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新旧シトロエン車が大集合した「シトロエニスト ランデブー オーナーズ フェスティバル2025」に参加してみた!
会場で発表された新型「C3ハイブリッド」を初ドライブ
2025年10月8日 07:00
- 2025年10月5日 開催
シトロエン車に乗るオーナーが集う特別な1日「シトロエニスト ランデブー オーナーズ フェスティバル 2025」が10月5日、岐阜県高山市の「位山交流広場〜モンデウスパーク〜」で開催された。
2023年の第1回に続いて2年ぶりに開催されたイベントには、同社ブランドの最新モデルとなるMHV(マイルドハイブリッド)のコンパクトSUV「C3ハイブリッド」が登場。その試乗のインプレッションと、イベントの模様をお伝えする。
4代目で四角く大変身した新型C3
読者の皆さんは、シトロエンと聞いてどんなクルマを思い浮かべるのだろうか。1948年の2CV、1955年のDS、1970年のSMやGS、1974年のCXなどと思われるが、いずれも個性的なスタイルとメカニズムを持ったものが多かった。
そして今回のC3は、2002年に「ニューシトロエン」を象徴する丸っこいスタイルで登場。以降、丸さをキープしつつ、3代目ではサイドにエアバンプパネルを装着したファニーなスタイルが評判になった。それが4代目となると、これまでとは全く異なる四角く洒落たSUVへと大きく変化した。「変われば変わるほど、何も変わらない」というフランス人が好むことわざがあるが、今回のC3は何が変わって、何が変わっていないのか。試乗して確かめた。
ドアを開けて乗り込むと、まずは日本人デザイナーの柳沢知恵さんが担当したアドバンストコンフォートシートがふわりと体を包んでくれる。彼女が「ソファー」と呼んでいただけあって、表皮ではなくクッション全体で体重を支えてくれるその感じは、過去のDSなどが採用していたあの独特の座り心地をしっかりと継承していることに気がつく。真横に広がるファブリックのダッシュボードはちょっと2CVを彷彿させるし、ステアリングがセンターパッドから浮き出して見えるような設計は、過去モデルが特異な1本ハンドルを採用していたように、そこにこだわっているという意思を伝えてくる。
キーを差し込んでひねってエンジンスタート、という“儀式”もプリミティブでいい。一方のギヤセレクターは最新式で、小さなレバーを前後にスライドさせるタイプだ。エンジンスタートという言葉を使ったが、新型C3は電動アシストがあるので、短い距離ながらも低速時にはモーターだけのゼロエミッション走行を披露してくれる。エンジンが始動した際の切り替えのショックは上手に抑えられていて、スムーズに加速してみせる。
そしてポンポンとシフトアップしてからは、なるべくハイギヤードのままで走り続けようとするトランスミッションのしつけが、欧州車らしくて好ましい。DCTを採用しているので、通常のATのようなラバーバンド的なところがなく、かっちりとギヤが噛み合っている感覚がアクセルペダルを通して、足裏に伝わってくる。1270kgの軽量ボディなので、74kW(101PS)/205Nmを発生する3気筒1.2リッターガソリンターボエンジンと、15kW(20PS)/51Nmの電気モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドのパワーなら、必要十分以上の走りができるのだ。
小径ステアリングの上から覗く形の細いメーター上には、エンジンとモーターのパワーの出し入れが走行状態によって細かく切り替わる様子が表示されていて、無駄なくエネルギーを使っている様子が伝わってくる。これなら通常の使用でも、22.3km/L(WLTCモード)というカタログデータに近い数字が出せそうな気がする。
また、クラス初採用のプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を組み込んだC3の足は、路面のショックをスムーズにいなしてくれ、“魔法の絨毯”と呼ばれた往年の乗り味を現代風に再現。筆者の感覚では、ちょっと高めの50〜60km/hあたりがベストな車速域であるという印象で、そこからスピードアップしてもフラットライド感がずっと続いていくという、日本のコンパクトモデルでは味わえないような足の持ち主だ。イベントの参加者にも抽選で試乗が許されていたので、ラッキーな当選者はその感覚が早々と味わえたに違いない。
「Be Unique」なシトロエン車が大集合
2023年の第1回に続いて2年ぶりに開催された「シトロエニスト ランデブー オーナーズ フェスティバル」は、前夜祭が行なわれた南乗鞍キャンプ場から隊列を組んで走行してきた参加車両たちのパレードランでスタートした。
先導車に続いて珍しい2CVフルゴネットや宇宙船のようなDSが峠道を登ってくるその姿には、思わず「オォ」と声が出る。「バサバサバサッ」と空冷2気筒のエンジン音を響かせながら走ってくる2CVや、低い流線型のCXやDSがそれに続き、現行のC4やC5、ベルランゴたちもどんどん入ってくる。どのクルマも個性的なルックスを持っているので、見ているだけで楽しくなる。会場では、目立っていたクルマのオーナーさんに話を聞いてみた。
まずは、熊本から参加していた1971年式の「DS」。それまでの自動車という概念を覆すほどの“宇宙船”と呼ばれた前衛的なデザインを持つ大型ボディに、世界初の四輪ハイドロニューマチックシステムを搭載していて、さらにパワステやブレーキなどの制御もハイドロが一括制御する複雑なシステムを採用しているのが特徴だ。この個体は2010年にフランスから輸入され、2015年に日本初登録されたクルマだという。オプションの5速MTを搭載し、メーター、スイッチ、ラジオ、マットなどが全てオリジナルの状態をキープ。会場に到着してエンジンを止めると、ハイドロの油圧供給が止まってお尻が地面スレスレにペタンと下がるそのたたずまいもユニークだ。
長岡から自走で参加していたのが、ユニークな顔つきと淡い水色のボディが特徴の1970年式「ami 8」。知り合いが乗っていていいなと思っていた9年前、京都の専門店に冷やかしで行った時に出合ったのがこのクルマで、書類を見たら登録日が1970年の7月。なんとオーナーさんの誕生日と1日違いだった、という運命もあって購入に至ったのだそう。今年の夏は特に乗るのは厳しかった(クルマにもドライバーにも)というが、いろんなイベントがあるごとに参加しているという。
隣に置いてあったのが、ami 8の購入をサポートした大阪万博のナンバープレートを装着した1世代前のブルーの「ami 6」。こちらは丸型4灯ヘッドライトのワゴンボディ(ブレーク)で、取材のサービスとして独特のシフトレバーの操作方法を教えてもらった。確か、いっぱいに引いて1速、奥まで押し込んで2速、そして3速には……、バックギヤは……。一度聞いただけではすぐに覚えきれないし、8時の位置にセンターがある1本ハンドルと相まって、簡単には運転できそうもない。やっぱりとんでもなくユニークだ。
会場にはこのほかにも個性的な新旧オリジナル車両が多数居並んでいて、参加者らはあいにくの小雨模様の天候の中、シトロエンに関するクイズのマルバツ大会やビンゴ大会、関連グッズのバザーなど、独特の雰囲気を楽しんでいた。