ニコニコ動画の「音楽」タグで、異質を放つ存在が「ニコラップ」といわれるラッパー達だ。彼らは、オリジナルの歌詞を自らの解釈でアレンジしてラップに仕上げる。ネットでいうところの「職人」である。
そのニコラップのパイオニアが「らっぷびと」だ(公式サイト)。「人として軸がぶれているでらっぷしてみた」「When They Cry」など、アニメの曲でラップするという新しいスタイルで衝撃を与え、一躍注目を集めた。
このうちWhen They Cryは、9日に発売されるコンピレーションアルバム「CDで聞いてみて。〜ニコニコ動画せれくちょん〜」に収録される(関連記事)。また、彼自身のファーストアルバム「Rap Beat」も8月6日にリリースを控えている。
ニコニコ動画発でありながら、ニコニコ動画を知らない人にも訴求しうる実力を持つ彼に話を聞こう……と思ったのだが、約束の時間になっても取材場所に現れない。超大物の資質を持っているのか、それともただ単に人として「軸がぶれている」だけなのか。
※ 以下、インタビューの雰囲気を生かすため、文中の「(笑)」を「w」にした。
やっぱり大物だった
らっぷびと 遅くなってどうもすいません。
── こちらこそお忙しいところ、お時間を割いていただき恐縮です。レコーディングですか?
らっぷびと いえ、スタッフが迎えにきて、家のチャイムを押すまで寝てました(キッパリ)。
レコード会社スタッフ 実は前に社長が車で自宅まで迎えに行ったこともあるんですよ。
── エエエエエエエエ! ……って、社長に何させてるんですか!!
らっぷびと いやいや、まぁまぁ、そんなこともありますよw
── 「そんなこと」てwww ……気を取り直してインタビューを始めますが、音楽はいつごろから始めたんですか?
らっぷびと 4、5年前の高校生の時からですね。元々、日本語ラップが好きで、歌詞を自分でも書いてみようと思ったのが最初です。インターネットで「ヒップホップ 歌詞」で検索して、たどり着いたサイトに音源を投稿できる掲示板があった。そこに楽曲をアップロードしようと思って、曲作りも始めました。
── 最初から一人で?
らっぷびと いや、ヒップホップ好きの同級生と一緒です。「お前がやるなら俺もやるよ」っていうノリで。最初の頃はマイクを直接パソコンに差して、音源も一発撮りでやってました。
── ネタ元としてアニメをよく使っていますが、そのときから興味があったんでしょうか?
らっぷびと エヴァンゲリオンとかの有名どころは見たことがありましたが、特に興味があったわけではないです。インターネットで知り合ったヒップホップ仲間の中にアニメ好きがいて、2年くらい前に「今やってる『涼宮ハルヒの憂鬱』が面白い!」って勧められてからハマりました。
── アニソンにあわせてラップするようになったのは、いつごろからですか?
らっぷびと ニコニコで公開し始めたのが2007年の6月頃ですが、その前からやってました。「らっぷびと」名義もその頃からですね。
それまでネットで曲を公開するときは別名義を使っていて、「アニソン+ラップ」というスタイルを始めるにあたって新しい名前を考えたんです。ちょうど仲間の中に「みくすびと」というのがいて、じゃあ俺は、らっぷびとでいいかなとw ちなみにもう一人、ラッパーで動画に強いヤツがいるんですけど、ソイツは「どうがびと」です。