サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
Switch 2
nazology.kusuguru.co.jp
私たちは日々、音楽を聴きながら生活しています。 お気に入りの曲が流れると、ふと過去の思い出がよみがえってくることも少なくありません。 でも、音楽が単に記憶を呼び起こすだけでなく、記憶そのものを変える可能性があるとしたらどうでしょうか。 ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の心理学研究者リン・レン(Lynn Ren)氏とそのチームは、音楽が記憶や感情に与える影響について革新的な研究を発表しました。 彼女らは「音楽を聴くことで、過去の単なる記憶をポジティブな思い出にできる」と報告したのです。 この研究の成果は、2024年7月2日付で『Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience』誌に掲載され、大きな注目を集めています。 目次 記憶と感情に働きかける音楽の力音楽は過去の記憶に伴う感情を変化させる今聴
誰しも、「今朝はぐっすり眠れたから、調子がいい」と感じることがあるでしょう。 また友人や会社の同僚が「最近、よく眠れていなくて…」と話しているのを聞いたことがあるかもしれまえん。 では、この「よく眠れた」「全然寝た気がしない」という感覚は、実際にはどれくらい正しいのでしょうか。 筑波大学に所属する柳沢正史氏ら研究チームは、自宅で簡単に脳波を測定できるデバイスを使い、人々の睡眠感覚と実際の睡眠状態のズレを明らかにしました。 この研究は、2025年1月16日付の学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されています。 目次 客観的な睡眠評価が必要多くの人が自分の睡眠の時間や質に誤った評価を下している 客観的な睡眠評価が必要 自分では「よく眠れている」と感じても、実際のところはわからない / Credit:Canva
人工知能が、私たち人間と同じように「痛み」や「快楽」を経験する可能性はあるのでしょうか。 チャットボットや画像生成AIの登場で「AIがまるで意識を持っているかのようだ」と感じる瞬間は増えていますが、それを裏づける決定的な手がかりはまだ得られていません。 そんな中、Google DeepMindやロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究者らは、驚くべきアプローチでこの疑問に挑みました。 すなわち「大規模言語モデル(LLM)」に仮想的な痛みと快楽を与え、その行動変化を分析する実験を行ったのです。 痛みや快楽という現象は、人間だけでなく動物全般にわたって広く共有される、いわば“生き物の基本的な感覚”と考えられています。 サメやヤドカリのような生物でさえ、電気ショックから逃れたり、より快適な環境を求めて殻を捨てたりする行動が観察されることからもわかるように、「不快な状態を避け、快適な
アメリカのブルックヘブン国立研究所(BNL)で行われた研究により、陽子内部に強い量子もつれが存在していることが示されました。 陽子は周期表に存在するあらゆる原子核の内部に存在しています。 新たな研究ではこの陽子内部の量子もつれの存在は、内部のクォークやグルーオンを束ね、その一体化を促進する役割を担っている可能性が示されました。 この結果は、量子もつれの存在がわたしたちの物質世界そのものを根底から支えていることを示しています。 研究内容の詳細は『Reports on Progress in Physics』にて発表されました。 目次 量子もつれは単なる不思議な現象ではない量子もつれは私たちを作る物質を支えている 量子もつれは単なる不思議な現象ではない 量子もつれは全てを支えている:陽子内部に強い「量子もつれ」を発見! / Credit:Canva 陽子といえば「3つのクォーク」でできていると
