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津田さんから今回の参院選についてポリタスへの寄稿依頼をいただいたが、すっかりぎりぎりになってしまった。以前自分がポリタスに何を寄稿したかをパラパラと振り返っていたのだが、4年前にこんなことを書いていたことを思い出した。 選挙戦が現職優勢で大きな変化がないことを「無風」というが、今回の統一地方選は、無風どころか、いうならば「無音」である。 4年が経った今年は12年に一度、統一地方選と参院選が重なる、いわゆる「亥年選挙」の年である。朝日新聞社の著名な政治記者だった石川真澄記者が提唱したが、大型選挙に向けて2度組織を動員するため、組織が疲弊し組織の力が強い与党が議席を減らすと考えられていた。 今回の亥年選挙はどうか。統一地方選は、前回2015年の統一地方選同様、与党が勝利の構図で与野党対決になったのは11の知事選では北海道のみ。そして北海道知事選も自公推薦候補が勝利した。 そもそも前回2015年
恥ずかしながら今まで政治に疎く、苦手意識さえ持っていた。それでも今回の選挙には必ず行かなければいけないし、周りの若い人にも一人でも多く行ってほしいと願い、SNSでの情報発信を強めるようになった。 そう思ったきっかけは、夫婦別姓を選択できないことだった。 自分たちにとっての当たり前が許容されない 私自身、今年の秋頃にパートナーとの結婚を予定している。料理は彼が担当し、洗濯物は私が担当する。私は気が強く、意見をはっきり言う人間だし、彼は一歩リードするというタイプではなく、後ろからそっとサポートしてくれるような優しい人間だ。そして甘いものや可愛らしいキャラクターが好きだったりする。私たちは、いわゆる日本の「女性らしさ」や「男性らしさ」の範囲の中で生きてはいない。私も彼も、女性性や男性性に対し無頓着だ。 夫婦同姓が求められる中で、女性が我慢を強いられる日本の様子は男女差別に値すると感じていた。実際
候補者男女均等法 今回の参院選は、「政治分野における男女共同参画推進法」(通称「候補者男女均等法」)が成立して初めての国政選挙となる。候補者数をできる限り男女均等にするよう求める法律として全会一致で成立(2018年5月)したのは、努力義務とはいえ、画期的なことだ。 日本はジェンダーギャップ指数110位(2018年)、G7最下位という現状にあり、低さの原因は経済と政治だ。政治分野(144カ国中125位)の評価には、過去50年間の首相の男女比(スコア0)、閣僚の男女比(89位)、そして国会議員の男女比(130位)がある。「130位」が示すよう、女性議員を増やすことは、喫緊の課題なのだ。 しかし、調査によると、各党の女性候補者割合は以下のとおりとなっており、与党の低さが目立つ(自民党14.8%、公明党8.3%)。 法律ができたというのに、自民党と公明党の、この女性候補者割合の低さはどうしたことだ
おそらくバブル体験組のあたりから、今の20代くらいの年代まで、世代内で政治に興味がある人が多数派だったことはないのではないかと思う。社会に対する怒りやら使命感のようなものを内に秘めつつも、周囲の目を気にしたり、あるいは環境が整っていなかったり、自分の生活で手いっぱいだったり、自分の考えに絶対の自信が持てなかったりして、思いをあらわにすることができない人はたくさんいるだろう。私も、社会や政治に全く関心がないというわけではなかったし、時に不条理なニュースを見て義憤のようなものに駆られることはあったけれど、積極的に現場に関わっていこうと思ったことは一度もなかった。20代の前半は投票にすら行っていない。 怒りだとか、使命感だとか、そういったものの発露を冷笑する空気が世間にはずっと流れている 怒りだとか、使命感だとか、そういったものの発露を冷笑する空気が世間にはずっと流れている。私自身もそれにどっぷ
