ソニー、フルHD AVCHD対応の「サイバーショット」2機種
-3D静止画対応の「WX5」と「TX9」。“フルHDが当たり前”
ソニーは、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」の新製品として、裏面照射CMOS搭載で、フルHDのAVCHD動画撮影が可能な2機種を8月7日に発売する。
DSC-WX5 | DSC-TX9 |
価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、「Wシリーズ」で光学5倍ズーム対応の「DSC-WX5」が35,000円前後、薄型/タッチパネル「Tシリーズ」の「DSC-TX9」が45,000円前後。
カラーは、WX5がゴールド、バイオレット、ブラウン、シルバー、ブラックの5色。TX9がダークグレー、ゴールド、レッドの3色を用意する。
なお、同日発表モデルとして、撮像素子がCCDで動画がMPEG-4/VGA記録の「DSC-T99」(8月7日発売/店頭予想価格27,000円前後)と、T99のデザイン特化モデル「DSC-T99D」(8月20日発売/店頭予想価格29,000円前後)もラインナップしている。
DSC-T99 | DSC-T99Dのブラウン | DSC-T99Dのゴールド |
■ フルHD AVCHD撮影対応、2種類の3D静止画撮影機能も
DSC-WX5 |
動画撮影機能については、2月発売のDSC-TX7と共通。連続撮影できる動画の最長時間はAVCHDでも29分、MP4モードでは約29分または最大2GBという制限がある。
なお、動画撮影の用途を考慮し、バッテリパックの2個セット「2NP-BN1」も8月7日に発売。2個使用することで、WX5使用時(AVCHD HQモード)で、最大約120分の動画撮影が行なえる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は6,500円前後。
フルHDのAVCHD動画撮影に対応 | バッテリの2個パックも新たに発売 |
3Dスイングパノラマで撮影した静止画は、対応BRAVIAで立体視が可能 |
撮影した画像を3D立体視するには、3D表示に対応したソニーの液晶テレビ「BRAVIA」にHDMI接続することが必要。「DSC-WX5」は本体にミニHDMI端子を備え、「DSC-TX9」ではUSBなどのマルチ端子がHDMI出力にも対応する。
加えて、本体液晶だけで3Dの奥行き感を表現できる「スイングマルチアングル」撮影モードも搭載。本体液晶モニタに静止画を表示しながら左右に傾けることで、センサーと連動して表示を変化。中心となる被写体と背景に立体感を持たせた表示が可能となる。
テレビに3Dで表示できる「3Dスイングパノラマ」モード | 本体でも3D風に表示できる「スイングマルチアングル」モード |
スイングマルチアングルの説明 |
なお、記録した静止画のフォーマットは「3Dスイングパノラマ」、「スイングマルチアングル」ともにMPO形式(多視点)を採用。ファイルとしてはJPEGとMPOの2つが生成される。
スイングマルチアングルで撮影したサンプル(右はHDMI接続したBRAVIA) |
■ 新開発の裏面照射CMOS搭載。「プレミアムオート」も
撮像素子は新開発で、DSC-WX5/TX9ともに、1/2.3型、総画素数1,280万画素の「Exmor R」を搭載。有効画素は1,220万画素。記録メディアはメモリースティック デュオとSD/SDHC/SDXCカードに対応する。内蔵メモリは32MB。
DSC-WX5のレンズは光学5倍ズーム対応の「Gレンズ」。F値は2.4~5.9、35mm換算の焦点距離は24~120mm。DSC-TX9は光学4倍ズーム対応のカールツァイスレンズ バリオ・テッサーを搭載。F値は3.5~4.6で、35mm換算の焦点距離は25~100mm。いずれも、映像処理エンジン「BIONZ」を搭載する。
WX5のゴールド | バイオレット | ブラウン |
シルバー | ブラック |
WX5はレンズ鏡筒部分も本体カラーと統一 |
デザイン面の特徴としては、WX5は鏡筒部分にも本体カラーと同じ色を採用。また、TX9はフルHD録画対応ながら、本体の薄さ17.5mmのスリムな筐体で、液晶はタッチパネル仕様となっている。
液晶は、WX5が2.8型/約46万画素。TX9が3.5型/92万画素。WX5は前述の通り、ミニHDMI端子を搭載するほか、USBやAV出力などを兼用したマルチ端子も備える。TX9はHDMI/USB/AV出力兼用のマルチ端子を採用。画像管理用のPCソフト「PMB(Picture Motion Browser)」を同梱し、AVCHD動画編集も可能。さらに、カメラの本体メモリに機能限定版ソフトの「PMBポータブル」も収めている。
WX5の液晶 | 天面にステレオマイクを内蔵する |
「背景ぼかし」と「美肌モード」のサンプル画像 |
静止画の新機能としては、「背景ぼかし」モードと、「美肌」モードを採用。「背景ぼかし」は、通常の撮影画像のほかに、ピントをずらした参照用画像も高速連写で生成。1枚目の背景部分にのみぼかし処理を加えることで、コンパクトデジカメながら、背景をぼかした画像が作成可能。ぼかしの強度は3段階から選べる。また、「美肌」モードは、最大8名までの顔に対応し、しわやシミを目立たなくする明るい撮影が行なえるという機能。
TX9のゴールド | ダークグレー | レッド |
TX9の天面 | 薄さは17.5mm | TX9の液晶はタッチパネル対応 |
「プレミアムオート」を採用 |