ついに「見た目」まで激変し始めた!実験開始から5年が経つ頃、従順さを増したキツネたちに行動面での大きな変化が表れます。 人に対して甘えた鳴き声を発したり、積極的に手を舐めたり、自ら仰向けになってお腹を撫でさせたり、犬のように尻尾を振り始めたのです。 またこれらの行動は子供だけでなく、大人になっても続けられました。 そしてキツネの子供たちが10世代になる頃には、中身だけでなく見た目まで変わり始めたのです。 ギンギツネは黒と白の体毛がスタンダードなのですが、グループ内でも特に従順で大人しいキツネたちは赤茶色の体毛に変わっていきました。 それから大人になっても耳がピンと立たず、垂れ耳のままになっていたり、尻尾がくるりと丸まっていたり、攻撃的で警戒心の強いグループに比べて、頭蓋骨が小さく、鼻面が短くて丸くなっていたり、脚の長さが短くなったのです。 これらは野生のオオカミと家畜化された犬に見られる違
人類の最良のパートナーである犬がオオカミから進化したことはよく知られています。 野生のオオカミは獰猛で攻撃的であり、人に近づくことはしませんが、約2万〜4万年前に一部の比較的大人しいオオカミたちが人間の食べ残しを漁りにやってきました。 その中で人とオオカミの交流が始まり、大人しい性格のオオカミ同士をかけ合わせることで、人懐っこくて穏やかな犬が誕生したのです。 オオカミの「家畜化」による犬の進化は何千年という長いスパンで起こりましたが、旧ソ連の遺伝学者だったドミトリ・ベリャーエフ(1917〜1985)はこう考えました。 「人の手で実験的に交配を操作することで、他の動物でもより短い期間で家畜化できるのではないか?」 こうして始まったのが「家畜化実験」です。 この実験は40年以上にわたって続けられますが、その結果、驚きの生物が誕生します。 目次 ソ連で遺伝学を研究するのは「死」を意味した⁈「家畜
私たちはふだん「宇宙は 3次元の空間+1次元の時間=時空の織物でできている」と信じて疑いません。 目に見えるもの、時計や定規で測れるものは、当然ながら“時空”を背景に展開していると考えているからです。 しかし、それは本当に「宇宙の根源的な姿」なのでしょうか? アメリカのプリンストン大学(PU)で行われた研究では「時空こそ、もっと深奥な何かが織りなす“投影”にすぎないのではないか」という大胆なアイデアが浮上しています。 映画のスクリーンに映し出される映像が本体ではなく、映写機内部のフィルムにこそ本質があるように、私たちが“当たり前”と感じる時空も、より根源的な“何か”から投影されている可能性があるというのです。 研究者たちも「時空は何らかの形で消え去り、より原始的で深遠な何かに置き換えられなければならない」と述べています。 このような時空を否定する意見は、荒唐無稽に思えるかもしれません。 し
情報を自白させるため、人々は古くから「拷問」を行ってきました。 とはいえ現代ではジュネーブ条約を始め、国際的に拷問を禁止する取り決めがいくつも存在しており、拷問はなくなったかのように思えます。 しかし現実は、現代でも拷問が使用されることは多々あり、その被害者も数多く報告されています。 ニューヨーク・プレスビテリアン病院(NewYork-Presbyterian Hospital)に所属する研究チームは、そんな現代でも行われている拷問の種類とその分布を明らかにしました。 また、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)の研究チームは、拷問による極度のストレスが脳の神経ネットワークに与える影響を解明しています。 依然として後を絶たない「拷問」は、犠牲者たちの脳に「見えない傷跡」を残しているのです。 研究の詳細は、学術誌である2023
「僕はキリストです」「いやいや、私こそ真のキリスト」「何を若造が、キリストはワシじゃよ」 1959年7月、アメリカで前代未聞の心理実験が行われました。 自らをイエス・キリストだと信じ込んでいる3人の妄想患者を一緒に生活させて、何が起きるかを実験したのです。 これは「イプシランティの3人のキリスト」(The Three Christs of Ypsilanti)と呼ばれ、1964年には同名の研究書として出版もされました。 もちろんこの実験は面白半分で実施されたわけではなく妄想の治療として実施されたものですが、後に厳しい批判を受けることになります。 いかにも何か良からぬことが起こりそうですが、さて、3人の自称キリストの対面はどんな結末を迎えたのでしょうか? The True Story Behind The Failed Psychological Experiment Of The Thre
