杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

手続きが遅すぎる

2011å¹´08月06æ—¥ | é›‘æ„Ÿ
震災からもうじき5ヶ月ともなる先月7月の終わり頃、我が家にようやく「り災証明書」が届きました。
6月の頭に申し込んでから手元に届くのに、およそ2ヶ月の時間がかかりました。

「り災証明書」の申請については、まず津波被害などに遭って避難所住まいを余儀なくされた人達を優先するという意識もあり、そのため我々の様に取り合えず住む家が無事だった住民達は、当初「り災証明書」を申請するというのには消極的だったのですね。
だから3月から4月にかけての申請数はそれほどの数ではなかったのですが、6月20日からの高速道路無料化のニュースが流れた途端申請数が一挙に増え、そのため仙台市では発行手続きが大幅に遅れてしまったのです。
実際申請に行った人の話を聞きますと、申請窓口には高速道路用と通常の「り災証明書」用2種類の申請書があり、高速道路の方は申請すればその場ですぐ発行してもらえたという事でした。
そして、申請に訪れた人がそこで初めて、「り災証明書」がある事で受けられる様々な免除事項(→一例)を知る事となり、そこで今度はその場で、改めて通常の「り災証明書」を申請するという事が起きたのです。

また、「り災証明書」を発行するには被害を受けた家屋の被害認定が必要となるのですが、仙台市では初めの頃は鑑定士の人が一軒一軒回って家主立会いの下に「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」、「一部損壊」の診断を行っていました。
しかし申請者の増加によって戸別判定が追いつかなくなり、そこで市では作業の効率化を図るため、ただ外観だけで判断する『簡易診断』に切り替え、取り合えず見た目だけの判断で被害程度を認定した「り災証明書」をどんどん発行するという体制に変えてしまったのです。
でも中には、外観はそれほどではないが内側が甚大な被害を被っているという家も実はたくさんあったのです。
そのような所は、一度「り災証明書」が届いた後で市に対して「不服請求」をするという段取りとなったのですが、これがそもそもの問題。
実際にはこのようなケースが非常に多かったのですね。
結局役所には今度は再調査の申請が殺到し、その結果改めて職員が訪問して、家の中を家主立会いの元再診断するという二度手間となってしまったのです(我が家もこのケースでした)。

そしてこのようなケースばかりが原因ではなく、遅れるのには義援金を受け取るシステムそのものにも問題があったと言えます。
義援金を受け取るにはまず「り災証明書」を発行してもらわなければならないのですが、それが届いた後、今度は義援金の受け取りをわざわざ「自己申告」しなければならないのです。
そもそも、家屋の被害診断は市の職員が行うのですから、「全壊」やら「大規模半壊」などの判断が下されたその場で「り災証明書」がすぐ発行されればこんなに遅れる事はなかったであろうし、そしてまた、その場ですぐ義援金請求書を家主に書かせ、職員が役所に戻った時にその書類を担当に提出するとしていれば、被災者がわざわざ役所の窓口に出向く事もなく、役所の窓口業務ももっと簡略化されたはずです。
あるいは、判断が下されたその場で職員が役所の担当に電話し、
「No.○○、Aさん宅、半壊です」
と連絡すればそれで済む訳です(そもそも「り災証明申請書」を提出した時点で、その受付ナンバーがそのまま個人IDとなって登録されているのです)。
「り災証明書」をもらう一番の理由は義援金の支給を受けるためだという事を、本当ならば行政はちゃんと知っているはずです。
仙台市の一番の失敗は、この義援金支給の手続きを【通常通り】に行った事にあります。そもそも今は【非常時】なのです。

