総務省の発表によると2005年の時点で携帯電話などモバイル端末からのインターネット利用者数はおよそ7000万人に達し、PCを上回っていたという。PCのような大型のディスプレイや高い処理能力を持たない携帯電話で、どのようにしてインターネットが利用できるのか解説する
携帯電話とPCの違い
そもそもインターネットはPCでアクセスすることを前提として作られたものである。したがって、Webサイトを携帯電話でそのまま閲覧するにはさまざまな問題を解決しなくてはならない。
それは、携帯電話とPCのブラウザを比べてみればよくわかるだろう。まずはユーザーインターフェイスの違いだ。携帯電話も大画面化が進み、高解像度の液晶を搭載するスマートフォンなどが出てきたとはいえ、多くの端末は依然として画面が小さい。したがって携帯電話向けのコンテンツを作成する場合、デザイン面で考慮すべきことが多い。
また、マウスとキーボードで操作するPCと異なり、携帯電話ではおもに十字キーやダイヤルボタンで操作する。よって、限られたキーを有効に使う仕組みがなければならない。
さらに通信速度についても、一部のデータ通信端末などを除き速くても数Mbpsであり、光ブロードバンドが一般的になったPCとでは大きな差がある。受信するデータが多ければ、それだけ表示されるまでに時間がかかりストレスとなる。また、多くのプランではパケット単位で課金される仕組みがあるため、受信するデータは必要最低限のものであることが望まれる。
携帯電話で閲覧できるサイトの種類
以上の理由で、インターネットをそのまま携帯電話で利用することは難しいと考えられていた。そこでこういった問題を解決するために、インターネットとは別に、各キャリアで独自のコンテンツを配信する仕組みが考案されることとなった。その1例が1999年に開始したNTTドコモの「iモード」である。
携帯電話網とインターネットは、その通信プロトコルの違いからネットワークが区別される。iモードの場合を見てみよう(図1)。携帯電話からiモードゲートウェイへのデータ通信は、後述する携帯電話特有のプロトコルによって行なわれる。そしてこのiモードゲートウェイを通じて、インターネットへアクセスしている。そのため、携帯電話でWebサイトを見るといっても、配信されるコンテンツは大きく2つに分けることができる。
まずは携帯電話網上の公式サイトのコンテンツだ。これはNTTドコモへの登録の申請が必要となるが、iMenuというカテゴリに登録され、キャリアの課金システムを利用できるというメリットがある。
次に、インターネット上にある携帯電話用に作られたコンテンツだ。これは「勝手サイト」と呼ばれており、iモードサービスで閲覧可能なWebサイトだが公式のサイトでない。詳しくは以降で述べるが、iモードは特定の記述言語で作成されたページであれば表示することができる。
さらに、現在ではPC用のコンテンツも見られるようになった。これは「フルブラウザ」と呼ばれる機能が搭載されるようになったからだ。
加えて、各機種に標準で搭載されているブラウザのほかにも独自のフルブラウザが開発されている(画面1)。「jigブラウザ」や「Scope」、「ibisBrowser」といったものがそうだ。
当初、「フルブラウザ」がNTTドコモの登録商標であるような記述がありましたが、登録商標ではない旨、指摘がありましたので、お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(2009年6月24日)
(次ページ、「インターネットの技術を利用するNTTドコモ」に続く)
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