グーグルのオープンソース戦略の落とし穴
これほど1つのツイートが真相を物語った、あるいは某ベンダーにとって破壊的な存在となったことも珍しいかもしれない。数年前、スティーブ・ジョブズがAndroidは実際にはオープンなプラットフォームではないと批判した際、グーグルのアンディ・ルービンはそれに対して「誰もがコードを入手して変更することができ、それを“オープン(公開)”できるAndroidこそ、真の意味でのオープンだ」とツイートした。
残念ながら、多くのOEMがこのルービンの言葉を真に受けてしまったようだ。
現在、グーグルのAndroidビジネスは大盛況だ。しかしAndroid自体のフラグメンテーション(分裂)によって、アプリ開発者のエコシステムはもちろん、グーグル自体のマネタイズまでもが最小化されていることは明らかだ。最新のABI Researchのデータによれば、残念ながらこの傾向は悪化し続けているようだ。
自由の代償
Androidが実際どのくらいオープンなプラットフォームなのかを巡る懸念が広がる中、アンディ・ルービンは以下のようなツイートでそのオープンさをアピールしている:
the definition of open: “mkdir android ; cd android ; repo init -u git://android.git.kernel.org/platform/manifest.git ; repo sync ; make”
— Andy Rubin (@Arubin) Oct 19, 2010
「オープンとはこういうことだ:”mkdir android ; cd android ; repo init -u git://android.git.kernel.org/platform/manifest.git ; repo sync ; make”」
グーグルのオープンソースの責任者もルービンの主張を支持し、私にAndroidの1000万行を超えるソースコードを誰もがオープンソース・ライセンスに基づいて無償で利用できることを強調している。
たしかにグーグルはAndroidの開発プロセスをコントロールしており、特別な第三者に対して選択的にそのコードを提供している。また一方でグーグルはAndroidのオープンソースをも根本から支えている(グーグルがその他多くのオープンソース・プロジェクトを支援していることは言うまでもない)。
しかしこれはやりすぎなのかもしれない。
Androidの圧倒的なシェアとアプリ開発者の収益の関係
オープンソースであることはグーグルのAndroidオペレーティング・システムに大きく貢献している。iOSはアップル専用であり、Windowsはマイクロソフトの提示する条件のもと有料で第三者に提供されている。このようなモバイルOSとは異なり、Androidは無償で誰もが利用できる(あるいは2011年にベンチャー・キャピタリストのビル・ガーリーが指摘したように、時には惜しみない助成金まで支払われてきた)。
その成果は凄まじいものだ。当初はモバイルにおける実績が全く無かったが、今ではAndroidはデバイスの出荷台数で圧倒的に競合をリードしている:
だが不思議なことに、Android向けアプリ開発者にはこれがそのまま収入に直結していないのだ。
長い間iOS開発者のほうがAndroid開発者より収益性が高いとされてきた。Androidの圧倒的な出荷台数がこの状況の打開に貢献してはいるものの、Androidの分裂がアプリ開発者がAndroidから効率的に収益を得ることを邪魔しているという現実に変わりはない。