『これ、誰がデザインしたの?』の連載が終わってから、ややふぬけている。さすがに8年もやってきたことは終わったとはいえ、着眼をすっかり取り除くわけにはいかず、「これ誰」だったらどう取り上げよう、という気持ちで日々の物事を見ている自分に気づく。
そんな状況を察したのか、知人から「こんな連載案はどうか?」と提案をもらった。せっかくなので、いくつかご紹介しよう。
まずは私の考えたもの。
『続・これ、誰〜』の巻末につけた言葉だが「これ、誰がデザインしたのっ!」。最後に小さい「っ」をつけることで怒りを演出。
似た企画としてライターO氏からの提案は
「これ、何をデザインしたの?」
一見どういうものなのか分からない。これ何なんですか?と聞きに行くイヤミなライターとして名を確立したい場合は考えたい。
ちなみに上2案が採用された際に是非伺いたいのが、シェーバー会社である。電動のほうではなく、手で剃るタイプのシェーバーについて、そのデザインについて真の意味を問うてみたいのである。
男性用のそれはおおむねTの字、あるいはそれプラス人間工学的カーブによって作られており、色合いもモノトーン、メタリックという道具に徹したものか、スポーツ感を演出している蛍光色アクセントなど。まあ、なんとなく形ができてきた背景も理由も分かる。
問題は女性用だ。ピンクの海洋生物か?と思うような色と形状は果たしてどこから発想を得たものなのであろうか。本当に海洋生物からヒントを得たのであれば、なぜ?
ある日、海女が海に潜ると、海の妖精が現れこういった。
「このホヤで貴女のむだ毛を剃りなさい」。
いや、そんなことはないだろう。
さて次の提案は家具デザイナーのF氏から。
「これ、僕がデザインしたの?」
デザイナーの失敗作について、自分がデザインしたものを忘れないよう、という連載。心の中では安室奈美恵『PLAY』の鞭ポーズを作りたい。
F氏に詳しく聞いてはいないので本人に当てはまるのかどうか分からないが、デザイナー自身が「これは失敗した」と思っていても、クライアントとデザイナーは運命共同体、おおっぴらに口には出せないこともある。そこを、他者の誘導により心を解放させてみる。ある意味デザイナーに対するセラピー連載となるのかもしれぬ。
加えて、インハウスデザイナーの悲痛な叫び特集。
「俺、何をデザインしたの?」
という案もいただいた。リアルデザイナーからの提案はリアルすぎて聞きに行くのが怖い。これは遠慮させていただく。
またもやO氏の第2案は、
「俺、誰がデザインしたの?」
身体自慢、美容自慢のデザイナーさんに、その秘訣を聞く。デザイン誌ではボツ間違いなしだが、どこかの雑誌でやってみたい。