毎朝コーヒーを飲むのが日課、という人は多いでしょう。 そんな人は知らないうちに健康に良い選択をしていたのかもしれません。 アメリカのハーバード大学(Harvard University)とテュレーン大学(Tulane University)の研究者たちは、コーヒーの摂取タイミングが健康にどのような影響を及ぼすかを調査しました。その結果、朝に飲むコーヒーが特に健康に良い可能性があることがわかりました。 この研究の成果は、2025年1月14日に『European Heart Journal』誌に発表されました。 朝の一杯が私たちの未来にどのような変化をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。 脳とAIの内部を移動する不思議な「進行波」脳を結び付ける進行波脳とAIの内部を移動する不思議な「進行波」 / Credit:Canva私たちの脳は膨大な数のニューロン(神経細胞)が結びついた「究極のネットワーク」です。 そして、このネットワークには「ただ点と点が結ばれているだけではない、ダイナミックな活動パターン」が生まれます。 その1つが、進行波(traveling waves)と呼ばれる現象です。 たとえば脳の視覚領域は、私たちが目から取り込んだ映像を分析する“最前線”として知られています。 そこでは、色や
”恵みの雨”とはいいますが、雨が何日も降り続くと、心がどんよりしてきますよね。 しかし今日の地球で雨が続くといっても数日くらいのもの、梅雨や雨季も大体1〜2カ月ほどです。 「十分長いよ」と物申したくなるでしょうが、それは贅沢な悩みなのかもしれません。 なぜなら地球にはかつて200万年間も雨が降りっぱなしの時期があったのですから。 これは「カーニアン多雨事象(Carnian Pluvial Episode:CPE)」と呼ばれるイベントです。 カーニアン多雨事象は自然の生態系をガラリと変え、新たな支配者の誕生をもたらしました。 今回はその”雨の時代”の秘密に迫ってみましょう。 When Earth Endured Two Million Years Of Rain: The Carnian Pluvial Event https://www.iflscience.com/when-earth-
🔥 Giant Honeybees form shimmering waves, the behavior is likely in order to deter bee predators (such as hornets) – Thailand pic.twitter.com/OthdXk6C48 — NatureIsAmazing (@OurNatureRocks) February 4, 2024 野球のスタジアムで、スタンドのお客さんが一斉にウェーブを作ることがありますよね。 ウェーブは一人一人が協調してこそ作れる人間特有の大きな運動ですが、実はウェーブができるのは私たちだけではありません。 この動画に見られるように、ある種のミツバチは巣の仲間たちと協調して、人間より高度なウェーブを繰り返し作ることができるのです。 ではミツバチは一体何の目的でウェーブを作るのでしょう? また互
サルモネラは食中毒の原因になる細菌です。 食べ物やペットからサルモネラに感染すると、嘔吐、下痢、発熱などの食中毒症状を引き起こします。 人間の胃や腸にはこうした病原体と戦い体を守る仕組みがあるにもかかわらず、一体どのようにしてサルモネラに感染するのでしょうか? その答えの一つが、アメリカ・カリフォルニア大学(University of California)のアンドレアス・バウムラー(Andreas J. Bäumler)氏らの研究により発見されました。 サルモネラは小腸で炎症を起こし、アミノ酸の正常な吸収を邪魔して腸内の栄養素のバランスを崩すことで、自分たちが大腸で生き残りやすい環境を作り出していたのです。 研究の詳細は、2024年11月15日付で科学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United State
復讐や憎悪表現として敵を食べることもあった古の中国では仇敵の死体の肉を食べることが多々あった / credit:いらすとや古代中国、唐から宋の時代にかけて、人間の肉を食すという忌まわしい行為が、一部において復讐や憎悪の表現として行われたといいます。 これには複数の類型があるのです。 一つは、民衆が憎むべき権力者の死体を食す例。 二つ目は、怨敵の肉を復讐として食する行為です。 まず、最もよく知られるのが棄市(きし、公開処刑をして死体を晒す刑)での事例です。 『太平広記』や『資治通鑑』には、数多の無実の人々を犠牲にし、民衆から憎悪を一身に集めたある官僚が処刑された際、憤怒に駆られた人々がその肉を競って食らい尽くし、骨を踏み砕いたと記されています。 この惨劇は、単なる死では足りないとする憎悪の極致を象徴しているのです。 またある役人は苛烈な労役で民衆を苦しめたところ、その怒りの末に死後その肉を奪
