偉そうなタイトルですけど、裏話&反省会です。
初めて10人以上参加の合同誌を主催した振り返りになります。
(まだ主催としてやるべきことは残っていますが…)
これから合同誌企画を立ち上げようか迷っている人の不安を少しでも解消できれば幸いです。
※既に同人経験がある人向けなので、サークル参加等については省略します。
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1、きっかけ
阿知賀ドラマ4話を観る→初瀬自死しそうと呟く→みなもちゃん水死合同?とリプライが来る→なんかその気になる

という顛末ですが、
背景にはコミケ直後の創作意欲、深夜テンション、話に乗る人が出てきて引くに引けなくなった、生きている内にやりたいことやらなきゃなぁという危機感がありました。

2、企画書作り
http://twipla.jp/events/294594
↑最終的に家電製品の説明書並みの文量になりました。
大人数が実際に顔を合わせず足並みを揃えるためには、注意書きはいくらあっても足りなかったです。
随時更新していき、その都度参加者に更新内容をお知らせしました。
その際にツイプラのDM一斉送信機能は便利でしたね。
ツイプラを使わない場合でも、参加者全員にアナウンスできるシステムを作った方が楽だと思います。

企画書で大切なことは「ルールの理由も併せて明記すること」です。
例えば、《作品の最後には「終」「おわり」「完」「以上」「END」を入れる》というルールを設けましたが、理由は区切りを明確にして次ページの他作品との混同を避けるためです。
この理由を示さないと、
「入れてさえあれば見えないくらい小さくてもいいんでしょ?」と真意を汲み取らずルールの隙を突いたり、
「finにしたかったけど諦めよう…」と過剰な譲歩をしたりする事が起きたかもしれません。
「なんのためのルールか」「どれくらい融通がきくのか」をハッキリしないといけません。
作品が提出されてからでは遅いからですね。

それでは項目ごとに解説しています。

3、供述
最初にキャッチーなこと言った方が参加者が増えるかなーと書きました。
「なぜ今なのか」を訴えていて悪徳セールみたいですね。もっとセンスある文章を思いつきたかったです。
合同の方向性やコンセプトが決まるので、実は重要だったのかな?

4、車イスに乗った少女の定義
今回は本名不明のキャラクターを扱うのでこの項目を追加しました。
「みなもちゃん」でもよかったかもしれませんが、不特定多数が関わる以上は身内ネタや俗称は避けるべきです。

5、レギュレーション
・パロディネタを禁止したのは個人的に好きじゃない(特にマイナーキャラだと設定が少ないためパロネタが主軸になりがち)からというのもありますが、著作権の配慮もあります。(咲-Saki-は作者が半公認?)

・今回は全年齢本でした。「具体的にどこまでOKなのか」という質問がきたので基準が示されているサイトを頑張って探しました。流血や残酷な死体の描写が含まれている作品が提出されたときは悩みましたが、争いによるものではないOKとしました。提出されてからでは寛容にならざるをえないので、最初によく考えるべきでした。

・ページ数制限は混乱させてしまいました。
1人で何十ページも占めるのはよろしくないところですが、許容範囲の設定がわかりませんでした。とりあえず、最初は8ページにしましたが、「10ページ描きたい」という声や再掲の話がでてきたので上限を2倍にせざるをえませんでした。ただ、上限8ページのつもりでネタを考えていた人には申し訳ないという不平等なことになってしまったと反省しています。
8ページでも9ページでも大した差はないとはいえ、一度決めたルールを変えることは大きな問題になるのでここは難しいところ。

・レギュレーションの言葉づかいひとつで「これがOKということは、これはNGだと思っていた」と趣旨の誤解を招くので慎重になるべきでした。

6、体裁
体裁が参加者ごとでバラバラだと読みにくいだけでなく、印刷ができない事態になりかねないので体裁のルールは厳重くらいでちょうどいいです。
ポプルスのサイトで詳しく解説されていたのでかなり省略できましたが、重要なところは主催が明記しないと安心できません。

・提出の拡張子はPSDとdoxcに限定していましたが、どうせ私が最後に編集するのでメディバンペイントとワードで処理できるなら何でもOKとしました。融通できるところは「融通できます」と書くべきです。

左右20mmに重要なものをかかないことは徹底させるべきですね。読みにくいし格好悪いし印刷されてないしで本当に嫌いです。

・漫画のコマ割りルールが各参加者ごとでコロコロ変わると非常に読みにくいので、ある程度こちらで推奨のものを提示させていただきました。もちろん、絶対に守るべきものではありませんけど。

