ブログ、2ちゃんねる、mixi、はてなブックマーク、ニコニコ動画など、新しいインターネットサービスが登場したことで、「何かに自分のコメントを付ける」ことがいとも簡単に行なえる時代になった。
そうしたサービスは、コミュニケーションの楽しさを再確認させてくれる一方で、ときには不快な思いを与えたり、投稿者の実生活にまで影響及ぼすケースも増えている。ブログなどで悪意のあるコメントが短期間に投稿される「炎上」という現象はその代表例だ。
最近でいえば、ニコニコ動画に端を発する吉野家の「テラ豚丼」事件、mixiの日記が元となったケンタッキーの「ゴキブリ揚げ」騒動などが思い浮かぶだろうが、炎上は元記事の執筆に落ち度がなくても発生する。
インターネットには、自分の意見と異なるブログに反応し、相手の意見が変わるまでその記事にコメントを書き続ける投稿者も存在する。そうした人物たちを、ネットの一部では「ネットイナゴ」と呼んでいる。
サービスの提供側も「負」のコメントが原因でコミュニティーが荒れることを黙認しているわけではない。11月にはNTTレゾナントがポータルサイト「goo」にて、事前にスタッフが内容をチェックしてからコメントを公開するニュース掲示板「ニュース畑」を始めた。
こうしたコメントサービスを取り巻く現状に対して、 ITジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
【解説】goo ニュース畑
gooのニュースサービス「gooニュース」の一環として、11月13日にスタートしたコメント投稿サービス。「荒れないニュース掲示板」という標語を掲げており、投稿されたコメントはすべて、gooの編集スタッフが目を通し、掲載するかどうかの判断を行なう。さらに投稿されたコメントをスタッフがまとめて、gooニュースに掲載することもある。
コメントに対して反論しにくい
── ネットにおけるコメントについて、津田さんは率直にどう考えていますか?
津田 はてなブックマークのコメント機能については、最初は否定派でした。コメンターが言いっぱなしにできるのに対して、言及された元記事の著者が反論するためのツールがない。
僕がブログやネットメディアに書いた記事が、はてなブックマークでブックマークされた際、中には「なんじゃそりゃ?」と思うコメントが添えられることもある。批判されること自体は別に構わないのですが、まったくの事実誤認や、論拠を示さずに記事をばっさり否定するようなことを書かれることもあるんです。
そういう意見に対して、十分な反論をできないのがもどかしかった。ブログで書いてくれれば、お互いに言葉を尽くしてそれなりの議論ができる環境が担保されると思うのですが。
はてなブックマークのコメント機能は、コメント文字数に制限があったり、一覧形式でコメントを見せてしまうことによるシステム的な弊害が大きいのだろうなと感じていました。
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