さてさて師走。
不安一抹を残しつつも仕事は納めた。今年もよく働いた。
感謝すべきは永遠に続くかのような忘年会に耐え忍んでくれた胃と肝臓だ。
労おう、そうしよう。
労おう、そうしよう。
という事で言い訳は整った。
かねてより念願の絶品鴨南蛮をかっくらいに、
チャリをブッ飛ばしてアっという間に北品川である。
チャリをブッ飛ばしてアっという間に北品川である。
店の奥には年配の職人が。あれが翁か。
そして待つことしばし。きたきた。ふふふ。
シンプルでソリッドでマッシブなルックス。
翁の仕事は意外なハードグルーヴ。目が踊る。
そんな中にも品を感じる鴨のフォーメーション。
ここは品川、一匙のアーバンは忘れないエチケット。
マジで挫ける5秒前の凍える体にいち早くブチ込んだ汁は
かえしの適度な辛さと微かな酸味の上に鴨の滋味が口内に絡み貼りつく三和音構造。
かえしの適度な辛さと微かな酸味の上に鴨の滋味が口内に絡み貼りつく三和音構造。
それもメジャーな1,3,5度などでは無い1,5,1度でシンプルに殴りつけるパワーコード。
ルックス同様、のたうつ系のハードグルーヴか。
そのパワーコード中に勇ましく踊る蕎麦は適切な硬度を保つ仕上がりで、暖かい蕎麦ながら良いコシを有している。着丼すぐであれば噛んで良し、飲んで良しのユーティリティプレイヤーだ。
すでに相当のアンサンブルだが、ここでファットなネギをリフト。
■潤い
大人の親指くらいある。断面からネギ汁が滲む湿度の高さ、スコンと抜けの良い香りはグラミーにおける冬に食いたい野菜部門を総なめにする実力。
この段階で鴨の脂が相当量、汁に染み出し、丼内に星空を形成している。
汁の旨みは刻一刻と変容している。
それではいよいよ、満を持して鴨。
ジビエといえば冬、冬といえばジビエ。
越冬のためにせっせと蓄えたワイルドエナジーを心していただきましょう。
ジビエといえば冬、冬といえばジビエ。
越冬のためにせっせと蓄えたワイルドエナジーを心していただきましょう。
■野生の主張
ふぁーーーーーー柔らけえええええーーーーーーーーーーースジがねえーーーーーー
なのに噛んでも噛んでも噛んでも噛んでも噛んでも噛んでも味がでるーーーーーーー
なぜこれほど大量の滋味を蓄えられるのか?
すでに汁にも相当量染み出したはずだろ?
オマエ冬何回越えるつもりだったんだ?
なんぼほどエサを食らい込んだんだ?
判決。この鴨は間違い無く、七つの大罪のひとつ「飽食」を煩ったものだ。
生命の流転をせき止め、抱え込み、あるいは奪い取ってきた、まごうこと無き稀代のワルだ。
この罪深きものに翁は深い慈しみをもってこの一杯のグルーヴに仕上げている。
もう半端では無く腰にくるディープな滋味に顔面が激しくディストーションする様は
さながらワウを踏むジミーペイジ。
さながらワウを踏むジミーペイジ。
翁の正体はあの世界三大ギタリスト、「滋味ーペイジ」だ!
もう蕎麦を食ったというよりレスポールを食った気分。
角のとれた太く甘いトーンで奏でられた胸いっぱいの愛にすっかり内臓を癒された私は、
ゆったりと2014年に手を振り、battle of evermoreな2015年を迎え撃つ準備を始める。
次は年越し蕎麦。それではごきげんよう。