・小説はプロも使っている基準が見つからなくて苦労しました。B5の商業小説本なんて持っていませんし……。結局は過去の合同誌の体裁を調べて複合した私オリジナル体裁になりました。
ただ、大問題がひとつありまして……最初はフォントを「游明朝」としていましたが、コレがWordと相性が悪くて混乱させてしまいました。事前に私が試した際も行間隔が何故か広がるという挙動を確認していたのですが、色々と設定すれば直せたので大丈夫かなーと游明朝に決めてしまったのです。著作権フリーなのか曖昧という問題もあり、結局はMS明朝に変更しました。
Wordは設定が何十項目もあり、各々でバージョンも既定の設定も違います。合同誌で足並みを揃えるならば、設定画面を(特に関係ないところも含めて)全てスクショして指定するくらいの覚悟が必要です。どうせ設定が揃っているかどうかを確認するのは主催ですからね。なんならテンプレートを自作して配布した方が手っ取り早くて確実だったかもしれません。
提出はメモ帳で、自分が作ったテンプレにコピペする方法も確実なので一考の余地ありかも。

7、原稿制作上の注意
・ページ番号は全ページ同じ座標に打つのでかなり大変でした。効率的な方法を予め検討するべきでした。

・合同誌って普通に通しで読んでいると作品と作品の切り替えが曖昧で混乱しません? これが嫌いだったので、商業漫画雑誌と同じように最初は作者名、最後は終わりだと宣言することをルールとしました。

奇数もしくは偶数ページ始まり指定は任意としましたが、指定がなくとも実際に原稿を読んでみると「このページは右側にあった方がいいだろう」「このページとこのページは見開きでないと意味がない」ということがあったのでなるべく反映させました。
いっそのこと「ページ数は偶数にしてください!」とルール付ければかなり楽になりますが、今度は参加者に負担がくるので迷いどころ。

8、頒布予定
当初は締切がキツいし夏コミでもいいかなーと予防線をはっていましたが、大多数がSHTでもOKだったのでこうなりました。
締切は長い方がもちろん良いですけど、長すぎてもダレるし旬が過ぎるから難しいですね。今回は2か月間でした。
あと、はじめてメロンブックスに委託申請しました。どうせなら事前にやっておけばよかったと後悔しています。

9、謝礼
献本1~3冊だけにしました。2冊以上頼んだ人は2人しかいませんでしたけど。
同人という性質上、謝礼は本当にお気持ちだけになっちゃいますね。完売したとしても利益は分配するほど出ないです。

献本を郵送で渡す際に、普通なら本名と住所が必要になりますよね。
一応「BOOTHを利用すれば匿名配送できるし、料金分をAmazon欲しいものリストとかで還元すればええやん!!」と提案しましたが、誰もその方法は取りませんでしたね……何で……?

10、締切
締切が3つも設定されていますが、結局のところ最後の原稿提出締切さえ守っていただければ何とかなります。
ただ、締切がいくつもあるということは、その分だけ進捗確認および煽りができるということなので、そういう意味での効果はあるかもしれません。

・自己紹介情報に連絡先と作品保管場所を指定しましたが、単純に自サイトのリンク2つの方がわかりやすかったですかね。ちょっと失敗しました。

・サンプルページ指定で「全ページ好きなだけ使っていいですよ」という人が少なからずいらっしゃって驚きました。反対に狭い箇所を指定された方もいらっしゃいましたが、その人のサンプルが浮いてしまうことになって申し訳なかったです。サンプルページを公開する前に参加者に確認を取るべきでした。

11、印刷所
今回はポプルスにしました。特に問題はありませんでした。
ちなみに候補は誰も教えてくれませんでした。もちろん、ポプルスが評判良い印刷所だったからという点もありますが、本当に聴きたいことは個別に質問しないとダメですね。

12、原稿提出方法
上手く送信できなかった転送サイトもあったので、大丈夫だと確認できたサイトは必ず報告した方が参加者は安心されると思います。

13、その他注意事項
・確実に連絡が取れる方法を参加者ごとに聞いた方が良かったかもしれません。

・作品データの取り扱いに関するルールはしっかり決めないと、参加者自身による宣伝を阻害したり、数年後に公開していいのかいちいち確認を取る手間が増えたりします。

14、参加表明方法
別に参加を表明せずとも原稿を提出していただければそれでいいんですけどね。
「現状誰が参加を表明しているか」がオープンになるので注目度が高まるというメリットはあります。
参加者が多いほど、新たな参加希望のハードルが下がりますし。(反対に参加者が豪華だとハードルが上がる面も?)




これで企画書は完成です。
次は参加者勧誘活動をしなければなりません。




方法としては、
・企画書を公開して募集する。
・直接声をかける。

この2択、あるいはどちらもになります。

・企画書を公開して募集する
今回この形での参加者はだいたい3分の1です。
企画書をツイプラやブログに上げてそのページをTwitterで宣伝するだけですが、
デメリットとして、好ましくない人…と言ったらアレですけど…が参加を表明する可能性があるので場合によっては親しい人相手でも参加を断る度胸がいることですかね。
「自分が好きな作者さんだけで合同誌をつくりたい!」っていうのは当然の欲求ですし否定されることではないと思います。(もちろん失礼のない範囲内だったらですけど)
その場合は公募はせず、裏で勧誘活動することになります。
今回はとにかくみなもちゃん作品が読みたかったので、そういう事はしませんでした。

