シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

スズキ思想差別裁判

えー、しばらくグダグダと赤木智弘氏の話について書いてきたわけですけど、労働組合自体、完璧な防衛策とは云えない事は皆様ご承知の通り。
先日、浜松駅前で「スズキ自動車による思想差別訴訟」についてアピールが行われていました。


思想・賃金差別是正を/「スズキ総行動」 企業責任訴え/静岡
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-25/2007092504_02_0.html


(スズキ + 思想差別 でググると、色々出てきます。)


大体、どこも企業の御用組合ばかりの中で、ある意味、ガチ交渉ぶつけるのは共産党系労組くらいのものです。だからこそ潰しに合うわけですけど、そのサンプルが「共産党系労組に加わっていたら、賃金・昇格で差別された」状況なわけです。
地裁じゃ勝訴したようですが、高裁では逆転敗訴。現在、上告中。おそらく、保守化の進んだ最高裁で原告が勝つ見込みは無いでしょう。そうなれば、組合活動なんてのは企業との馴れ合い以上に踏み出す事は無くなります。
そうして考えれば、組合所属だと云っても、日本じゃ企業と対等に渡り合う事などまずあり得ないレベルでしかありません。アメリカでさえ労組はもう少し力を持っています。アメリカの企業人は日本の労組潰しの術を学んで応用するくらいですから。
左翼=労働組合に所属しようとも、自分の身を守るので精一杯、というか守れるかもアヤシイものだが、の状況で妥協に妥協を重ねる人々に対して、「オマエ等が悪い」と云っても、やっぱ持ってくところが違いますよ。
赤木氏の「戦争」や「ひっぱたく」がレトリックであるのは百も承知で突っ込みを入れてきたのも、そもそも「仮想敵」として持ち出した「左翼」の理解が正しいのか怪しいものだったからです。


現実に左翼には力などありはしないわけで*1、彼等に責任を負わすほどの力を持たせるなら、むしろ積極的に「左翼」にコミットするほか無いはずです。
逆に、それ以外に解決策があるなら、こちらが知りたいくらい。


だから、断崖絶壁に向かう道を疾走し始めた人に
「そっちへ行ったら危ないよ。落ちるだけだよ。」
と云ったら
「オマエ達は何も判っていない!オマエ等が助けろ。オマエ等が落ちろ!」
と叫び返されても、何言ってるのかな、という状況なのですよ。


まぁ、こちらとしたら、「引き返せ。まだやり直せる」と言うしか無いのだがな。


追記:はてブコメントに回答します
id:inumashさん。

その状況は「左翼」も同じなので、結局は両者の綱引きにしかならない。ありゃ「左翼」に対する歪んだラブコールだって、勘のいい人はみんな気がついてたはずなんだけど。

状況は「左翼」と「赤木」達では同じじゃないんです。そのへんをグダグダ説明していたはずなんですが。「左翼」は「左翼」を辞められるんです。で、その場合、割喰うのは“プレカリアート層”なんですよ。歴史的事例のある話なんです。
だから、中学生みたいなラブコール贈られても、応えようが無いのですよ。突き放しと言われようが「また、自己責任か」と言われようとも、“アンタらがコミットしない限り、実際問題として手助けは不可能”というのが左翼の実状でしょう。
で、その場合、「赤木」達はどうするつもりなんですかね。ネオリベにコミットすれば左翼を引きずり降ろせると考えるなら、そりゃ、ムリですよ。って事なんですけど。

id:welldefinedさん。

まあ、思想じゃなくてホコリを叩いて集められることを恐れているのだけれども。新左翼系には割と寛容だったりする。共産系労組が戦う労組だというのは半分嘘。共産系事業団体における組合のヘタレぶりときたら

そのへん、私には判りかねます。単純に、労組(とその支持団体)によって職場処遇が差別されるとすれば問題だと考えているだけで。ただ、スズキの労組は、スズキの会社方針とバッチリ歩調を合わせている上に、選挙においても会社意向に従うのはよく知られている事なんですけどね。

*1:60〜70年代がどうだったかは知らないが