ブログ読者からいただいた質問にお答えします。
質問はこうです。ハイフンの高さは、ふつう、小文字の e o x など上下の飛び出しのない文字の真ん中くらいの位置です。でもそれだと、大文字だけで組んだときとか電話番号で数字の間に入れるときとか、こんなふうにハイフンが下がって見える。
そういうときにハイフンを上下の中心に持っていって、こんなふうにしたいけど、いいの?というわけです。
先に言っちゃいましょう。それは、すっごくオススメです。しないと間違いというわけではないですよ。でも、すると気がきいている。
ここからちょっと細かい解説。
ハイフン( - )
半角ダーシ( – )
全角ダーシ( — )
は、どれも横線ですが、長さが違って、使い道も違います。ハイフンとダーシについては以前書いた記事が
こちら にありますので参考にしてください。全角ダーシは、言いかけて止めた言葉とかを表現するときに使います。日本語でも同じような使い道かな。
ダーシは、ハイフンと同じ高さにつくります。ハイフン、半角ダーシ、全角ダーシを図で見るとこんなふうです。
それを大文字の間に入れるときには、大文字の上下中心に見えるくらいがいいと思います。
大文字用のハイフンやダーシを持ったフォントだってあるし。例えば、これは、
Palatino nova (パラティノ・ノバ)で InDesign を使って組みました。
それを全部まとめて大文字に変換したものが下。「大文字に変換」は、私の(ドイツ版)InDesign の場合のショートカットは command + shift + K です。
そうすると、ハイフンもダーシも大文字用になる。便利でしょ?
上にシフトされる、ということでなく、大文字にあった高さにデザインされた別のハイフンとダーシが使われるわけです。こういうのを、「case sensitive」記号といいます。印刷や出版の用語で大文字は「uppercase」、小文字は「lowercase」と言って、金属活字ケースの配置からそういう名称になったらしいですが、要するにその「uppercase/lowercase」の違いに対応・反応するということです。
下の例は
Palatino Sans (パラティノ・サンズ)で組みました。 Palatino nova と同様、ヘルマン・ツァップさんと私の共同作業です。
下は「case sensitive」記号。
他にも、Adobe Garamond Pro でもできました。そういう大文字用ハイフンやダーシを持っていないフォントを使いたい場合は、もちろん上にシフトさせればいいわけです。