少しだけ怖い話(不在の家)
この話は、以前バイトで宅配便の仕事に就いていた時の話になる
宅配の仕事をした経験があれば納得して貰えると思うが、個人宅へ配達するという事は、しばしば奇妙な人達との遭遇を意味する
その日も、いつもと変わらないルートを回り、15時配達指定のとある一軒家へと向かった
しかし、チャイムを鳴らすも応答がない
仕方なく不在連絡票をポストに入れ、車へと戻る途中で電話が鳴った
それは、先ほどの家の住人だった
「すぐに戻って来て欲しい」と言う
だが、到着してチャイムを鳴らすもまたしても反応がない
再び電話を掛けると、すぐ横の窓から着信音が響いた
そちらに目を向けると、ブラインドの隙間から覗く目と視線が合った
しかし、声を掛けたが返事はなく、ブラインドがさっと閉じられただけ
再び玄関のチャイムを鳴らし、もう一度声を掛けたがまったく反応がない
仕方がないので、再度不在連絡票を入れて戻る事にした
会社に戻ってその話を職場の先輩に愚痴ると、何食わぬ顔でこう言われた
「あそこの家には裏に宅配BOXがあるから、そこに置いてくればいいよ」
その後、再びその家に向かったのは20時近くになってからだった
玄関には明かりが灯り、室内からは家族の談笑が漏れて来る
何気なく横の窓を覗くと、先ほどのブラインドは開いており、中では5人家族がリビングに集い、楽しげに食事をしている所だった
「やっと家の人が揃ってるな」と安堵しながら玄関に向かった
しかし、またもや反応がない
チャイムを押し、声を掛け、ドアを叩いてもノーリアクションだ
窓越しに家族を見たばかりなのに、まるで自分の存在だけが透明になったかのようだった
不可解な状況に焦りながら裏に回ろうとしたが、裏手に行くには室内から確実に見える位置を通らなければならない
それでも意を決して裏手に向かい、先輩に言われた通りに荷物を宅配BOXに入れると、どこからか笑い声が聞こえた
反射的に窓越しに中を覗くと、先ほどブラインド越しに見えた家族の姿が忽然と消えていた
それどころか、家の中の気配そのものが突然消えたのだ
驚いて先輩に電話を掛けると、「早く置いて帰れ!深く考えるな!」と吐き捨てるような声が返って来た
どうしてそんなに急かすのか?
その理由を尋ねても、先輩はそっけなく答えるだけだった
「知らないよ。ただ俺もな、前の担当にそう言われたからやってるだけだ……」
もちろん、それ以来その家への配達だけは、誰も喜んで引き受ける事はなかった
いやぁ~、まったく怖くない話で驚いた(笑)
だけど、実際に体験したらゾッとするのかも
俺も若干のバイト経験はあるけど、配達関係の仕事は未経験
いろんな人達と出会う事になるんだろうね
凄まじいクレーマーとかね🙍
記事No.1362
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