3月中旬に公開された「Windows Vista Service Pack 1」(関連記事)に遅れることほぼ2ヵ月。マイクロソフト(株)は7日、Windows XPの最新修正パック「Windows XP Service Pack 3」をリリースした。
当初XP SP3は、Windows Updateのオプションや、マイクロソフトのダウンロードセンターでの提供に限られていたが、2008年7月から「自動更新」機能での提供も開始された。そのため、自動更新が有効なパソコンに対しては、順次適用が始まっているはずだ。
編注:自動更新での配布が開始されましたので、該当する記述を変更しました(2008年7月11日)
セキュリティー面の修正はもちろん、パフォーマンス向上にも効果があると噂されるXP SP3によって、Windows XPの何が変わるのか見ていこう。
SP2との違いとは?
XP SP3について語る前に、先代のXP SP2について振り返ってみよう。XP SP2はWindows XPのセキュリティー面を強化するために、非常に多くのモジュールのアップデートが行なわれ、実体としては、それまでのXP SP1とはまったく異なったOSと呼べるほど変化していた。マイクロソフトの内部では、XP SP2としてリリースするのではなく、「XP Release 2」という名称で、再パッケージ化して販売しようという計画もあったほどだ。
しかしXP SP3では、XP SP2ほどの大きな変更は行なわれていない。基本的には、XP SP2がリリースされた後に提供されている更新プログラムを集めた修正パックとなっている。
編注:XP SP3は一般的に、「Windows Update」経由でのダウンロードのほかに、Microsoft ダウンロードセンターからインストールパッケージをダウンロードする方法で提供されている。
Windows Update経由でアップデートを行なう場合は、XP SP2をインストールしてから、XP SP3をインストールする順序でアップデートが行なわれる。
一方、インストールパッケージは2種類(「ITプロフェッショナルおよび開発者用Windows XP Service Pack 3 ネットワークインストールパッケージ」とCD-ROM作成用ISOイメージ版)あり、これらを使用してXP SP3を導入する場合、対象となるWindows XPには「Service Pack 1以上」が導入されている必要がある。しかし、現在XP SP1のみのインストールパッケージはダウンロードセンター等では配布されていないので(TechNet等は除く)、XP SP2以降しか入手できない。
これらにより、事実上XP SP3を導入するためには、対象のWindows XPにXP SP2がインストールされている必要があることになる。
ただし、“XP SP3はバグ修正の更新プログラムだけ”というわけでもない。いくつかの新機能がXP SP3には追加されている。ただし、その数は6つだけだ。この6つの新機能は、主に企業ユーザーやソフトウェア開発者向けの機能追加で、一般ユーザーにとってはほとんど関係ない。追加された機能を以下に挙げる。
- ブラック・ホール・ルータの検出機能
- ネットワーク上のパケットを自動的に破棄しているルータ(ブラック・ホール・ルータ)を検出する機能。
- ネットワーク・アクセス保護(NAP)機能
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Windows Server 2008で搭載されたNAP(Network Access Protection)をXPで利用する機能。企業内ネットワーク上のクライアントPCの、ウイルスソフトのチェックやパーソナルファイヤーのオン/オフを検出し、企業内ネットワークに接続できるかどうかを自動的にコントロールする。
つまり、クライアントPCが決められた企業内ネットワークのルールにマッチしていないと、ネットワークにアクセスできなくなり、ネットワーク全体でのセキュリティーが強化される。 - セキュリティオプションの説明を追加
- XP SP3では、グループポリシーエディタ(gpedit.msc)のセキュリティオプションにあるポリシーの詳しい説明が表示されるようになった(画面参照)。
- Administrator/Serviceポリシーにおけるセキュリティーを強化
- 企業ユーザー向けの管理ソフト「System Center Essentials」上で、OSがXPのクライアントPCを管理する場合、セキュリティー上問題があった部分を修正。
- Microsoftカーネルモード暗号化モジュール
- Microsoftカーネルモード暗号化モジュール (Fips.sys)は、OSのカーネルモードで複数の異なる暗号化アルゴリズムを提供する。
- ライセンス認証方法の変更
- Windows Server 2003 SP2やWindows Vistaと同様に、XP SP3ではプロダクトキーを入力しなくてもOSのインストールが可能である。プロダクトキーの入力は、OSのインストール後に行なえる。
一般のユーザーに関係がある新機能は、「ライセンス認証方法の変更」だけだろう。ただしXP SP3は、XP SP2以降にリリースされた更新プログラムにそれ以外の改良点なども加えられているため、“XP SP2にWindows Updateを行なったもの”とは少し異なる。