Second Life日本語版リリースが国内でのセカンドライフバブル崩壊の原因となる!?

セカンドライフ日本語版βがようやっとリリースされたので、わざわざ日本語版βをダウンロードしなおして感じた感想は『ああこれで一連のSecond Lifeバブルが終わるのね』というものだった。現状のUS版クライアントソフトウェアをそっくりそのまま日本語化してしまったこと、それを大々的に「日本語版登場!」なんてプレスリリースを打って発表してしまったことが良くなかった、と見ている*1。

「日本語版が出たら爆発的に人がきますよ、だからそれまでに土地を買って商品を並べて準備しておきましょう、後からやっても遅いですよ」
と電通・博報堂が煽りに煽り切ったところで、βとはいえ日本語版がリリースされた。この先何が起きるかというと、短期的になアクティブユーザ数の伸びが電博さんの言う数値には遠く及ばない...というのが明確になった時点で、ぞろぞろと「セカンドライフ撤退組企業」が発生しはじめるだろう。日本語版がリリースされない限りは「いえいえこれは英語の壁でして」という言い訳が通じたものが、日本語版が出たことによってそうは問屋が卸さなくなってしまうわけだ。

何ができたのか、何が足りなかったのか

日本側のスタッフがリンデンラボ本社との間で議論する中で、日本という特殊性の高いマーケットにおいて成功を収めるにはどうしたらいいか、いくつもの案がでてきたはずだ。当然、本社側で容易に受け入れられない要素もあるだろう。だが、日本というマーケットをリサーチすれば、そのまま日本語化してはよろしくない、ということはわかっていたはず。

一例として「日本のPC事情(オンボードグラフィックスチップがほとんど)では現状のクライアントでは重過ぎる」という課題に対し、ディテールを落とした描画とする、FOVを短縮するなどの手が使えたのではないのか。ちょっとぶっ飛んだ話にはなるが、オープンソース化されていることから携帯版セカンドライフクライアントを開発する、なんて手もなくはなかったはずだ。現にブラウザベースで動作するクライアントを3Di社が発表している。

またほかの例として「リアルすぎる顔で親近感がもてない」という課題に対しては、モバゲータウンやカフェスタに登場するようなJapanese Version SpecialのアバターをDefaultで用意するなどの折衝はできなかったのか*2。

そして何よりも*3「自由度が高すぎて何をやったらいいかわからない」という課題に対する答えが何も用意されていなかったことが残念だ。ちょうどWii版のドラクエソードに自由度が無いことについて議論されていたりする時節柄とはいえ、自由度無限大にもかかわらず適切な目的のない現状のSecond Lifeはライトユーザーが短時間でその魅力を理解することは困難なはず。

ゲーム以外の娯楽に埋もれる忙しい日本のユーザを対象とするには、まずはこのポイントを何とかして解決しなければ爆発的なアクティブユーザ数増加は望めないだろう。何もダンジョンを作ってモンスター狩りをしようと言っているわけではない。『ああ、こうやって遊ぶと楽しいのね』と思える何かを提示できるかどうかが鍵なのだ。簡単なクエストをいくつか作っておき、それらをこなすことで可愛い服が貰える、などでもかまわないのだ。

「実は計画的犯行」説!?

とまぁ色々書いたが、リンデン側としては「日本で爆発的にユーザ数が伸びる必要なんて無い」と考えている、という可能性もある。メディアと大手広告代理店,ナショナルクライアントによる広告大合戦が成功して大量に人が来ることをリンデンが望んでいない*4のであれば、今回の「適当な日本語版リリース」は大変素晴らしい「電博弾き(ひいてはナショナルクライアント弾き)」であると賞賛したいところである。一部のマニアックなユーザやクリエイター達のために、どうか電博さんよSecond Life Worldをそっとしておいてくれ、というメッセージだったりするのだろうか。





...ねーよw

*1:「Second Lifeがキャズム超えに失敗した理由は日本語版のリリース時期と内容だった!」なんてエントリタイトルにしようと思ったが色々考えてやめたw

*2:日本語看板にタッチするとランドセルが貰える...ぐらいのオマケはあるようだが、あのリアル系アバターにランドセルの組み合わせはキモいを通り越して怖いww さらにそこを通り越して「面白い」まで行けていないところも課題ちゃー課題。

*3:そして何よりもおぉぉぉッ!.....速さが足りない。 by ストレート・クーガー は名言(ぉ

*4:手をかけずに実現するならすれば?ぐらい