2019年6月30日「ニコニコ動画」で行われた党首討論で、立憲民主党の枝野幸男代表が選択的夫婦別姓制度の必要性を安倍晋三首相に質問すると「夫婦別姓の問題ではなく、しっかりと経済を活性化させる」「(夫婦別姓は)経済成長と関わりがない」と答え、メディアやネット上で批判の声があがった。 7月3日には日本記者クラブ主催の党首討論で、挙手を求められた質問の中で「選択的夫婦別姓を認める」について、安倍首相のみ挙手をしなかった(公明党の山口那津男代表は挙手をした。同性婚については、安倍首相と山口代表が挙手をしなかった)。 安倍首相は、挙手をさせることについて「印象操作だ」と抗議したが、それほど数日前の「夫婦別姓は経済成長と関わりがない」という発言への反発が大きかったとも言える。 Photo by Bundesministerium für Europa, Integration und Äußeres
争われているのは、「政治」 第二次安倍政権になってからの選挙をふりかえると、そして、今回の参院選を見渡しても、とりわけ争われているのは「政治」そのものだと思う。第二次安倍政権が誕生した2012年12月の衆院選では民主党が大敗した一方で、返り咲いた自民党は得票数を伸ばすどころか、実際は減らしている。有権者の多くが期待していた政権交代に対する失望が大きく、投票率が激減したおかげで、自民圧勝、そして維新の会が躍進した。70%近い投票率で民主党をいったん選んだ人々の多くの、政治そのものへの失望が安倍政権を支え、その下での政権運営のなかで、「政治」が輪郭を失い始めた。後にもう少し詳しく説明するが、わたしは、安倍政権が進めてきた、改憲(憲法破壊)政治によって、「政治」が溶解し始めた、それにどう応えるか。今回の参院選で争われているのは、まさに「政治」そのものだと考えている。 新たな〈政治〉の台頭 根本的
毎度のことだが、国政選挙の投票日が近づくとSNS上は荒れてくる。ひとびとは血の気が多くなり、平常以上にそれぞれの正義を掲げて、激しくぶつかり合う。誹謗中傷など当たり前、敵対者はまるで虫ケラのように斬り捨てられる。「もううんざりだ」との溜息さえも、ときに「お前は敵側を利するのか?」「無関心を煽るな!」と興奮気味に問い詰められてしまうほどだ。 正義と正義を掲げるものは別 たしかに、われわれの社会には正義と呼びうるものが存在する。それは、平和でも人権でもいいし、なんなら愛国を加えてもいい。 だが、ここで注意しなければならないのは、正義は存在しても、その正義を掲げる個人や集団の振る舞いが、かならずしも正しいとは限らないということだ。ひとは過ちを犯すものだからである。この前提を忘れると、われわれは途端に過激で奇矯な言動に走ってしまう。 人種差別や性差別などに反対することは正しい。しかし、かといって、
投票したがる7歳娘との会話から 2019年7月21日に投開票が予定される第25回参議院議員選挙の期日前投票に行ってきました。20日から出張で西アフリカのトーゴへ行く予定で、選挙当日は日本にいないからです。そもそも、投票所では当日家にいないことの証明は求められませんから「時間がある時/天気の良い日に投票しておこう」という軽い気持ちで期日前投票を利用してもいいと思います。 私は東京都在住で、今回は6議席に20人が立候補しており激戦です。支持政党がないこともあり、掲示板に候補者のポスターが貼られた時は、どうやって決めようか、と迷いました。 迷った時は信頼している人の意見を聞いてみよう、というわけで、小学2年生の娘に尋ねました。娘は「選挙」に興味があり、春の統一地方選挙の時は同じ小学校のお友達と一緒に「誰を応援するか」熱心に話し合っていたそうです。私の住んでいる地域は候補者の男女バランスや年齢構成