実際この処理にどのぐらいの時間がかかるかと言いますと、被災者が義援金を貰おうとした場合、まず「り災証明書」の申請手続きを行い、そして担当の職員が被害診断に来るのが一週間から二週間後となります。
そしてその被害診断から「り災証明書」発行までまた1週間から10日、それからようやく個人が義援金申請書を提出するという二度手間三度手間となっているのです。
人口が少ない町などではこれでも良いでしょうが、人口が多い都市部でこのような通常時の対応をしていたのではとてもさばききれるものではありません。
当然様々な提出書類を簡略化し、申請時点ですぐ支給手続きがなされるような【非常時の対応】が求められます。
仙台市では、この【非常時の対応】が出来ていなかったのですね。

今回このような実体を敢えて取り上げたのは、他の行政機関は仙台市のこの事例を反面教師と捕え、ぜひ他山の石としてもらいたいと思ったからです。
東南海地震が懸念される東京や名古屋などの大都市では、防災マップや帰宅困難者対応など『その時』の備えは色々準備されているようです。
でも果たして『その後』の準備はどうでしょうか。
行政機関での『非常時における事務処理体制』というものが、果たしてどれほど検討されているのかはなはだ疑問です。

被災者が復興への歩みを踏み出そうとする時、それを後押しするはずの全国から集まった善意の義援金、それを一刻も早く被災者の元へ届けられる【非常時の体制】をきちんと想定しておくという事、これもまた行政が行うべき震災に向けての備えではないかと思うのです。

全国版のニュースで、義援金の支給がまだ4割にしか満たないというニュースがありました。
でも4割も支給されているのならまだいい方です。
ローカルニュースで以下のような報道がありましたので紹介します(強調は引用者)。
仙台の義援金 なぜ遅い?
  2011 年 08 月 03 日 20:33 (JNNニュースより)
 震災発生から4か月半あまり、全国から寄せられた義援金は、4割ほどしか被災した人の元に届いていない実態が分かりました。
 中でも仙台市での遅れは深刻です。
 全国から被災地に寄せられた義援金は、総額3086億円で、すでに7割が市町村に送金されたものの、被災者に届いたのは4割に留まっています。
 中でも仙台市は、義援金の支給率が県内の市町村で最も遅く14%と、石巻市、気仙沼市の89%に遠く及びません。
 仙台市健康福祉部の鈴木清隆部長は、「非常に煩雑な処理になっていて、被災地の自治体にとって事務作業は大きな負担。被害を確認して支給するまでに時間がかかる」と説明します。
 これに対し市民からは、「何事も遅い。しっかりしてほしい。他の市町村はもっと早くやっている」「何日くらいでと、はっきり言ってもらえれば都合がつく」といった不満の声が聞かれています。
 義援金の対象は、県内14万の個人や世帯で、当面の生活にも困っている人も多いだけに、義援金を少しでも早く届けられるよう、国や県も職員の派遣や事務の代行といった支援が必要との声もあります。
http://skip.tbc-sendai.co.jp/01news_2/20110803_14113.htm
もちろん仙台市でも他からの応援を頼んではいるのですが(→一例)、支給システムそのものを見直さない限り、このような応援も焼け石に水でしょう。


ようやく届いた「り災証明書」を持ち、義援金支給の申請に行って来ましたが、
「いつ頃振り込まれるのですか?」
と聞いた所、多分どこからか派遣されてきたであろう職員さんの、こういう機械的な返答が帰ってきました。

「大体2ヵ月後ぐらいになろうかと」

「なんですとぉ~~~!」

その答えに、私は思わずクラクラしてしまったのです。


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Unknown (Poisonous_Radio)
2011-08-07 07:42:28
うちは今仙台市の簡易検査待ちの状況で、今後の流れが非常によくわかり助かりました。
しかし今回の震災では、100万の人口を抱える政令市である仙台市のだらしなさが目立ちましたよね。
行方不明者の集計もダントツで遅く、他の市町村に迷惑かけてるような状態だったし。
役場が壊滅したわけでもないのに、なんで?と言うのが正直な感想でした。
こんなていたらくで道州制とか導入されて、まともに国とやりあって行けるのか?たぶん無理だよなぁと。
仙台市にはもっと政令市らしい力をつけてほしいですよね。
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まったくです (OSATO)
2011-08-07 16:52:26
いらっしゃいませPoisonous Radioさん。