ある日、何の前触れもなく古びた本が見つかったとしましょう。 ページには物語や理論が整然と記されているのに、どこにも著者の名はなく、執筆過程を示す手がかりもまるでありません。 あるいは、見知らぬ誰かが「自分は遠い昔からこの世界を見てきた」と言いはじめ、それがまるで異世界から来たかのように何の論理的根拠もない不思議な“記憶”に裏付けられている……そんな話は信じられるでしょうか? おそらく多くの人は「SFの話」と思うでしょう。 しかしヴァンダービルト大学の理論物理学者Lorenzo Gavassino博士の新しい論文により、このような著者が存在しない本が“完成した状態”で出現したり、まったく根拠のない記憶を持った人が忽然と現れるといった事態が、ある種の量子力学的現象によって理論上起こり得る可能性が示唆されました。 この仰天シナリオの鍵を握るのがアインシュタインの理論から導き出された「閉じた時間的
This is the cutest, spikiest, tiniest crab in the world! (Don’t quote us on that—it’s called hyperbole.) It was found during an operation in the Gulf of Mexico, which collected samples of mesophotic and deep-sea coral species for lab rearing and propagation. Credit: @sanctuaries pic.twitter.com/ObYx2YveHW — NOAA Fisheries (@NOAAFisheries) January 8, 2025 とんでもなく可愛い深海生物が発見されました。 アメリカ海洋大気庁(NOAA)は先日、水
If you fall in this river, the chances of survival is -0.001 pic.twitter.com/ODPpuRzWVv — JOE 𝕏 (@gani_jonathan) December 14, 2024 この動画では、水の中に入れた魚の死体が、大量の小さな魚によって一瞬のうちに食い尽くされています。 この小さな魚の正体は「ピラニア」です。 「もし、水の中に入れたものが、魚の死体ではなく人間の腕だったら」と考えるとぞっとしますね。 ではピラニアは、川に落ちた人間を食い尽くすことがあるのでしょうか。 ピラニアの生態や過去の事例を解説します。
飢えも病気も天敵もいない「楽園実験」の始まり「楽園実験」が行われたのは1968年のこと。 60年代前半、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)は、同国東部メリーランド州プールズビル近郊で農地を手に入れました。 この土地に建てられた施設で研究プロジェクトを率いていたのが、動物行動学者のジョン・B・カルフーン(1917〜1995)です。 1940年代から1950年代にかけて、カルフーンはネズミの行動観察の中で、特定のエリアでネズミが繁殖しすぎて過密状態が生じると、マウスに異常行動や個体間の攻撃増加などが起きることを発見します。 そしてカルフーンはこの現象が、当時世界的に進んでいた都市化で起こる諸問題と類似する可能性を考えました。 都市では、物資の流通が充実し、農村部と比べて非常に安定した暮らしができます。一方で、都市は人口密度がどんどん高まっていくことで、社会的なストレスが高まっていくことが指
