています。


これは、角度を変えて見たところ。正面の通りは「石田街道」。静岡市南部を貫く広い通りへと拡張されています。昨年の衆院選の時ですが、自民党候補の「上川陽子」氏が、この場所で
「私が、自民党が道を拡げました!」と絶叫しておりました。その、自民党の恩恵、石田街道といえば、


広々として歩道もたっぷりと取ってあります。そして、交通量も多い。結果として、人気の無い、魅力の無い道と化しているのです。



拡張は今なお進んでいます。広々とした道を造るために立ち退きを推し進める状況が続いています。この結果、静岡市南部(≒駿河区)は静岡市でもっとも郊外化の進んだ地域となっています。もちろん、ロードサイドショップが続々と進出するわけです。このような道路拡張と郊外開発はストロー効果により郊外ロードショップやビッグボックスリテールに人を誘引します。つまり、静岡市行政は多額の資金を投じて、魅力ある中心市街地を潰そうとしているのです。全国の地方で見られる現象。まさに「自滅」しようとしているのです。
では、開発されようとしている「郊外」はどうなっているのか?それを次回説明致しましょう。