まだ判定待ちの状態なのですか? 本当にやんだぐなってしまいますね。
まったく、仙台市の人口が多いのは初めから分かっている事なのですから、早い内に全国から大量の援軍を呼んで、絨毯爆撃方式で一挙にやってしまえば良かったものを、と思ってしまいます(ガスマンの様に)。
聞くところによると、損保の地震保険では、震災直後から大量の調査員を全国より派遣している様です。知り合いの人の所には、四国から派遣された調査員が訪れていました。
仙台市では、こういう非常時の対応が全然出来ておらず、当初は申請書の書式自体も二枚の書類を用意しなければならなかった様で、それが途中で一枚に変更されたとの事でした。まあこんな具合です。

市の簡易検査は当人にはいつやったかも知らされず、突如「り災証明書」が送られてきますから注意して下さい。一応窓口に、いつ頃になるのか聞いておいた方が良いです。
あと、出来れば以下の要領で自己診断しておく事をお薦めします。↓
http://www.city.sendai.jp/hisaishien/1198171_2751.html
私の場合は、お風呂とトイレが駄目になって交換しましたが、これらは「設備等」の項目になり、お風呂:4%、トイレ:1%という配分でした。
内壁のヒビなどは一ヶ所1%として足していけば大体の程度が分かります。
私は都合26%となり、「半壊」認定となりました。
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Unknown (Poisonous_Radio)
2011-08-08 16:23:26
うちの場合は大した被害無いだろうと思っていたのが、きちんと見たら基礎まで被害が及んでいたので、遅ればせながら申請した口でして、そもそも申請するのが遅かったんです。
その時点で申請済み未調査家屋が2万とか言ってましたから、簡易検査は今月中旬以降でしょうね。
ちなみに素人目にはうちは20%前後という非常に微妙な感じですw
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実は多い被害 (OSATO)
2011-08-08 23:25:08
>Poisonous Radioさん。

全国的にはどうしても津波被害に目が集中してしまいますが、実は仙台市内では多くの地域で地盤沈下による被害を受けているのですね。
知り合いの人の所など坂の途中の住宅地で、土地全体が地すべりを起こし、「大規模半壊」の認定でも家の建て替えを余儀なくされました。
そして市の診断ですが、両隣が「全壊」認定だったのに自分の所だけ「大規模半壊」とされ、大変怒っていました。そんなケースがあちこちで起きているんですね。

自分の見た目で20%というのは微妙ですね。
でも本当のプロなら、こちらが気付かない所もしっかり見てくれます。やはり一度内部も見てもらった方が良いかと思いますよ。
「一部損壊」と「半壊」では義援金やら免除事項で雲泥の差があります(「一部損壊」ではほとんどないと言っても良い位です)。
この極端な差が、診断トラブルの元ともなっているのですが。
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もっとかかりますよ・・・ (南光台人)
2011-08-09 13:23:12
5月27日に申請して、6月29日に義援金1次分支給されましたが2次分は8月9日現在でも動きなしです・・・
うちの同居人は証明書の届く時間差の関係で(同じ住所で罹災証明申請日も一緒なのに届く日時が4日も違いが有るのもおかしいのですが・・)
6月1日に申請で8月9日現在で1次配分も2次配分も支給無しです・・・。

なので最近申請なさった方は、このままの行政システムのまま仙台市が行くようでしたら、3~4ヶ月くらい見たほうが良い?と思います。

区役所に問い合わせしても仙台市に問い合わせしても、同じ文言・同じ口調で返ってきますので、(お前らは、オウムかよ^^;)内部でマニュアルでも出来上がってるのですかね・・・・。

仙台市行政がここまで自力が無いとは想像しておりませんでした・・・・・。
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なんという事でしょう… (OSATO)
2011-08-09 21:36:18
いらっしゃいませ南光台人さん、初めまして。