今回2019年7月の参議院選挙では、候補者の女性比率が28.1%と過去最高であった。まだ3分の1に満たない数字だが、少なくとも改善の方向にあるのは評価したい。 過去の参議院選挙の候補者を見てみると、1980年における女性比率は わずか6.3%だったが、拘束名簿式比例代表制を導入した1983年で12.8%に上昇、以降は順調に伸びていって、2001年には 27.6%と最高の比率となった。 しかしその後に伸び悩みがあり、前回の2016年 は24.7%となっている。つまり今回の28.1%は、18年ぶりの記録更新となるのだ。 ただしその内実は各政党により大きく異なる。主要政党における候補者の女性比率と、非改選の議員も含めた、選挙前の参議院での各会派の女性比率を見てみよう。 自民 :14.6%(82人中12人) 選挙前15.2% 公明 : 8.3%(24人中 2人) 選挙前20.0% 立憲 :45.2
美容師は期日前投票に行く 以前、私のヘアカットを担当してくれていた美容師は、「中身は必ずしもギャルじゃないんだけれど、自分にはギャルファッションが最も似合うのでギャルに寄せている」という20代前半の女性だった。 「いかにもギャルだろ、って感じで来られるとムカつくんですよー」という彼女の愛読していた漫画は『はいからさんが通る』で、なんとも不思議な世界観の持ち主だった。腕は確かで、私のような客とのなんてことない会話にも、鏡越しに表情豊かなリアクションをしてくれて、美容院というものがそもそも苦手な私も、「ようやく美容院難民を脱出できた。永住できる店と担当美容師が見つかってよかった」と思ったほどだった。 数年前、いつもの世間話の延長から選挙の話になった。 「私たちって、日曜が休みってことがないので、毎回期日前投票なんですよね。今回ももう行ってきました」 そう言われて、そうか、期日前投票って職業柄そ
2019年7月10日にNHKで放送されたNHKから国民を守る党の参議院比例代表選出議員選挙の政見放送の書き起こしです。 NHKから国民を守る党の政見放送です。お話は、NHKから国民を守る党代表・立花孝志さんです。 立花:私は元NHK職員で、NHKから国民を守る党代表の政治家YouTuber、立花孝志でございます。今から、まあまあ面白い政見放送しますので、皆さん録画をしてYouTubeにアップロードしてください。この放送に著作権はないので、どんどんYouTubeにアップロードして拡散してください。 NHKから国民を守る党の公約は、ただ一つ。それはもちろん、NHKをぶっ壊すでございます。 さあテレビの前のあなたもご一緒に、NHKをぶっ壊す。 スタジオにいるNHKの職員もみなさんもご一緒に、NHKをぶっ壊す。 やるわけないですね。NHKをぶっ壊すとは、NHKに受信料を支払わない方には、NHKの電
参院選の争点として憲法改正、消費税、年金問題などが注目を集めているが、ジェンダー、セクシュアリティにかかわる問題について、各党がどのような公約を掲げているかも注目に値する論点のひとつである。 選挙を前にした公約ではどの党も美辞麗句を並べるのは当然といえば当然なので、その点では列挙された項目をざっと見ていても大きな差を見いだしにくいかもしれない。それでも一方にあって他方にない項目は何か、似たような項目でも公約全体のどこに配置にされているかなどを見ると、この問題に対する各党の態度が見えてくる。 政治的には、ジェンダー、セクシュアリティ問題は「社会の中で弱い立場におかれた女性や性的マイノリティの人たちをどう救済するか」という問題として語られがちだが、実はもっと大きな射程をもっている。例えば、女性が働きにくいのはいわゆる「男性稼ぎ主モデル」のもとで妻が家事育児を負担する仕組みが変わっていないからで
