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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第43回

ボカロ・東方・艦これと女性人気と

第14回MMD杯と多様化するMikuMikuDanceの現在

2015年02月26日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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 この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画やpixivの現在を紹介していきます。第43回ではひさびさに「MikuMikuDance」タグを取り上げてみたいと思います。連載一覧はこちら

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β実行委員。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2015』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった著作に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。右の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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今回は第14回MMD杯真っ最中の「MikuMikuDance」タグを調べてみた!

MMD動画はいまだ投稿増加中 女性率もさらに拡大

 今回は過去何度か取り上げた「MikuMikuDance」タグを再度取り上げてみます。

 MikuMikuDance(以下MMD)は、2008年2月に樋口優氏により開発・公開されたフリーの3DCGムービー製作ツール。現在このタグの付いた動画が21万以上投稿されています。元は初音ミクを踊らせるツールでしたが、現在は多様なキャラクターの3Dモデルが登場し、さまざまな使われ方をしています。

 最近の大きな動きとしてはniconicoの公式サービスとして「ニコニ立体」が2014年4月末からスタート。MMD対応の3Dモデルも多数配布されています(2015年2月現在で約300件)。「ニコニコ超会議2015」内で使用するMMDモデルの募集企画などもあり、MMDの利用もどんどん広がっています。

 「MikuMikuDance」はこれまで紹介している通り、再生数やマイリスト登録数、マイリスト登録率が非常に高いタグです。また、高画質な動画が多いことも特徴でしょう。

 再生数中央値は1624と前年より増加。1万再生以上が11.6%、上位2.2%の投稿者の動画に全体の半数の再生が集中と、偏りも前回とあまり変化ありません。

「MikuMikuDance」タグの基本データ
合計 中央値 参考:前年の中央値 参考:全体の中央値
再生数 12億8020万1128 1624 1566 499
コメント数 2701万3024 26 28 15
マイリスト登録数 3993万9036 33 32 3
コメント率 - 1.63% 1.81% 2.72%
マイリスト率 - 2.14% 2.19% 0.78%
「MikuMikuDance」タグの投稿者データ(公開ユーザーのみ)
タグ投稿者 参考:前年の値 投稿者全体
プレミアム会員の比率 62.12% 62.09% 37.78%
女性の比率 35.35% 30.75% 25.60%
国外からの動画投稿者の比率 9.17% 8.81% 6.90%
平均年齢 25.3歳 25.7歳 24.8歳

※コメント率・マイリスト率はそれぞれコメント数・マイリスト登録数を再生数で割った値。拙著同人誌『ニコニコ動画統計データハンドブック2015』より抜粋。2014年12月1日時点の値。参考のため第19回で紹介した2013年同時期の値も付記。なお2014年時の平均年齢は10歳未満と80歳以上を省いて計算している。


 これまでの投稿者の総数は約2万2000名。平均年齢は約25歳。プレミアム会員の比率はどのカテゴリタグより高く、海外からの投稿者も1割弱と多いです。前年と比較して平均年齢は低下しています。

 前回取り上げた投稿者の女性比率の増加は今回も著しく、4.6ポイント増の35.35%。ついに3分の1を超え、ニコ動でも女性率の高いタグの1つとなっています。あるいは男女比が逆転する日が来るかもしれません。

 最近は月に5000本以上の動画が投稿され、450名前後の新規投稿者が参加しています。ニコ動全体で動画投稿数が鈍化しているのに対して、MMDは現在も拡大が続いているようです。

2015年2月時点で視聴可能な「MikuMikuDance」タグの付いた動画の月別投稿動画数とそのユニークな投稿者数、および新規の投稿者数。未だにいずれも増加している

2014年のMMD人気作品はヘタリア・艦これ
2015年は早くも刀剣乱舞が目立つ

 MMD動画は、初期は初音ミク中心の動画が多かったこともあり「VOCALOID」カテゴリや、ダンスにちなんで「踊ってみた」カテゴリで投稿されていましたが、キャラクターの多様化と複数のジャンルのキャラクターが混在する傾向から、最近は「VOCALOID」「東方」「アイドルマスター」中心の場合以外では「その他」のカテゴリで投稿されることが多いです。

 タグにはキャラクターや作品を示すものが多く、女性人気の高い作品の比率が増加しているのは以前紹介した通り。2014年はその代表である「AxisPowersヘタリア」が関連作品のトップになっていました。2013年より登場した「艦隊これくしょん」のMMD動画も多数投稿されており、2014年はVOCALOID・東方以上の投稿数でした。

 2015年はまだ2ヵ月しか経っていませんが、いまのところ「VOCALOID」関連の動画の投稿が多いようです。また1月下旬より人気が高まった「刀剣乱舞」関連の動画も急激に増加中です。

2015年2月時点で視聴できる「MikuMikuDance」タグの動画について、各年ごとに多かったタグを順に並べたもの。女性人気の高い作品は赤、それ以外の作品は青、カテゴリタグは緑(特に作品を示すタグは濃い緑)、その他のタグは灰色に塗っている

刀剣乱舞の刀剣男子「へし切長谷部」と「燭台切光忠」が40mPのシリョクケンサ」に合わせて踊らせている動画。歌は「新社会人(歌い手)」氏の歌ってみたより。この二人は共にかつて織田信長が所有していた刀であり、共通して物を切ったさいのエピソードが名前として定着していることから関係が深く、「器物破損コンビ」なんてタグもできている。

(次ページでは、「MMD杯ではボカロ・東方・アイマスの割合が増加」)

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