「光を当てるだけで物質が磁石になる」という話を聞けば、多くの人は驚くでしょう。 私たちが普段イメージする磁石といえば、冷蔵庫にくっつく金属片や、方位磁針に使われる小さな磁石などだからです。 そのような身近な磁石たちは光で磁石になったのではなく強力な磁場に晒すことで作られます。 ところが、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)が行った最新の研究では、光を当てただけで、本来は磁石ではなかった物質に磁力を授けることに成功しました。 強力なレーザーパルスを照射して秩序や対称性を一時的に乱すと、思いがけない“瞬間的な相”が生まれる現象は、これまでも多く報告されています。 たとえば「光で超伝導を誘起する」「光で強誘電性を高める」といった例が挙げられ、近年の超高速レーザー分光技術の進歩に伴い次々と見つかっています。 しかし、それらの大半は文字通り“瞬間”で終わり、ピコ秒(1兆分の1秒)ほどしか持続
アレルギー反応は私たちの想像以上に敏感なものです。 みなさんの中にも食物アレルギーを持っていて、日頃から卵や牛乳、小麦、ナッツ、ソバなど、特定の食べ物を摂取しないよう気をつけている方がいるでしょう。 しかし、あなた自身が気をつけているだけではダメな場合があるようです。 2007年、イギリス在住の女性がパートナーとの性行為の直後に、重度のナッツアレルギーを発症する極めて稀な症例が報告されたのです。 女性はナッツを一切口にしていません。 それなのに、なぜ彼女は性行為後にナッツアレルギーを引き起こしてしまったのでしょうか? Woman’s nut allergy triggered after sex in bizarre first https://www.zmescience.com/science/news-science/womans-nut-allergy-triggered-afte
優秀なのに自信が持てない「インポスター症候群」とは?インポスター症候群は1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって提唱された心理特性です。 彼らは、社会的に成功した優秀な人の中に「自分は本当は賢くない」「他人から過大評価されているだけだ」「褒められると人を騙している気がする」と考える人が数多くいることに気づきました。 その人たちは客観的に見て、会社での業績もよく、仕事をこなす能力も優れた人たちでした。 にも関わらず、彼らは自分の能力を不当に過小評価し、自信を喪失しやすく、他人に対して罪悪感を抱く傾向にあったのです。 このからクランスとアイムスは、この心理傾向を「偽物」や「詐欺師」を意味する英語を用いて「インポスター症候群」と名づけました。 インポスター症候群は正式な精神疾患ではありませんが、それに伴うネガティブ思考が深刻化すると心理的ストレスが大きくなり、
皆さんは「もしもあのとき違う選択をしていたら、今ごろどうなっていただろう?」と考えたことはありませんか。 人間は誰しも、日常生活の中で小さなターニングポイントをいくつも迎えます。 たとえば、今この瞬間、この文章を読んでいる“あなた”とはほんの少しだけ違う行動や選択をしている“もうひとりのあなた”が、見えない別の世界に同時に存在している──そんな奇妙な話は、いかにもSF小説に出てきそうな設定です。 しかし実は、この「並行世界(パラレルワールド)」の概念は、量子力学という現代物理学の基礎理論の解釈として、真剣に議論されてきた歴史があります。 これがいわゆる「多世界解釈(MWI)」です。 多世界解釈の根本的なアイデアは、「量子力学において生じる“重ね合わせ”のすべての可能性が、実際に現実として同時に存在する」というものです。 たとえば有名なシュレディンガーの猫の思考実験では「生きている猫」と「死
人類史に散見される「カニバリズム」の証拠人が人を食べる食人行為は一般に「カニバリズム(cannibalism)」と呼ばれています。 この呼び名の起源は、15世紀末の探検家クリストファー・コロンブスにまで遡るものです。 ご存じのようにコロンブスは1492年に、現在のアメリカ大陸にたどり着きました。 コロンブスはその大陸に住んでいた先住民族を「カリブ族(Caribs)」と呼んだのですが、彼らの近隣にいた別の部族から「カリブ族は人間を食べている」との噂を耳にします。 当然ながら西洋文化において食人行為はタブー視されており、コロンブスが持ち帰った噂はまたたく間にヨーロッパ中に広まって、「カリブ族=人食い人種」との認識が定着しました。 このカリブ族から派生して、「食人行為」のことを「カニバル」とか「カニバリズム」と呼ぶようになったのです。 しかし実際にはカリブ族は人食いをしておらず、この噂は真っ赤な