震災後間もない2011年6月、津波被災地の内発的な復興を考えるヒントとして、或る学者の書が復刊された。山口弥一郎著『津浪と村』である。山口は田中館秀三に地理学を、柳田国男に民俗学を学び、98年の生涯を学問に捧げた巨人だ。 山口は明治35年(1902年)、福島県大沼郡新鶴村(現会津美里町)に生まれ。24歳、福島県立磐城高等女学校で教壇に立つと、常磐炭田の炭鉱集落の調査を開始。中国、韓国、沖縄、台湾へと研究範囲を広げ、やがてその土地に受け継がれて来た生活、風俗、習慣に関心を持つようになると、民俗学的なアプローチも貪欲に取り入れた。炭鉱民俗誌に発表した論文が柳田国男の目に留まる。 昭和8年(1933年)、昭和三陸地震による大津波が発生。山口は昭和10年(1935年)冬から三陸沿岸の集落を歩き始める。明治29年(1896年)の明治三陸地震による大津波と合わせ、被害と再興の状況をつぶさに見聞した。こ
病気や災害をどうとらえるか 東日本大震災の発災当時、私は週刊新潮という雑誌の記者をしていて、被災地に初めて行ったのは3月18日、岩手県釜石市でした。 その後、4月22日に福島県双葉郡楢葉町で原発作業員を束ねる会社の社長をしているMさんに出会い、3年間毎週のようにMさんやその父親、そして楢葉町で一度も避難をせずに老母の看取りをした伊藤巨子さんに会いに行きました。その時自分が感じたことを著書『境界の町で』にまとめました。 Photo by 岩本室佳 取材をしている最中、私の精神状態は悪化の一途をたどり、2013年には重い抑うつ状態となり、起き上がることも着替えることも食べることもできなくなりました。精神科病院に行った結果、受けたのは「双極性障害」という診断でした。 なぜ病気になったのか。もちろん取材で見聞きした過酷な被災地の状況がストレスになり、それが引き金になった、それもひとつの理由だとは思
今年も、3月11日がやってきた。震災から8年が過ぎたことになる。 8年という時間は、長いとも短いとも言える。8年かけてようやく日常が戻ってきたという声もあれば、山積みになっている未解決な問題を処理するためには、まだまだ時間が必要だという声もある。それらはどちらも真実だろう。 ひとつだけはっきりしているのは、ぼくたちは年々、震災について語らなくなっている、ということだ。これは美術の世界でも同じで、美術館での企画展やコンペ、美大芸大の卒業制作展でも、震災をテーマにした作品は、年々少なくなってきている。これは首都圏だけに観測される事象ではなく、東北での展覧会や卒業制作展も、概ね同じような傾向にある。 8年経って、徐々に震災の傷が癒えてきたのだ、と捉えることもできるだろう。たしかに、心の傷が癒えるためには、適度な「忘却」が必要である。震災の傷を片時も忘れることなく、常にトラウマティックな苦しみに苛
今この原稿は出張先、台湾の台北で書いている。沖縄県知事選挙の実施は2018年9月30日に迫った。県知事の選択は県民が行うものだが、その争点についてはこれまでもポリタス誌上に、県民、非県民を問わず、幾つも詳しい良質の評論が掲載されていると承知する。確かに基地問題の是非も、経済振興の効果も、沖縄の未来を考える上では非常に重要な問題だろう。 しかし、ここで今更筆者がそうしたステレオタイプの議論を繰り返す必要は乏しいと考える。そこで今回は敢えて、日本の沖縄県の県知事選挙を台湾の台北から眺めるという、ある意味では主観的でも客観的でもない、新しい視点を提供しよう。2018年9月末の時点で台北から沖縄を見ると「こうも見える」という一例だと割り切って、以下をお読み頂きたい。 台湾は1972年のニクソン訪中以降、その島の安全保障そのものが重大な危機に陥ったが、現在もその状態は基本的に変わっていない。特に近年
私事ながら、この夏から20年間暮らしていた那覇を離れ、京都に移り住んだ。とはいっても、月に一度は那覇に通っているので、本土と沖縄を交錯させながらの二重生活である。 理由はいろいろあるが、論じられているところの沖縄問題を間近で見続けたために、その副作用が生じたといおうか。目先の出来事だけにとらわれて、重要な事態を見落としたり、鈍感になっていたりするケースが多くなってきたからである。 とりわけ今年の沖縄は7月以外はすべて首長選や市議会選挙という「選択の年」である。辺野古の新基地建設問題の行方を決定づける知事選も明日に迫り、県民投票の制定に向けて県議会が招集されることも決定した。 近視眼的になってしまっている自分の「視力」を矯正させるためにも、少し距離を置いて沖縄を見てみたいという気分になったのだ。 反基地だけでは勝てない さて、今回の知事選は4年前とはずいぶん異なる様相を呈している。前回の知事
