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情報の“伝わらなさ”痛感した大震災――経産省官僚、語る

デジタルコンテンツEXPO 2011シンポジウム&見どころレポ

2011年10月21日 23時30分更新

文● ASCII.jp編集部

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 お台場・日本科学未来館で、近未来系テクノロジー展示会「デジタルコンテンツEXPO」が開催されている。会期は22日まで、入場は無料だ。

 注目はなんといっても「球形飛行体」。防衛省開発で、時速60キロで飛行する謎の飛行マシンだ。22日(土)のデモは16時20分からの30分限定なので見逃さないように(記者は見逃した……ああ……)。そのほかの見るべき展示は次ページで紹介する。来年には売り物になるという立体映像技術など、すごい展示が多いのでお楽しみに!

 さて21日、同じ会場でシンポジウム「ソーシャルメディアと震災復興」が開催された。パネリストは、ブログ「意力」の立入勝義さん(37)、創庵取締役の佐々木 博さん(41)、経済産業省の須賀千鶴さん(30)。司会はアスキー総合研究所の遠藤 諭所長(55)だ。東日本大地震とソーシャルメディアの役割について、それぞれの立場から意見を交わした。

 シンポジウムの中で、とてもいいなと思えたのが須賀千鶴さんだった。地震発生時、政府からの情報が「まったくうまく伝えられない」こと、そして「ネットに情報を委ねる必要があるはずなのに、うまく動けなかったこと」に歯がゆい思いをしていたことを、素直な言葉で、ときおり声をつまらせながら話していた。その内容を要約して紹介したい。

 なお、明日(22日)は同じく遠藤所長の司会によるシンポジウム「『ソーシャルコンテンツ』大爆発 ~パーソナル・ファブリケーションからゲーミフィケーションまで~」が開催される。チームラボの猪子寿之さんをはじめ、濃いメンバーが集まって話すので面白くなるだろう。

経済産業省の若手官僚・須賀千鶴さん。地震発生から「できるだけすばやく情報を開示し、有志に協力をあおいで情報を広めてもらうこと」の必要性を痛感したという

※ 以下、カギカッコ内すべて須賀千鶴さんの発言。順番は編集しています

 「ソーシャルメディアで流れている様々な情報は、政府の情報発信よりもずっと早かったし、役に立っていたんですね。『政府が期待している』とか『頑張ってほしい』とか『育成したい』とか、そういうレベルをとっくに超えているという感じです」

 「政府もかき集めた情報を外に出していたんです。記者会見も何百回となくやり続けたし、Web上でファイルもたくさん出していました。ですが、とにかくまったく伝わらなかった。ただ“伝わっていない”ことだけが分かり、むなしさが募っていきました」

 「わたしたちはとにかく“情報を出す”のが本当にヘタだったんです。ナマの情報を、そのままハダカで出して、『誰か伝えやすいようにしてー!』と言えればよかったのに。そんな後悔が今でもあります。今度は絶対にそれをやりたいと思っています」

 「(情報を無加工で出す)必要性を実感したのは、節電・計画停電をみなさんが呼びかけていたとき(『ヤシマ作戦』など)。昔は役所が情報を伝えるところまでも仕事だったんだけど、“伝える”ところは誰が考えてくれてもいいんじゃないかと思った」

 「正確さが重要になると考えると、怖いこともあった。NHKさんの判断もそれに近いものがあったと思う。それを見ていて、やってみてもいいと思った。情報を出して、あるタイミングで『公認する』というワンステップを踏む必要があるのかもしれないと」

 「新しいメディアが生まれるときは、そういう“寛容さ”を意識しなきゃいけない。移民の国・アメリカを創ってきた人たちは、意識的に“ヘンなもの”に寛容であろうとしていた。アメリカも良いところだけじゃないけど、そこはとても良いところだと思う」

 「私たちは毎日毎日、仕事でずーっと社会のことを考えている。当時、自分たちと同じような力を持っている人たちがいること、力を持てあましていることがわかった。そういう人たちに『いっしょにやろう』とうまく言えなかったのがすごく悔しい」

 「【拡散希望】と言ってデマを広めてしまう人たちもいる。でもそれが善意にもとづいているからこそ、歯がゆい思いをしていたこともあった。それを含めて、その中に、寛容に関わっていく力が必要なんじゃないかと思っています」

※ NHK広報局(@NHK_PR)がTwitter上で、UstreamでNHKニュースを配信することに特例の許可を出した。当初は“担当者の独断”だったが、後に公式に“特例許可”という形になった

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