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IT業界のレジェントジャーナリストによるクロニクル「Burn Book」にじーん

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私の推し、米ジャーナリストのカーラ・スウィッシャーさんの新刊「Burn Book: A Tech Love Story」の電子版を、さきほど読了しました。NetscapeからOpenAIまで、IT関連の出来事をフェアな視点で報じ続けてきたスウィッシャーさんのクロニクル的な作品です。

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業界では鋭い記事でも有名でしたが、ウォルト・モスバーグさんと2人で始めたAllThingsDカンファレンスでのIT著名人との対談はすごかったです。故スティーブ・ジョブズ氏も何度も登壇したし、Amazonのジェフ・ベゾス氏、ラリー・エリソン氏、スンダー・ピチャイ氏、イーロン・マスク氏などなど。単刀直入に質問するので、それぞれの人柄がぽろっと垣間見られたりしました。

本書では、ずっと気になっていた、ビル・ゲイツ氏と故スティーブ・ジョブズ氏の対談実現や、マーク・ザッカーバーグCEOが汗だくになった顛末などの舞台裏エピソードが満載です。

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イーロン・マスクさんとの確執についてもフェアに書かれています。スウィッシャーさん、マスクさんは子供大人だとしつつも、AIについてのマスクさんの見解は評価しています。過去のインタビューで、スウィッシャーさんの「AIは人間に敵対して殺すと思うか?」という質問にマスクさんは「敵対しなくても殺す可能性はあると思う。人間が道路を創ろうとして知らぬ間に蟻の巣を潰してしまうように、AIも正しいと思った目的に向かう過程で意図せず人間を絶滅させるかもしれない」というように答えているのは、なるほどなと思いました。

Wahington Post、Wall Street Journal、New York Timesと一流紙で活躍してきましたが、最近はPodcastとテレビ中心に活動していて、とにかく早口なので聞き取るのが大変です(Podcastは再生速度を遅くできるのが便利)。

振り返ると、彼女が書いた記事やインタビュー動画をずいぶん紹介していました。Googleで検索したところ、52本の記事やブログでスウィッシャーさんの記事を引用させてもらっていました。

この本で、もう62歳だと知りました。「テクノロジーは今も愛している」が巨大化したIT大手の危機感不足を心配しているそうです。でも、個人的にもう時間があまりないので、4人の子供と自分の生活をもっと大切にするつもりとのこと。もうしばらく、愛のある鋭い質問でみんなが知りたいことをほじくり出してほしいのですが。

私は単なる海外速報を考察もなしに書いてきただけですが、IT業界の癖のある多くのスターから恐れられ、愛されてきたジャーナリストのスウィッシャーさんと同じ時代を過ごせたことを幸せに思います。

翻訳は出ないかなぁ。原書は日本のAmazonで電子版で買うのがお勧めです。Kindle版は約2500円、御本人が朗読するAudible版は約1600円です。

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