なぜ私が沖縄の抱えている諸問題に関心を持つようになったのか。一言では言い表せないが、祖父母や親戚から聞いた沖縄戦や戦後史の影響が大きい。今は亡き祖父は、地上戦を経験した。私の曾祖母にあたる彼の母と艦砲射撃の中を逃げまどった。 お母さんが流れ弾にあたって亡くなったこと。亡くなったお母さんを背負い、無数の死体を踏みながら北部まで走ったこと。お母さんを埋めた場所が分からなくなって、骨の代わりに泣きながら石を拾ったこと。 祖父本人は多くを語ろうとしなかったけれど、沖縄の歴史は、私の歴史でもあると感じている。 沖縄の人々は、日本全体からみれば、少数派であり、その主張はなかなか理解されない。「少数派が意見を言うなんて生意気だ」そんな空気を感じるし、「被害者ぶるな」と言われることもある。 私は、沖縄にはこのような視点を内面化することなく、困難な歴史を抱えた分だけこれからは幸せになってほしいと思っている。
2018年8月8日の翁長知事の逝去の衝撃から覚めやらぬうち、暦どおりに走り出した選挙の生んでいる状況の中に、多くの人がいやおうなしに引き摺り込まれ、日々、一喜一憂している。 選挙運動に積極的に関わり肉体的に忙殺されている人がいる一方で、遠くから見守るしかないことで、言葉だけが溜まっていく私のような者もいるだろう。投票日が迫り、情勢が一刻一刻変わっていく中で、県外の沖縄出身者、さらに言うなら自らを沖縄人と認識している者の立場で、矢も盾もたまらない気持ちと、その一方で、視点を後ろに引いて落ち着いて考える必要性を感じながらこの文章を書いている。 実を言うと私は、沖縄の選挙について県外の人間が過剰なほどの情熱で介入したり発言したりすることに対して、いささかアレルギーを持っている。本土の政治的な左右の軸とそこでの得失の基準をそのまま沖縄の選挙戦に投影した過大な期待や、それに添わないからということでの
デニーさんという人は信頼できる 私が今も沖縄県民だったら、今回の沖縄県知事選挙ではためらうことなく、玉城デニー候補(58)に投票するだろう。理由はとても単純である。私は彼、「デニーさん」と直接話したことがある。彼の、笑みを絶やさぬ穏やかで優しい語り方から、その人柄に感銘したからである。この人は信頼できると思った。そして、米兵を父に持ち、コザ暴動の時代も体感しただろうこの人は、沖縄というものを知っていると確信した。 米兵を父に持ち、コザ暴動の時代も体感しただろうこの人は、沖縄というものを知っている それは1996年、地位協定と米軍基地縮小をめぐる県民投票が迫るころ。私も沖縄県民だった。沖縄本島中部のコザに拠点を置くコミュニケーションFMラジオ局、FMチャンプラの夜の生特番に、ちょうどその年に大阪から沖縄に移住してきた沖縄人二世の仲村清司さんと一緒に呼ばれた。2年ほど前に「ウチナー婿(沖縄県民
アンパンとメロンパン 沖縄知事選挙を控えて、命題を提起しようと思う。 民意と選挙は似て非なる概念である。 民意と選挙は似て非なる概念である。 消費者がおにぎりを食べたいと思って買い物に出かけても、店頭にアンパンとメロンパンしかなければ、どちらかを買う以外に空腹を満たす方法はない。どちらかを選んだからといって、それが消費者の望み(民意)だとは言えない。 沖縄では、2010年の知事選挙でアンパンが選ばれた。知事はアンパンが沖縄の民意だとして県内経済をアンパンで埋め尽くした。 Photo by 岩本室佳 2014年の知事選挙では、一転してメロンパンが選ばれた。メロンパンを主張した知事はそれからほぼ4年間、メロンパン対策に県政の大半の資源を投下した。 Photo by 岩本室佳 沖縄選挙区の特徴であり問題点は、常に「経済発展」か「基地撤去」か、という二者択一に論点が矮小化されてしまうことだ。選挙の
