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まさにザ・クロサワ・ムービー 今回は黒沢清監督『岸辺の旅』(10月1日公開)を取り上げましょう。まず... まさにザ・クロサワ・ムービー 今回は黒沢清監督『岸辺の旅』(10月1日公開)を取り上げましょう。まず結論から言うと、彼の原点である『CURE』(1997年)から続くモチーフを反復しながらも、後味がすこぶるよろしいという意味で、万人に勧められる映画だと思います。 その一方で、革新的な作品が選出される、カンヌ映画祭の「ある視点」部門で、監督賞を受賞した理由も、よく分かります。つまり、黒沢清作品によく触れている人間からすると、「いつもの前衛的な黒沢ホラーだ」と思える作りでもあるのです。 実は僕、「感動的な映画だった」という人が多いので、「感動的な文芸作を撮るなんて、 堕落したのか」と、観るのに勇気が要りました(笑)。でも、観てみたらいつもの黒沢清でした。それなのにいつもの難解さがなくて、分かりやすい映画であるのに驚きました。 本作は、湯本香樹実による同名小説の映画化です。失踪した夫・優介(浅野忠
2015/10/19 リンク