エキサイトイズム エキサイト(シンプル版) | エキサイトイズム | サイトマップ
フォントの違法コピー撲滅(笑)キャンペーン
『Mr.タイポと失われた文字』というタイトル(原題『Mr. Typo and The Lost Letters』)の小冊子ができました。たぶん非売品。
フォントの違法コピー撲滅(笑)キャンペーン_e0175918_453472.jpg


ペーパーバックのコミックの体裁で、ライノタイプ誕生120年記念にあの「ライノタイプの笑える社史」(正しいタイトルは『A Line of Type』)を書いたヤン・ミデンドープ(作)とアレッシオ・レオナルディ(画)の名コンビ復活です。

「笑える啓蒙書」になっていて、フォントの違法コピーをやめてくださいという内容なんですが、筋書きがメチャクチャです。

【あらすじ】
22世紀にタイムスリップした Mr.タイポがたどり着いたのは、フォントの違法コピーが横行する世界。食べて行かれなくなった書体デザイナーたちがみんな仕事を辞めてしまったため、世界から文字がなくなっていく。看板や宣伝、書籍組版がままならなくなって困っている人たちを見た我らのヒーロー Mr.タイポが立ち上がった。彼は世界を救うことができるのか... Mr. Kobayashi も端役で出演。

ベルリンでのイベント用にあわせてつくった T シャツも。この他に2パターンあります。
フォントの違法コピー撲滅(笑)キャンペーン_e0175918_4532097.jpg
「ちゃんとライセンスしたフォントってセクシー」って... もう理屈とかじゃなくなってる... 理屈を並べても違法コピーがなくならないことに気づいたから笑うしかないと。

フルティガーさん、ツァップさんをはじめとする私たち書体デザインの業界は、フォントをきちんとライセンス(購入)してくれる方たちが払ってくれる料金で成り立っています。この前の記事の動画をご覧になった人はお気づきだと思いますが、フルティガーさんは豪邸に住んでいるわけじゃない。2008年に奥さんを亡くされて、いまはひとりでごく普通の老人ホームに入っている、優しいおじいさんです。部屋の大きさは日本風に言えば10畳ないかな。

別のインタビューでフルティガーさんは言っています。「書体カタログを見ると、Frutiger に別の名前をつけて『Frutiger に似た』と脇に書いてあったりするのがあるけど、とんでもない話だ。」 そうです、「Frutiger に似た」書体がいくら売れてもフルティガーさんには一銭も入りません。もちろんライノタイプにも。本当にいい書体をつくるには、ときに数年かかりますが、コピーは1秒です...

ちなみに『A Line of Type』の中身が こちら でちょこっと見られます。最後のページ、右下の人物は私です。
by type_director | 2009-06-18 19:21 | Comments(4)
Commented by つみれ at 2009-06-25 15:57 x
そのコミック・・・とても読みたいです!:D
Commented by type_director at 2009-06-30 23:40
つみれさん、日本で部数限定の配布をいま検討中です!
Commented by たいち at 2009-07-06 16:54 x
小林さま、はじめまして。
いつも楽しく興味深く拝見しております。いつも視点が面白くて勉強になります。
フルティガーさんのお話はどうしてだか和みます。神様達のおそばにおられる方のお話は本当に面白いです。当然小林さまも雲の上の方ですがw
その冊子、サンフランシスコでは手に入りませんでしょうか?Tシャツも可愛いくて、直球のメッセージがとてもマニアック!欲しい!

違法コピーは、職人達へ尊敬の想いを忘れなければ到底できることでは無いのですけどね。デジタル書体になってから、大問題も大問題、本当に大変な問題です。今や信頼で成り立っている業界と言っても過言ではないと思います。
某アジアの国から来た私の友達は、私が正規のものを購入していると言うと、「信じられない。日本人はやっぱり金持ちなんだな。」とかえってきた時はさすがに目眩がして本当に呆れ返りました。おいおい、と。リスペクトの想いをちゃんとお支払いしましょうって。
自分でお金を貯めて買った書体は、自分がデザインした訳ではなくてもすごく愛着がわきますしね。
ちなみに、次は一眼レフのレンズを買うかCliffordを買うか迷っていましたが、このコメントを期に?決定しました!
Commented by type_director at 2009-07-07 04:43
たいちさん、「信頼で成り立っている業界」、まさにその通りです。ある機械メーカーの人に、フォント業界の仕組みを話したらびっくりされたことがあります。「そんな信頼だけが頼りのビジネスモデルが成立するのか!」って。昔は活字はすり減ったし、写植は機械を買うコストが書体の何百倍でしたから、それなりに書体制作のコストは回収できた。それがデジタルになったら、やろうと思えば何万回もコピーできますからね。

7月16日から20日まで、ジョージアのアトランタで開かれるコンファレンス「TypeCon」に私が出ます! そこにたいちさんが来てくれるとか...ちょっと遠いけど...できたら差し上げられるかも。まず主催者に連絡をとってみてください。
『欧文書体のつくり方』
小林章著 Book & Design 刊
欧文書体の第一人者によるフォントとロゴ制作の教科書。美しく読みやすい文字をつくるための基礎知識と考え方を解説。
 
プロフィール

小林 章
欧文書体で120年の歴史を持つライノタイプ社のタイプディレクターとして 2001年よりドイツに在住。同社は 2013 年 3月よりモノタイプ社と改称。主な職務は、書体デザインの制作指揮と品質検査、新書体の企画立案など。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏と共同で書体制作も行っている。欧米や日本での講演多数、コンテストの審査員もつとめる。
著作:『欧文書体:その背景と使い方』『欧文書体2:定番書体と演出法』『フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?』(いずれも美術出版社)『まちモジ:日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?』(グラフィック社) 『英文サインのデザイン:利用者に伝わりやすい英文表示とは?』(田代眞理氏との共著、BNN 新社) 『欧文書体のつくり方:美しいカーブと心地よい字並びのために』(Book & Design)
 
カテゴリ
以前の記事
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
最新のコメント
> 雪 朱里さん コメ..
by type_director at 00:23
小林さん、お忙しいなか「..
by 雪 朱里 at 10:13
早々のお返事をいただきあ..
by szkippei at 23:39
szkippei さん、..
by type_director at 22:02
こんにちは。長年にわたり..
by szkippei at 19:47
akira1975さん、..
by type_director at 13:46
この文字の書体は、もとも..
by akira1975 at 23:17
> かんなさん Ver..
by type_director at 17:34
小林章さん、初めてコメン..
by かんな at 20:49
小林さん、 全く同..
by Masaya KOBATAKE at 17:30
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
雑誌「デザインの現場」の最新号のほか、デザイン関連求人、デザインニュース、本誌連動のインタビュー記事掲載などデザイナーに役立つ情報満載です。
 


XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