大地震、大津波、原発事故という未曾有の複合災害に見舞われた東日本大震災から7年の月日が経つ。その間「復興」はどの程度進んだのだろうか。 復興庁は2016年3月までを「集中復興期間」、それ以降を「復興・創生期間」と位置付け、発災以来いくつかの指標にフォーカスして東北被災地の復興の進捗状況と今後のロードマップを定期的に公表してきた。 2018年1月に公開された『東日本大震災からの復興に向けた道のりと見通し』によると、震災前と比較した被災者用住居の復興度は、民間住宅等用宅地で80%、災害公営住宅で92%。2018年度末には住まいの確保に関する事業の大枠が完了する見込みとなっているほか、医療施設は97%、学校施設は98%が復旧している。 各種インフラの復旧は2016年までに概ね終了した。2015年3月1日には常磐自動車道が全線開通。復旧作業の遅れていた鉄道もここ数年で作業が進み、2020年春にJR
どうも立憲民主党と希望の党、形勢が逆転するんじゃないか――選挙戦も大詰めを迎え、そう囁かれるようになった。この事態に、一番ほっとしているのは安倍首相だろう。 なぜ野党がこのように分裂する事態になったのか? 前原さんが希望の党に賭けたのは、民進党だと勝てないと踏んだからだ。今年7月2日に行われた東京都議会議員選挙で、自民党も民進党も小池さんに惨敗した。前原さんにしてみれば、このまま衆院選を戦ってもまたダメだろうと思ったに違いない。そこに小池さんが希望の党を立ちあげた。小池新党に合流することで、うまくいけば自民党に迫ることができるだろう。自民党の議席が過半数を割るような事態が可能になるだろうと夢をみた結果がこれだ。 「小池劇場」のどんでん返し 僕はやっぱり、小池百合子の存在感はすごいと思う。都議選で都民ファーストの会を立ちあげて、人々が名前も知らない、どういう人間かわからない、実績も何もない人
今回の衆議院選挙は、この社会における「政治という仕組みの限界」を、より顕著に表している。これから私が行う問題提起は、別に今回の選挙戦に焦点を当てたものではない。今後、我々が何十年、何百年にわたって向き合わなければいけないジレンマについて、とりあえず書きなぐってみたものだ。選挙が急にはじまるもんで、いつもポリタスの記事はゆっくり書ける時間がない。笑 人や政党に信託すべきか、論点やその中身に票を投じるべきか 政治の論点は、もとより曖昧になりがちである。というのも、日本国内に遍く存在する社会的な課題を、逐一議論の俎上に乗せて、一つひとつ国民が議論して決めていくことはできない。それゆえに、国民は政治家やメディアが恣意的に決めた論点を「マニフェスト」という形で受け止め、自分たちの意向を代理で実行してくれそうな政治家や政党に票を投じることになる。 かつて民主党政権が示したように、論点や意向が有権者の意
すこし前、北田暁大さんや稲葉振一郎さんたちと「リベラル懇話会」というものをつくり、数十人の研究者が集まって数週間でだだっと、反緊縮とリフレと再分配とマイノリティの権利擁護などを中心とした政策提言のようなものをつくって、(当時の)民主党の岡田代表のところに持っていった。1時間ぐらいだったか、こちら側からプレゼンして、質疑応答みたいになったときに、岡田さんはとにかく財源がないんだ、という話と、これを発表してほんとに支持率が上がるのか、という話をされていた。 私はなんとかわかってもらいたくて、いろいろ一生懸命しゃべったのだが、そのときに同席されていた辻元さんに向かって「福島先生! 福島先生!」と喋りかけてしまい、会合が終わってから 「辻元や!」 とお叱りを受けてしまった。こちらはもう大汗をかいてひたすら謝ったのだが(まわりのメンバーも石になっていた)、辻元さんは笑っておられて、さすがに面白い方や
