課金に慣れたフィーチャーフォンならではのアプローチ
―― では、今回の「セカイカメラZOOM」について話を聞かせてください。
井口 初めは「セカイスタンプ」という「その場にあしあとのようなものをスタンプ的に残していく」というシンプルなお話だったんですね。でも、それを見せたら「こんなローパワーな製品じゃないでしょ?」と、どんどんアオられるんですよ。
小林 「実空間透視ケータイ」の要素を入れることで「セカイカメラ」の世界観をくずしたくなかったので、かなり努力したんですよ。フィーチャーフォン※でやることで「ダサくなったね」と言われるのが一番イヤだったんです。だからリリースした日にTwitterを見たとき、「ここで動くとは期待!」という声があがっていたので、やってよかったなと思っています。
※ フィーチャーフォン : 音楽再生やネット閲覧など、ある特定の目的・機能に特化した「特徴」を備えた携帯電話機のこと。「ソフトさえ入れればどんなものにでもなる」スマートフォンの対となる概念。
―― スマートフォンとフィーチャーフォンではユーザー層にカルチャーの違いが出てくると思います。
小林 そこが一番考えたところです。フィーチャーフォンの場合、一番引っかかるのは「導線の遠さ」なんですよね。何度かボタンを押さなければセカイカメラが起動しない。「日々使いたい」という持続的な価値を求めるユーザーが多いので、お客様が普段使っているサービスを手前に置くなどの工夫が必要かと思っています。そしてそれをどうマネタイズするか、入り口と出口を整備していきたいと思っています。
―― マネタイズということは先ほども話のあったCPに関わりが出てくるわけですか。
小林 これまで「コンテンツ販売」「プラットフォーム利用料」「広告」の3つを主にマネタイズしてきたんですが、そこにつながる出口を模索したいと思っています。フィーチャーフォンのユーザーさんは「課金」を便利に使っているので、そこをうまく生かしたいと。
井口 GREEやmixiなどのSNSをうまく取り込むのはあると思いますよ。
小林 ありですね。コンテンツ事業をやっている中にGREE担当の人間もいますし。LISMOを窓口にするということも考えられると思います。すでに価値を感じているものを使いこなすということで、長く使っていただけるようになるかと思います。
井口 たとえばLISMOの曲にすべて緯度経度のデータが紐ついていたとすれば、それをAR空間に浮かべることも出来るわけですよ。「渋谷だとこういう曲がよく聴かれてる」というトレンドを可視化して見せられるわけです。それをシェア(共有)すれば、ソーシャルなプレイリストのように使えるかもしれない。