ChaboのFF11日記+(跡地)

IfritサーバでFF11をやっていたChaborinの日記でした。

ゲームとしてのセカンドライフの限界点


またもめごとに首をつっこんでみるw
キャズムを超えろ! - Second Life日本語版リリースが国内でのセカンドライフバブル崩壊の原因となる!?
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20070719/p1


これを見て、うーん、とうなってしまいました。もう少し、ゲーマーとしての視点で深掘りしてみたほうがいいかもしれません。

セカンドライフはやっぱりゲーム

セカンドライフがゲームであるかどうかという定義論を考えると、そこに楽しむための要素があることを考えれば、疑いもなくゲームだと思います。
ということは、ゲームとして必ず備えなければならない「楽しみ」が、セカンドライフにどれだけ備わっていたかというところが一つの論点になるでしょう。
そして、もちろん成功・不成功で議論するのであれば、お互いにセカンドライフというゲームに参加するだけのメリットがあるかどうかという点も。
企業側のメリットは単純で、ネット的先進性を表現することが簡単であるという点。参加者から見たメリットは、そのセカンドライフという世界には楽しさがあるという点。この「楽しさ」とは非常に抽象的な表現ですが、いろいろな軸に切って説明することができます。

セカンドライフには「楽しさ」が欠けている

MMORPG的な切り口でいくと、うさだBlogの分類が良いかもしれません。
「MMORPG3つの人種」
http://lovelove.rabi-en-rose.net/blog.php?n=171
ここでは、コミュニティ論者、自己顕示者、そしてゲーマーの3つのくくりになっていますが、そのような人種がいるということは、その部分が楽しいと思っているからこそ居着くわけです。


それぞれについて検討してみましょう。

コミュニティ論者

ある所に行けば、空間を超えていつも気の合う仲間がいる。
コミュニティ論者にとって最も必要なのはアバターです。まずアバターに自己感情を移入できなければ、そもそも画面の前のキャラクターが自分自身にならない。実は、この部分を表現しきっているゲームがFF11と言えるでしょう。
ご存じの通り、セカンドライフのアバターは全然お話になりません。

自己顕示者

自己顕示もアバターの力に依存するところもありますが、基本的には

大量の時間を投入して強いキャラクタを作り、強いアイテムを集め、それを他人に見せて認めて貰う事で、現実で解決できなかった社会欲の解消を図る

(うさだBlogより)ということです。つまり、大量の時間という、現実生活では相容れないベクトルのものを駆使すれば、社会的に淘汰されてきた現実生活とは別の賞賛が得られる。しかし、セカンドライフではまずお金。そしてクリエイター的センスが必要です。これは現実世界そのものです。いくら時間をかけても、お金をかけて作った何かには到底太刀打ちできない。これでは魅力的ではありません。

ゲーマー

ゲーマー的な何かが必要とされる場面というのは、冒険だったり生産だったりするわけですが、特に危険なものは何もない、冒険の世界は街の中だけ。おまけに消費活動はお金がないからすることがない。
生産者も、ただ時間をかければ良いわけではなく、ある種のクリエイティブなセンスが必要とされます。見た目でユニークさを出すことは難しくない世界ですから。

総論 - 0からの楽しさを提供できていないセカンドライフ


新規無料ユーザは、単なるお金のない人でしかありません。これは、ある意味において新宿のホームレスと同等の状態かもしれません。

http://backpacker-ishida.cocolog-nifty.com/backpack/2007/06/post_05ce.html

街に立つ全てのビルは
貨幣を持った人たちにのみ意味有る施設だ。
コンビニも本屋も何もかも。


貨幣を持たないホームレスにとって
全てのビルは巨大な岩の塊となんら変わらない。

新宿ホームレスの体験記ですが、まるでこの1文に集約されているかのようです。


問題は、本物のお金をリンデンダラーに変換させることができるほど、魅力的なコンテンツがないということ。そこには果てしないギャップが存在しています。
この問題をないがしろにして、ただの参加者にゲームとしてのおもしろみを提供するのは無理なのです。
つまり、ただ世界の縮図を電子世界に持ち込んだだけのセカンドライフは、広告代理店的アプローチが有効であるように見えて、実は肝心の参加者に対するゲームとしてのメリットがないがしろになった、単なるサンドボックスでしかなかったということです。
無料のMMORPGが成功している背景には、無料で楽しむことができるコンテンツがちゃんと存在しているからだと思います。そして、その範囲を超えた自己顕示のためにアイテム課金をする。ですがセカンドライフは換金可能であるがゆえに無料の時点におけるお金稼ぎ手段がシビアになっていった結果、0からのスタートにとてつもない壁ができてしまった。これが、ゲームとしてのセカンドライフの最大の課題であり、ここを解決しない限り、どれだけ煽ってもセカンドライフがいろいろな意味で成功することはないと思います。