10月16日、東京ビッグサイトで「Microsoft Virtualization Day in ITpro EXPO 2008 Autumn」が開催された。会場ではマイクロソフトの仮想化技術について、同社のエバンジェリストやプロダクトマネージャらが解説するセッションがいくつも繰り広げられたのだが、その中で興味深いデモを見ることができた。
デモがあったのは、デスクトップの仮想化をテーマにした「次世代ワークスタイルを実現するクライアントの仮想化」というセッション。マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 プロダクトマネージャ田中啓之氏は「このデモを日本でやるのは初めて」と述べたうえで、マイクロソフトのVirtual Desktop Infrastructure(VDI)について語り出した。
VDIといえば、すでにヴイエムウェアのVMware Virtual Desktop Infrastructureや、シトリックスのCitrix XenDesktopといった製品がある。VDIは、簡単に言うと、サーバー上で仮想クライアントOSを動かして、画面だけをクライアント側に飛ばして利用するソリューションだ。だが、ただ画面を飛ばすだけでは芸がない。実際には、仮想化したデスクトップ(やアプリケーション)をいかに効率的に運用管理できる仕組みを提供してコスト削減に貢献できるか、という部分で各社が競い合っている。
マイクロソフトでは、アプリケーションを仮想化する「Microsoft Application Virtualization(App-V)」とWindows Server 2008のHyper-Vやターミナルサービスなどを組み合わせ、仮想化したアプリケーションを仮想化したクライアントOSにのせて丸ごとクライアントに飛ばす、といったことを実現するという。要するに二重三重の仮想化により、仮想マシンのOSとアプリケーションの展開を切り離し、仮想デスクトップの動的な展開を実現することになる。このアプローチによって、たとえば仮想マシンのテンプレート数を大幅に削減でき、運用管理も楽になるというわけなのだが、仮想化製品が幾重にも重なっているので、何しろわかりにくい。
田中氏によれば、クライアント側はリッチクライアントでもシンクライアントでもかまわないという。「クライアント側には何も入れない、もしくは素のOSだけ入れておけば、IT管理者は好きなときに好きなアプリケーションを必要としているユーザーにのみ届けられる」という非常にダイナミックな考え方のソリューションになっているのだそうだ。
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