米インテルは24日(現地時間)、新インターフェース技術「Thunderbolt Technology」(以下、Thunderbolt)を発表した。これは従来「Light Peak」(コードネーム)と呼ばれていたもので、PCや周辺機器を最大10Gbpsの高速回線で接続する。
同日には、米アップルからThunderboltを採用した初のノート製品「MacBook Pro」(early 2011モデル)が発売されており、人気製品での採用が普及に一役買うものと見込まれている。このThunderboltとはどのようなものなのか、その詳細を追いかけてみよう。
USB 3.0から「Light Peak」、そして「Thunderbolt」へ
Thunderboltは、従来のUSBやIEEE1394(Firewire)のどれとも異なる技術だ。元々は将来のPC向けI/Oインターフェースで必要とされる大容量/高速通信に対応するために規格化が進められたもので、現状で一般的な銅配線によるメタルケーブルではなく、光ファイバーの利用を想定している。
インテルは当初、同社が推進していたUSBの最新規格「USB 3.0」でこの構想を実現しようとしていたが、既存コネクターとの上位互換を維持しつつ光ファイバーの仕様を盛り込むプランは規格の検討段階で消えたようだ。2009年以降は話に上ることもなくなり、実際に現在市場に出回っているUSB 3.0製品では光ファイバーの仕様は採用されていない。
その一方で、2009年秋のIDFにおいて、インテルは周辺機器インターフェース構想としてLight Peakを発表しており、USB 3.0では果たせなかった光ファイバーを利用した高速I/O仕様はLight Peakに引き継がれたものとみられる。
Light Peakのロードマップでは2010年中にモジュールの量産が開始され、2011年に対応製品が登場するとしていた。今回のThunderboltの発表で、これが果たされたことになる。
Thunderboltの仕組み
ここからは、Thunderboltの具体的な仕組みを見てみよう。Thunderboltでは、PCI Express(PCIe)のデータとDisplayPortの映像信号という2つの異なるプロトコルのデータを混在させて、1本のケーブルで同時転送することが可能だ。転送速度は最大10Gbpsで、双方向通信にも対応している。
つまり、PCIeの外部インターフェースとして機能しつつ、同じケーブルを用いて映像の出力も可能ということだ。ブロックダイヤグラム図を見ると分かるように、チップセットのPCH(Platform Controller Hub)から出たPCIe x4のデータ転送を「Thunderbolt Controller」で仲介しつつ、同じくPCHから出力されるDisplayPortの外部ディスプレー出力信号とマージし(もしディスクリートGPUが存在する場合はそちらの信号をマージ)、専用ポートへと出力する。
また、ケーブルのもう一方の終端にもThunderbolt Controllerが配置され、これで2つの信号を再び分割する。これはハブのような外部装置であれば、ここに周辺機器を接続することが可能になることを意味する。Thunderboltではデイジーチェーンが可能であり、複数の機器を数珠つなぎで接続できる。
制限は不明だが、7台までのデバイスなら8ナノ秒以内の遅延で同期が可能としており、遅延が少ない点が特徴となる。単にストレージ装置の接続だけでなく、TVや記録デバイスを含む複数機器間でのHD動画転送&表示が容易であり、インテルもこの点をアピールポイントにしている。
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