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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第16回

冬コミ人気トップ5は東方・黒子・艦これ・アイマス・進撃

コミケ人気とニコ動・pixiv人気は相関するのか調べてみた

2013年12月19日 11時00分更新

文● myrmecoleon

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 この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画の現在を紹介していきます。今回はちょっと趣向を変えて、開催迫ったコミックマーケット85関連の話題を取り上げてみましょう。連載一覧はこちら

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β幹事。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2013』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった近著に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。右の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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人気作品のひしめき合うコミックマーケット85

 例年通り、年末の12月29日から31日にかけて、東京お台場の東京ビッグサイトにおいて同人誌即売会「コミックマーケット85」が開催されます。40年近い歴史をもつコミックマーケット(以下、コミケ)は、ニコニコ動画などの投稿サイトが登場するずっと前からプロではない個人の作品発表の場として重要な地位を占めていたイベントです。

 特にマンガやアニメの二次創作的な文化はコミケをはじめとする同人誌文化によって支えられてきた部分が大きく、またここでの二次創作の盛り上がりは、現在も多くの企業やクリエイターに注目されています。

 自分はニコニコ動画とともにコミケのジャンルごとのサークルの分布なども数年来調査してきています。そこで今回はコミケ85の人気の動向と、人気作品のニコニコ動画での動きをみていきます。

 コミケでは、すべてのサークルは「ジャンルコード」という記号をつけて申し込まれます。このジャンルコードは発表する同人誌の内容などである程度決められており、そのサークルの傾向をみる材料になります。

 各サークルの申し込んだジャンルコードはコミケのWebカタログ等で公開されていますので、これを使ってどのようなサークルがどれくらいの割合存在するかを概観することができます。

 グラフ1は過去7回のコミケについて、ジャンルコードをもとにいくつかのまとまりに分けたジャンル毎のサークル数の割合をグラフにしたものです。

すでに公開されているコミックマーケットWebカタログのジャンルコード情報を参考にいくつかに区分けしたコミケ85のサークル数の比率。毎年若干の変化はあるものの、大枠では変わりません

 コミケには現在、毎回約3万5000のサークルが参加しています。

 これらの参加サークルは、おおざっぱには二次創作中心のマンガ・アニメ・ゲーム・小説関連のジャンルが約半数、また半数以上が二次創作の「男性向」(いわゆるエロ)と「同人ソフト」(同人ゲームや同人音楽など。ネット関連やボカロもこちら。半分は東方Projectの二次創作)が合わせて3割程度と、およそ6~7割程度が何らかの作品の二次創作を主とするサークルです。

 そのほか、オリジナルのマンガ作品、小説、ゲーム、また芸能人、スポーツ選手、歴史上の人物のファン作品、各種の評論など、さまざまな同人誌・同人作品を出しているサークルがあります。

コミケ85のWebカタログおよび冊子カタログを参考に、今回参加している各作品の二次創作サークルの数を概算したもの。正確な数字は求めるのが困難なため参考程度に。グラフが青いのは男性サークル寄り、赤いのは女性サークル寄りの作品。VOCALOIDは本文の記述とおりのため紫とした

 コミケ85カタログのサークルカットで多かった作品はグラフ2のとおりです。

 男性寄りのジャンルとしては「東方Project」がここ4年ほど2000サークルを超えて二次創作の原作品としてはトップを維持しています。もっともコミケ80では2700を超えた作品ですので、現在はピークと比べて若干サークル数を減らしています。

 また2013年に大流行した「艦隊これくしょん」(第11回参照)は今回がサークル申込みできる最初のコミケとなります。どこまでいくのか噂されていましたが、ゲーム・男性向けあわせて1100サークル超えの大ジャンルとなりました。これは「TIGER&BUNNY」が独立ジャンルコードとなったときと同じ規模です。

 ちなみに艦これの場合、エロ描写を含まない健全作品等は「ゲーム(その他)」、エロ描写中心の作品は「男性向」のジャンルコードにおもに申し込まれており、おおむね半々からやや「男性向」が多い程度の比率となっています。コミケにおいての艦これはエロパロの対象としての扱いが大きいようです。もっとも、男性系のジャンルで健全作品が半分弱ある時点で東方等を除けば珍しいのですが。

 ついで以前からの作品としては「アイドルマスター」(第10回参照)も人気が高いです。特にテレビアニメ化や「アイドルマスターシンデレラガールズ」の影響でコミケ83頃にサークル数が急増しました。ギャルゲー系では他に「Fateシリーズ」や「魔法少女リリカルなのは」が人気です。また今年のアニメ化により「ラブライブ!」のサークルが今回急増しています。

 女性寄りの作品では、事件などありつつも昨年から人気の高い「黒子のバスケ」が約1500サークルと東方についで多いです。ジャンプ系では他に「ハイキュー!!」、根強い人気の「テニスの王子様」など、ひさびさに球技系の作品が人気です。

 また今年アニメ化した「進撃の巨人」(第1回参照)も約700サークルと人気が高いです。同様に夏コミ前後にテレビアニメが放送していた「Free!」(第6回参照)も約400サークルとまあまあのヒット。

 ほかでは以前から人気の高い「TIGER&BUNNY」「ヘタリア」「戦国BASARA」といった作品でサークル数が多いです。

 また「VOCALOID」(第1回参照)については若干特殊なジャンルで、マンガなどの同人誌は女性作家が多く、VOCALOIDを使った同人音楽等は男性作家(ボカロP)が比較的多いです。本とCDの両方を足すとそれなりの規模になりますが、過去と比べると若干減っている傾向はあります。

 コミケ85の申し込みではまだ東方・黒子といった以前から人気のあるタイトルが上位ですが、2013年にヒットした艦これ・進撃にも多くのサークルが流れた結果、ジャンルコードでは艦これを含む「ゲーム(その他)」「男性向」、進撃を含む「FC(少年)」以外のほとんどのジャンルコードでサークル数が減となっていました。

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