1995年のWeb黎明期に誕生したWebサーバの「Apache」は、当時の主要WebサーバだったNCSAを瞬く間に抜き去り、翌年には業界最大手のシェアを持つWebサーバソフトウェアとなった。20年近い年月を経てなおトップの座に居続けるApacheだが、この状況に最近になり変化が訪れつつある。
Netcraftが今年6月6日に発表した「June 2014 Web Server Survey」によれば、世界のWebサイト全体に対する最新調査において、MicrosoftのIIS(Microsoft Internet Information Services)で稼働するWebサイトの数がApacheに肉迫し、ほぼ拮抗状態となっている。
Apacheのシェアはここ数年減少の一途をたどっており、その減少分をMicrosoftが獲得し続けている形だ。直近の5月と6月のサイト数比較でも、Apacheのサイト数が1300万減少したのに対し、Microsoft製品のサイト数は2600万増えている。このペースでいけば、次月には逆転のところまできている。この辺りの最新事情について簡単にまとめてみよう。
データで見るWebサイトシェアの推移と意味
まずはNetcraftが出したWebサーバシェア推移の最新データである図1を参照してほしい。Webサーバ全体における各Webサーバソフトウェアのシェアを示したもので、その他(Other)を除けば現在はほぼApache、Microsoft(IIS)、nginx、Googleの4種類で占められている。ところどころ大きな変位はあるものの、おおよそApacheがトップとなっており、次いでMicrosoft(IIS)、nginx、比率は大きくないがGoogleといった形になる。nginxはコンスタントにシェアを伸ばしている一方で、Apacheの全体に占めるシェアはここ最近顕著に減っており、そこをMicrosoft(IIS)が肉迫する形で迫っている。現在、ApacheとMicrosoft(IIS)はほぼ同率だ。
次に参照してほしいのが次の図2だ。Netcraftのデータでは、全世界のWebサイトを登録されたホスト名の数から割り出しており、これが世界中に存在するWebサイトの総数の基準になっている。
一方で、当該のWebサイトが自動生成されたページであったり、ホスト名のみを登録したダミーサイトであるケースも多く、2000年以降の集計では「アクティブサイト」の名目で、実際に何らかの活動状態にあるサイトを区別するようにした。アクティブサイトは統計手法による推計値であるが、Webサイト全体のおおよその活動状況がわかるようになっている。実際にそのサイトが活動状態にあるかの判断基準は、Netcraftのサイトに示されている。
なお、図2のグラフで注意してほしいのは、縦軸が対数表記になっている点だ。一見するとWebサイト全体とアクティブサイトの数は接近しているように見えるが、最新データで前者が約10億なのに対し、後者は2億弱と大きな開きがある。アクティブサイトの総数はここ数年大きく変化しておらず、一方でWebサイト全体の数が上昇カーブを描いていることを考慮すれば、現在もなお増え続けているサイトのほとんどは自動生成またはダミーサイトだといえるかもしれない。
また、Netcraftの記事中でも触れているが、IPv4のアドレス空間は43億であり、それを考えれば世界に存在するWebサイトの総数は限りなく限界へと近付いていることが想像できる。中南米地域のNICであるLatin America and Caribbean Network Information Centre(LACNIC)でのIPアドレス供給数が800万を割ったことから、ICANNは5つのRIR(Regional Internet Registries)に対してIPアドレスの再割り当てに関する緊急声明を出しており、現在のWebサイト増加ペースを考えれば、かなり近い将来に危機的状況に直面することになるだろう。