・直接声をかける。
Twitterやpixivのメッセージで唐突に勧誘文を送るのは相当な勇気がいります。
ただ、参加する立場にも同じことが言えて、勧誘されていないのに参加を申し込むのはそれなりの勇気がいると思うんですよ。(もちろん人によりますが)
イベント当日で知ったことですが、「参加するかどうか迷ったが諦めた」と(たとえお世辞でも)言ってくださる人がけっこういました。
どんなに同人活動が好きな人でも合同誌だと「締切を守れなかったらどうしよう」「出来が悪いものを寄稿してしまったらどうしよう」というプレッシャーを抱える……はず。
そのような人の背中を押すためにも個別の参加勧誘は積極的にするべきです。
主催として最も重要な責務ではないでしょうか。


誰を勧誘して誰を勧誘しないかの基準ですが……
1、みなもちゃんに興味がありそう。(過去にみなもちゃんを描いた。宮永姉妹の二次創作をよくしている等)
2、同人誌用の原稿を制作した経験がある。
3、単純にその人の作品が好き。
これら3つを満たしている人を勧誘しました。3だけを基準にするとキリがないので1を重視しました。
私はブログ主軸に活動しているので、二次創作界隈に人脈がほとんどありません。さらには人見知りなので、もう半ば自棄になりながら勧誘文を送っていました。「言うだけ無料じゃあ!!」
もちろん、けっこう断られました。いきなり無理を言って迷惑をかけてしまい本当に申し訳ございません。

私は小説界隈に詳しくないので、勧誘できた小説書き勢の人数は少ないです。
漫画の比率が多くなり、小説書き勢の居心地が悪くなる事態になりかけました。(幸い自主的に参加を表明された人が多かったので助かりましたけど)
このバランスをどれくらい許容するかどうかも主催次第ですね。どっちかを切り捨てることも十分ありだと思います。




参加者を集めたら一段落。
自分のページを制作したり、参加者と相談したりといったことはしますが、
忙しくなるのはやはり原稿提出締切日直前です。





ほとんどの参加者が原稿に何らかの問題がありました。
サイズが違ったりレイヤーが統合されていなかったり…
というか主催である私もミスっていましたからね。製本されたものを読んでようやく気付きました。
人間ですから完璧は難しいですね。

体裁の間違いはともかく、誤字脱字は曲者です。
合同誌の主催って誤字脱字チェックもするんですかね???
同音異義語は気兼ねなく指摘できますが、一般的にはひらがなで表記する言葉なんかは明確な間違いとは言えないので迷いましたね。
Web文章入門 : 特別編 漢字とひらがなの使い分け方 | はじめてWEB

小説の場合は「禁則処理」「句読点を打つ頻度」「感嘆符疑問符の後は空白1マス」などなど……参加者によって原稿用紙の使い方がバラバラでした。
「一般的な商業小説(ラブじゃん)と異なる」を根拠に、失礼ながら指摘させていただきました。
原則として参加者の作風を尊重するので強制はしませんが、印刷物なので普段の会話やツイートよりも厳格な言葉遣いを推奨した方が参加者のためだと思いました。
(参加者の中に外国の人がいらっしゃって、私が翻訳修正と写植を担当した直後だったので日本語に関してはかなり気になってしまう時期でした。)



本の中で主催が担当する箇所は、自分の作品ページ以外に
・表紙
・目次
・ページ番号
・あとがき
…を最低でも用意しなければなりません。
表紙は私より絵が上手い人に頼むべきでしたね……
基本的には他の合同誌を参考にしました。自分が読みやすいレイアウトにできるのは主催の特権ですね。
ただ、印刷の関係上ページ数は4の倍数にする必要があることを念頭にいれなければなりません。


掲載順の決定にも苦労しました、
偶数あるいは奇数ページ始まりの指定を反映させることはもちろん、
漫画と小説が等間隔で来るようにとか、
火事死亡ギャグの次に火事死亡シリアスが来たら茶番だとか、
色々と考慮したら難解パズルになってしまいました。
脳内やパソコン上では無理だったので、カードを参加者数分用意して手で並び替えながら考えました。


印刷部数は見当もつかなかったので、経験のある人に相談しました。

入稿して献本の受け渡し方法を聞いた以降はいつものサークル参加と変わりないですね。
イベントで直接渡す際は面識がある人でも本人確認を徹底するべきだよなぁって程度?
あと、献本は必要ないという人もいらっしゃったのでjpgデータを渡す選択肢を最初から提示するべきでした。
ぶっちゃけまだ全員に献本を渡し終えていません!

長々と書きましたが、
合同誌の主催が心がけるべきことは
1、妥協や遠慮を捨てて理想の合同誌を目指すべき。
せっかくの主催なのでもっとわがままになってもよかったなと後悔しています。

2、参加者に対する敬意を忘れないように。
人として当然。

3、わからないことは1人で抱え込んだり強がったりせずわからないと表明する。
誰かがアドバイスしてくれます!



君だけの最強の合同誌をつくろう!!!!