華の大江戸、日本橋。
優美で優雅で美しく華やか、伝統と革新とグルメと三越と高島屋の街、日本橋。
世界で始めて親子丼と味付け海苔をローンチしたイノベーション特区、日本橋。
そんな日本を代表する素敵city日本橋の一角で
サイケデリックに紫煙を嘔吐するプログレカレーショップが一軒。
■燻製カレー くんかれ
http://kunkare.jp/
カレーの燻製?だから「くんかれ」?
散歩の道すがら初めてこの店を見たとき、何言ってるかサッパリわからなかった。
理解に耐えうるコンテクストが足りないミステリーの極北。
しかしまあココでひるんでいては食味エクスプローラーの名が廃るわけで、
進んで地雷源やベトコン満載の密林にピョンピョン飛び込むのが俺の仕事なわけで。
取りあえず食っとくか精神でゲートイン。
この世に不味いもの無し、なんだって口にねじこみゃ大体ハッピー。
入店。店は、なんか普通の店員だ、普通のオシャレな内装だ、だけど燻製くさい。
おもむろにメニューを開扉。
「辛さ」、「ご飯量」、「トッピング」をシーケンス処理で選択するスタイル。まあ普通。
トッピングはベーコン、チーズ等の燻製が並ぶ、これもまあ予想の範疇。
で、「燻製の強さ」が選べる。これは全然予想の範疇外だ。
どうやってるのサッパリかわからんが「ルーが燻製味」ということか???
だいたい固形物以外に燻製ってなんなんだ、燻製の強さを選べるとかもうよくわからない。
もしかするとこの「液体の燻製」、活版印刷、エレキギターにもならぶ革命なのではないか。
錬金術は、あったんだ・・。
とはいえ、仮にも飲食店で提供するカレーライスをどこまで攻めきれるかって言う疑念が無きにしも非ず。
バカなので高を括って「大辛」「燻製濃い目」をオーダー。
■着丼 燻製全部のせカレー+大辛 (980円+20円)
この、極々普通のルックスに反し、写真では1ミリも伝わらないであろう立ち上る紫煙と邪気。
何かこう、燃えるストラトキャスター(レフティ)の幻影が4K画質で視認できる。
ヤバイ舐めてかかった「燻製濃い目」が完全に裏目だ。
恐る恐るファーストバイト。その刹那、口内に丸太のニュアンス。
「あれ、焚き火食った?」
さっきから幻覚ばかり見える。特に切手は混入してはいない。
とにかく強烈にディストーションがかかったフレイバーがする。
エフェクトで言うと3時まで回したファズフェイスとユニバイブが少々といった感じだが
まだ詳細はつかめない。
セカンドバイト。今度は解像度を増してカラフルなアフロのオッサンが見えてきた。
いつまでたっても謎の幻覚視に悩まされるのでトッピングに手を伸ばす。
まずは燻製チーズ。ふむ、うまい。これはオクターバーだ。やっと輪郭がもたらされた。
しかしカレーのトッピングに燻製食品という取り合わせは割と珍しい、
普通のカレーライスに乗せてもなんの機能もしないハミダシ者だろうが
この精神、魂の開放を願う一皿の上においてはそのポテンシャルを活かせる。
次にベーコン。これが分厚く野生を主張。猛煙をまとった直線的な野獣の舌触り。
スタックのマーシャル、マイキングはBキャビネットだろう、完全に通常のカレーには合わない代物だ。
だが、この混沌のくんかれステージに置いてはある種の秩序として役割ができている。不思議だ。ミステリーだ。
なんだか過剰な歪曲空間に仄かなまとまりが感じられてきた。
食べ進めるうち、妙な衝動に駆られてルー、米、トッピングをグチャグチャにしていく。
カレーは綺麗に食べたい派だが、ルーが皿を支配し、あるいは土台となり全てを包みこませるのが
この一皿の理想形だと理解が進み、普段はしないミキシングに手を染めた。
うまい、ここで初めてうまいことに気がついた、ルーが全てを掌握する、フェスは終盤だ、アフロのオッサンが歯でギターを奏でるのが見える。
加速する融合、個性と個性と個性と個性が複雑に殴りあうウッドストック。まとめ上げるのは捻じ曲がった紫の煙。
そう、それは強烈な個々のキャラクターの相互関係の生み出す大きなウネリが意思を持って大地とアダプトし、そして一つに解け合い巨大な意識体と化した地球は次に宇宙との融合へ向けて漂う惑星たちと手を取り始めるガイア理論の縮図。我々は一人間と言う矮小な主体性を捨て地球人でありひいては宇宙の民である自覚を持ちこのガイアの夜明けを迎えるための準備をはじめなければならないことを象徴していることは明白である。
そもそも、人間と言う生き物が持つ凶暴性、他の生物と違い人間は人間同士、他の固体との闘争を繰り返すことで短期間での淘汰と進化を繰り返しこの地球を覆い尽くしたのはこの地球の歴史においてほんのつい最近のことであり、我々固体のあくなき欲望を・・・ああ・・・めまいが・・・・宇宙の真理・・が・・・・ ・・ ・・・