私の知り合いで5月早々に申請した人がいまして、その人の所でも一次分は早め(と言っても5月末)に支給されましたが、二次分は未だに支給されていないそうです。
こういう具体例が報告されますと、遅れているのは自分の所だけではないというのが分かりますね。しかし何と言いますか…。

ニュースではあまり語られませんが、液状化で多大な被害を被った浦安市などは一体どういう対応がなされているのでしょうかね?
被災した他の都市部の状況をぜひ知りたい所です。
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よくわかりました。 (kazu0226)
2011-08-11 09:28:02
私も6月中頃に罹災証明が届きましたので(大規模半壊)、直ちに義援金申請に区役所に行きましたが、その際は1ヶ月くらいで入金されますという説明でした。今日現在第一次配分もまだですので、先週健康福祉局に問い合わせをしましたが、けんもほろろの対応でした。そんなに欲しいのかと言わんばかりの口調で、何かこちらが悪いことをしているのかと悲しくなりました。こちらの皆様のコメントを見て、改めて仙台市の対応がおかしいと納得できました。生活に支障があるから、皆様から寄せられた善意に今回だけはすがろう。そして余裕が出来たら次は私も困っている人に少しでも恩返しをしようと決めていただけに残念な気持ちです。奥山市長も弱者の味方と言っていたのは選挙用の言葉だとよく分かりました。5時になると職員は帰るんでよ。この非常時なのに。でも申請時の区役所の人は本当に良くやっていると思いましたから、末端の職員は頑張っているんです。冷房の効いたデスクで判を押す上の人に危機感が無いんでしょう。
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人員が少な過ぎ。 (OSATO)
2011-08-11 20:45:22
いらっしゃいませkazu0226さん、初めまして。

現場の職員さんは本当は必死で頑張っているのでしょう。でもいかんせん、その人数に対して処理件数が多すぎるのでしょうね。
つい2~3日前、口座への入力業務の人数を【8人】から【15人】に増やしたというニュースを見ました。正直頭が痛くなってきました。
でも実際、これ以上増やそうにも入力用のPCがないのかなとも思ってしまいます。とにかく事務職員の数が少な過ぎというのが一番の原因でしょうね。
もっと早い段階から、全国に援軍を要請すべきでした。

今日の河北新報に各地の義援金の支給状況の一覧がありましたが、仙台市だけダントツに遅いですね。↓
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/76/86aeea3176d15ae18e0f3437214429f8.jpg?random=e0bf5dfbeba769511d2670014f791d7c
それでも、8月4日の『14%』から【16.9%】に増えましたから、まあ多少の進歩と言って良いでしょう。
歩みは亀並みですが。
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Unknown (Poisonous_Radio)
2011-08-12 00:40:13
宮城県内で津波被害のあった自治体の中では、全体に占める被害の割合が最も少なく、人的にも予算規模的にも最も力のあるのが仙台市だと思うのですが、その仙台市が一番足を引っ張っている(行方不明者数の計上とか)というのは非常に情けないですよね。
深刻さが足りないというか、場当たり的で先のことを何も想定していない(ように見える)し。
背伸びして政令市にはなったけど、中身は田舎の役場のままなのですかねぇ...
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頑張ってください! (バランス)
2011-09-05 16:45:13
区役所に行くと平日でも混んでますね。今は税金の減免の相談が多いように思われますが・・り災証明には証明番号があるのに、義援金申請番号がないのは?です。
義援金申請時の担当者は、書類申請受付した時点で完了です。と言ってましたが、普通は控えとか渡しますよね!例えば青葉区で申請したら、A-001とか若葉区ならW-001とか。番号があれば、多少安心しますよね!
義援金だから市職員は、通常業務とは別と考えてるのでしょう。支援金は国からなので、頑張っているようですが・・現在は1日1500件程振り込み手続きしているようなので、我慢して待ちましょう!
市職員の頑張りに期待します。
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