量子力学の常識を揺さぶる新発見が報告されました。 私たちが日常的に知っている「物質」の最小単位は、電子や陽子などの“粒子”です。物理学の世界では、これらの粒子は長らく2種類に分類されると考えられてきました。 1つは電子やクォークなどの「フェルミ粒子」で、もう1つは光子などの「ボース粒子」です。 2つの粒子の違いは明白です。 1つ目のフェルミ粒子は、宇宙にある「物体」を構成するための粒子であり、そのため2つのフェルミ粒子は同じ空間座標に重なることができません。 たとえばフェルミ粒子である「電子」を同じ空間座標に無理矢理押し込んで「電荷マイナス2のスーパー電子」を作り出すことが不可能なのは、なんとなく理解できるでしょう。 一方、光の粒である光子などのボース粒子は、エネルギーを伝達するための粒子であり、2つのボース粒子は同じ場所に重なることができます。 レーザー光のような強力でまとまりのある光を
1945年8月15日、日本の降伏により第二次世界大戦は終結しました。 広島と長崎に二度の原爆投下が行われ、日本国民が未曾有の大被害を受けたことは周知の事実です。 しかしアメリカ軍が三度目の原爆投下を準備していたことはご存じでしょうか? この幻の3発目は戦争終結によって使われることはありませんでしたが、実はその後アメリカでとんでもない事故を起こしています。 それが悪魔の核実験「デーモンコア」と呼ばれるものです。 ここではデーモンコアがどのような事態を招いたのか、歴史の流れと一緒にわかりやすく紐解いてみましょう。 The Chilling Story of The ‘Demon Core’ And The Scientists Who Became Its Victims https://www.sciencealert.com/the-chilling-story-of-the-demon-
アフリカ大陸北部のサハラ砂漠に、盲目の部族が住んでいる村があります。 その村では、生まれつき失明状態(先天盲)にある子供が多く、彼らは砂漠の厳しい環境で盲目のまま生活を送っているという。 生まれる人間の多くが盲目になってしまうなんて、そんな不思議なことが本当にありうるのでしょうか? このような問題は現代の医療で救うことはできないのでしょうか。 今回はアメリカのハワイ大学マノア校(UH Mānoa)に所属する人類学者サキブ・A・ウスマン氏の2024年の論文を元に、この盲目の部族について解説していきます。
懸造とはどんな建築か鳥取県中部に位置する三朝(みささ)町は、自然豊かな山あいに広がる温泉地として広く知られています。 中でも「三朝温泉」は、長い歴史と良質な湯が評判で、湯治場として古くから人々に愛されてきました。 ラドン含有量が高い温泉としても有名で、温泉街には昔ながらの旅館や情緒あふれる町並みが続き、訪れるだけでほっとできる雰囲気が魅力的です。 そんな三朝町の山深い一角に鎮座するのが、修験道(しゅげんどう)の霊場として知られる「三徳山三佛寺(みとくさん さんぶつじ)」。 開山の正確な時期ははっきりしていない部分もありますが、古くは飛鳥・奈良時代にさかのぼるとも言われ、数多くの仏堂が山中に点在しています 三徳山三仏寺は鳥取県東伯郡三朝町に位置する山の中。三朝町は温泉で有名 / credit: Google Map 三徳山の最大の魅力は、荒々しい自然の地形と人の手が生み出した寺院建築の融合に
男女の性行為でも、求愛表現の一つとして「甘噛み」くらいすることはあるかもしれません。 しかしサメの甘噛みはやはり一段レベルが違うのです。 特にオスは行為中にメスの体を固定しておくため、相手に噛みついてホールドし、時にメスの肉を引き裂いてしまうことすらあります。 またメスの方も負けてはおらず、オスに噛みつき返すのです。 さらに米デラウェア大学(University of Delaware)らの最新研究で、野生下のサメの咬み傷を調べれば、彼らの性行為がいつ盛んになるかも当てられることがわかりました。 では過激すぎるサメの性生活に迫ってみましょう。 研究の詳細は2024年12月4日付で科学雑誌『Environmental Biology of Fishes』に掲載されています。 Scientists examine bloody mating wounds to reveal details o
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『ナゾロジー - ふしぎな科学と最新ニュースを楽しく配信!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く