ぼくは怒っている。そしてもう怒り疲れて何もかも虚しいという気持ちになっている。これから毅然と投票に向かう人は、このテキストを読まない方がいい。何しろぼくは、これから4000字にわたって「おれは怒っている」ということを書き連ねるからだ。 Photo by Iwao (CC BY 2.0) 誰に投票するか悩ましい、というより、未だに「ふざけんなよ」という思いを捨て去ることができずにいる 支持する党があり、明確な論点が存在し、投票せねばならぬという確固たる意志を持っているあなたや、どこに投票したらいいのかの判断材料が欲しいという人は、今すぐこのトップページへのリンクをクリックして、多角的に分析できる他の論考を読んで頂きたい。選挙運動はすでに始まっている。しかし、誰に投票するか悩ましい、というより、未だに「ふざけんなよ」という思いを捨て去ることができずにいる。マスコミが「選挙モード」になってくると
比例で「民主」とだけ書いたってかまわない 今回の衆院選挙について、政局とかイデオロギーとかではなく、なにか別の方向からの考え方はないだろうか、と考えていた。すごく嫌われる考え方だろうと初めから理解はしているが、思いついたことがある。シンプルな3つの投票原則である。 まず、投票について別の考え方はないだろうか、と考えるきっかけは、積極的棄権を呼びかけるニュースを見かけたことだった。それも納得できる考え方の1つではないだろうかと思ったのだ。 選挙といえば、「必ず投票に行きましょう」といかにも上から目線で言われるものだが、それが常に正しいというものでもない。例えば、12月1日にカタルーニャで実施された、独立を問う住民投票もそうだ。投票者の9割が独立を支持した。それだけ見れば熱狂的な独立支持だし、なんというか立憲民主党に寄せるネット民の期待を連想させるようでもある。だが、棄権は6割近かった。棄権に
ミサイルはみんな怖い 今回の衆院選挙の争点の一つとして、「北朝鮮の脅威」への対応があるらしく、ほとんどの党が安全保障に関する項目を公約の中に入れている。日本の領土の上(といっても、ものすごい高高度なわけだが)を複数回ミサイルが通過する事態に、不安を感じる人が多いのは至極当然であるから、各党が公約に関連する条項を掲げるのは不思議ではない。 これらの公約を見比べながら、私はこの国に住む人たちの命と安全を本当に守ってくれるのは、だれなんだろうと考える。 不安を払拭することの困難 2017年9月1日に、日本学術会議が原発事故による子どもの健康被害に関わる重要な報告書(「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題―現在の科学的知見を福島で生かすために―」)を出した。日本学術会議は、国内のさまざまな分野を網羅した科学者の代表的組織である。そのレポートによれば、事故による胎児への影響や、甲状腺ガンへの影響は
北朝鮮問題は争点にあらず! 北朝鮮情勢の緊迫は、選挙にどう影響するのか? たとえばこれから10月22日の選挙日までに北朝鮮がミサイルを発射した場合、若干、自民党に有利に働く。いっきに無党派層が流れるほどの大きな影響ではないが、やはり不安感は現政権与党に有利だ。自民党自身も「国民を守れるのは自民党だ!」とアピールしているが、実際、ミサイル防衛の構築や米国との軍事的協調を進めてきた自民党政権の安全保障政策を支持している層はおり、北朝鮮情勢への不安感は、そうした層の投票行動に多少は影響を及ぼすだろう。 Photo by Nori Norisa (CC BY 2.0) ただ、政権選択選挙の現状において、北朝鮮問題に対する政策は、実は現実的な争点ではない。 まず、有事への対処という側面をみると、日米同盟破棄などの極端な政策でもとらないかぎり、北朝鮮有事に対する日本の安全保障措置は、自民党政権でなくと
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