また、従来の「おまかせオート」が進化した「プレミアムオート」モードを新たに採用。従来の「手持ち夜景モード」と「逆光補正HDR」、「手ぶれ軽減モード」を集約したもので、モードを切り替えることなく、撮影シーンや被写体に合わせて、画像の重ね合わせによる高画質夜景撮影やダイナミックレンジ拡大、ホワイトバランスの調整などがオートで適用される。そのほか、従来機種でも対応していたスイングパノラマ撮影にも対応する。
そのほか、DSC-TX7などが対応していた近接無線転送技術のTransferJetも両機種でサポート。対応する8GBのメモリースティックPRO-HG Duo「MS-JX8G」や専用ステーション「TJS-1」と併用する機能で、対応機器同士で静止画が手軽に転送できる。
TX9のみの機能として、顔検出により自動的に周囲の人物を撮影するパーティーショットにも対応。専用クレードルの「IPT-DS1」と組み合わせることで、従来機種のTX7などと同様に自動撮影が行なえる。さらに、新機能として「パノラマオーダー撮影」にも対応。これはTX7で対応していたオーダー撮影が進化したもので、任意のタイミングでパノラマ撮影が行なえる。そのほか機能改善も行なわれており、感度を高めて被写体ブレを軽減するモードや、ズームの利用などで、似た構図が多くなることを防ぐように修正。さらに、制御ソフトの改善で、動作ノイズも低減した。
■ 動画/静止画共有サービス「Personal Space」に対応
Personal Spaceで家族などプライベートな写真を共有できる | Personal Spaceの使用方法 |
上記ソフトはSNSのFacebookにアップロードする機能も備えているが、「Personal Space」は指定した人のみと共有できるプライベートサービスであることが特徴。専用サーバーにファイルをアップロードすることで相手にメールが送られ、受信者が閲覧可能となる。
共有したいメンバーを複数設定することで、グループ単位で共有することも可能。なお、今後はPCだけでなく、スマートフォンや他のソニー製品との連携も図っていくとしている。
■ 「コンパクトでもフルHDがあたりまえ」でシェア20%へ
ソニーマーケティングの下野裕氏 |
サイバーショットで初めてフルHD AVCHD撮影に対応した2月発売のTX7やHX5Vにおいては、ユーザーアンケートで「フルHD動画撮影」を購入重視点に挙げた人が7割を超えたことを紹介。また、6月に発売したNEXで、“一眼とコンパクトの間”の市場を創出し、デジタル一眼としてはブランドシェア20%以上を獲得したという。これらの製品の伸びにより、一眼/コンパクト/ビデオカメラの総計では、金額シェアでトップを獲得したという。
今回の新しいサイバーショットについては、新たにフルHD対応機種をWXシリーズにも拡大したことで、コンパクトでも「これからは“フル(ハイビジョン)”があたりまえ」という点を訴求。「新たな価値提案を拡大し、市場を拡大したい」との意気込みを見せた。
現在、コンパクトデジカメでの同社市場シェアは台数ベースで13~15%、2~3位で推移しているという。新モデルの投入によりトップシェアを目指し、そのためには20%程度までの拡大が必要と見ている。
新製品のうち「DSC-WX5」のプロモーションとして、テレビCMを8月下旬に放映予定。「もうフルハイビジョンがあたりまえ -写真も動画もプレミアム画質-」をメッセージとして、実際のサイバーショットで撮影した素材を用いたCMになるという。
金額ベースでのこれまでのシェア推移(一眼/コンパクト/ビデオカメラ総計) | TX7/HX5Vのユーザーアンケート結果 | 他社製カメラの720p動画と、ソニーの1080i動画の比較デモ |
型番 | DSC-WX5 | DSC-TX9 |
撮像素子 | 1/2.3型 ExmorR CMOSセンサー | |
総画素数 | 1,280万画素 | |
有効画素数 | 1,220万画素 | |
レンズ | Gレンズ 5群6枚 (非球面レンズ5枚) | カールツァイスレンズ バリオ・テッサー 10群12枚(非球面レンズ6枚/プリズム1枚) |
光学ズーム1 | 5倍(動画記録中光学ズーム対応) | 4倍(動画記録中光学ズーム対応) |
F値(開放) | F2.4-5.9 | F3.5~4.6 |
焦点距離(35mmフィルム換算) | f=4.25-21.25mm(24-120mm) | f=4.43-17.7mm(25-100mm) |
画像処理エンジン | BIONZ | |
手ブレ補正 | 光学式 | |
液晶モニタ | 2.8型/約46万画素 クリアフォト液晶プラス | 3.5型/約92万画素 エクストラファイン液晶(TruBlack) タッチパネル |
外部記録メディア | メモリースティック デュオ SD/SDHC/SDXCカード | |
内蔵メモリ | 約32MB | |
静止画記録可能枚数/時間 | 約230枚/約115分 | |
動画撮影時バッテリー使用時間 | 約60分 | |
入出力端子 | マルチ端子(AV出力/USB/DC IN)、USB 2.0、HDMIミニ端子 | マルチ端子(AV出力/HDMI/USB/DC IN)、USB 2.0 |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 91.7×21.5×51.9mm | 97.8×17.5×59.5mm |
重量 (バッテリとメモリースティック デュオ含む/本体) | 約146g/約130g | 約149g/約133g |
(2010年 7月 8日)
[AV Watch編集部 中林暁]