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浪江町津島は福島県の東部、阿武隈山系の山々に囲まれた人口約1400人の平穏な山村でした。福島第一原発... 浪江町津島は福島県の東部、阿武隈山系の山々に囲まれた人口約1400人の平穏な山村でした。福島第一原発から北西に30キロも離れているにもかかわらず、2011年3月11日の事故直後に大量の放射性物質が降り注ぎ、地域の大部分が「帰還困難区域」に指定されたまま、現在も多くの住民が帰れずにいます。 故郷を離れ10年以上を経た今も、人々の心の中には津島での日々がありました。貧しかった開拓時代の記憶、地域コミュニティと共にあった暮らし、綿々と受け継がれてきた伝統文化、今は亡き家族との思い出…。 「100年は帰れない」と言われた故郷・津島の歴史と、そこで生きてきた人々の記憶と感情を映像化したのは、『福島は語る』(2018年)の土井敏邦監督。裁判記録「ふるさとを返せ 津島原発訴訟 原告意見陳述集」に記された住民たちの言葉に衝撃を受けた土井監督は、「この声を映像で記録したい」と原告32名の元を訪ね歩き、10ヶ