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2005年6月28日

漂着遺体のジーパン

jeans1
 この写真は鮮明ではありませんが、山梨県警が「山本美保さんの遺体である」と発表した漂着遺体の女性が着用していたジーパンです。遺体は両足がスクリューで切断されていたためジーパンもかなり破損しています。すでに色々な形で情報提供の呼びかけをしておりますが、お気づきの方は特定失踪者問題調査会宛ご連絡下さい。
 TEL 03-5684-5058 FAX 03-5684-5059 eメールでしたら私に直接([email protected])にお願いします。また、こういうジーパンを穿いていた女性で昭和59(1984)年前半に行方不明になった人をご存知でしたらお知らせ下さい。
 この経緯についてはご存知の方も多いと思いますが、詳しくは調査会のホームページ及び「美保さんの家族を支援する会」のホームページをご覧下さい。

特定失踪者問題調査会:http://www.chosa-kai.jp/
美保さんの家族を支援する会:http://homepage3.nifty.com/KOFUHIGASHI-3/

なお、この写真をブログに掲載するにあたっては、荒木の独断で行い、ご家族の了解は一切とっていません。したがって掲載の責任は全面的に荒木にあります。

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2005年6月26日

官房長官の発言他

 「先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます」

 これは去る14日の参議院内閣委員会で、森ゆうこ議員(民主党)の「我が国政府が、我が国の国民が拉致されて救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる、主体的にできるということを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたい」という質問に対する細田官房長官の答弁です。
 この答弁を見たときに、思わず溜息が出ました。そういうことだとは思っていましたが、あらためて活字で見ると、大部分の被害者は見捨てるという、政府の断固とした態度が感じられます。説得して返してくれるような国なら拉致などしません。しかも説得するのは極く僅かの政府認定者だけです。
 しかも、政府は山形県の漂着遺体はDNAの一致ということだけで山本美保さんであると断定するのに(他の条件はことごとく違っていても)、拉致被害者の認定になると石橋を叩いても渡らない慎重さです。これでは間に合いません。
 前に書いた参議院拉致特委での自民党岡田直樹議員の横田さん夫妻への質問について、「週刊文春」などで、古舘キャスターの発言が叩かれています。私は、古舘氏に好感を持っているわけではないし、岡田議員の質問を簡単に「無神経な発言」と切捨てたのは、それこそ「無神経」だとも思います。しかし、ご家族に対して、「前のが偽の遺骨であったならば今度は本物を出そうと、こういうことを考えかねない国だと思うんです」という発言は、どう考えても言いすぎです。そして、報道でそれに対する批判をされたと言って、幹事長名で抗議する自民党もどうかしています。そんなことに文句を言っている暇があったら経済制裁をやればいい。
 岡田議員は与党自民党の議員です。例えば、自民党が経済制裁反対で、それに対抗するために野党議員がご家族に事前に十分説明した上で、参考人質疑の形で決意を明らかにしてもらうというならまだ話が分かります。あるいは与党議員としてなら「まだ実行に至ってはいませんが、経済制裁を行うための努力をしています。ただ、それが実施された場合、様々なことが考えられます。ご家族としては懸念はお持ちでしょうが、絶対に被害者を危険な目に合わせないよう、与党の国会議員として全責任をもって対処します。ご理解下さい」というべきではないのでしょうか。
 24日から26日まで国会前で家族会・救う会の座り込みが行われています。何人もの与野党の国会議員が応援に駆けつけてくれています。皆さん党派を問わず拉致問題に熱心な方々です。それは大変ありがたいことですが、それよりもしてもらいたいことは、高齢のご家族が炎天下の座り込みをしないで済むようにすることではないでしょうか。

「説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をする」
 官房長官のこの言葉を、私たちは正面から現実として受け止め、被害者を見殺しにするか(それはつまり今後も拉致が行い得る状態を続けるということでもあります)、この政府の方針を変えさせるか、いかなる手段を用いても民間の力で拉致被害者を救出するのか、覚悟をしなければならないと思います。
 

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2005年6月23日

60年体制研究会シンポジウム(再度掲載)

 実は、いつ始めたかも忘れてしまったのですが、友人の遠藤浩一氏、福井義高氏、本郷明美さんと「60年体制研究会」というのをやっています。1〜2カ月に1回位集まって、1960(昭和35)年が、日本の重大な転換期だったのではないかとの問題意識をもとに、数年来研究・討議を続けてまいりました。これまではずっと内輪の研究会だったのですが、今回中間報告として、下記の通り公開シンポジウムを開催いたします。ご興味のある方はご参集いただければ幸いです。

60年体制研究会公開シンポジウム

「他者依存」から「日本第一」へ――1960年体制に拘束される日本

日 時  平成17(2005)年7月8日(金)午後6時30分(開場午後6時)
会 場  青山学院大学総研ビル11階第19会議室
内 容  【報告】
      「東京裁判史観に回帰した『1960年体制』」
      ●遠藤浩一(評論家・拓殖大学日本文化研究所客員教授)
      「ルーズベルト聖戦史観の黄昏」
      ●福井義高(青山学院大学助教授)
      「いまだに徘徊する共産主義の亡霊とその謀略」
      ●荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授・戦略情報研究所代表)
      【討論】 
      司会●本郷明美(ジャーナリスト) 
主 催  60年体制研究会
後 援  戦略情報研究所

参加無料

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2005年6月20日

参議院拉致特委

 もう10日ほど前の話になるが、6月10日、横田滋家族会代表・早紀江夫人と3人で参議院拉致特委に参考人として参加した。私たちの後には森本敏・拓殖大学海外事情研究所長と伊豆見元・静岡県立大教授が参考人として陳述された。
 内容については特定失踪者問題調査会のメールニュースなどでも伝えたし、参議院のホームページには会議録も掲載されているので詳しくはそちらを見ていただきたいが、このとき自民党の岡田直樹議員が横田夫妻に行った質問がテレビ朝日の「報道ステーション」で批判され、ちょっとした問題になった。
 岡田議員の質問の内容は次のようなものである。
 「経済制裁によって状況が好転すればいいですけれども、裏目に出て万が一、不測の事態が生じはしないかということが我々も心配でならないわけであります。前のが偽の遺骨であったならば今度は本物を出そうと、こういうことを考えかねない国だと思うんです。御両親に対して本当に言うに忍びないことを言い、聞くに忍びないことをお聞きしますけれども、そうしたおそれを抱きながらもなお今、経済制裁をとお求めになるのか。その辺りの御心境を御両親からお伺いしたいと思います」。
 その場にいた私も、「本物」と聞いたときは一瞬ドキリとしたが、これは岡田議員が横田さんご夫妻の口から決意を引き出し、経済制裁実施への流れを作ろうとしたものだった。これについて「報道ステーション」では古館伊知郎キャスターが「無神経な発言」と語り、自民党がこの報道に武部幹事長名で抗議をするという一幕があった。
 現場にいた者からすると、これはどっちもどっちという気がする。岡田議員は石川県の地元有力紙、北国新聞の記者出身で、記者時代から寺越事件をはじめとして拉致問題にも熱心に取り組んできた人である。マスコミが大挙取材に来ていた拉致特委の場を少しでも有効に使い、制裁実施への流れを作ろうとしたのであろう。
 ただ、その点は勘案しても、「偽遺骨がだめなら本物を出してくることもある」と、ご家族に言うのはいかがなものか。また、逆に岡田議員の発言の意図を十分に伝えずに「無神経」と切り捨てた「報道ステーション」も多少行き過ぎがあったかも知れない。
 しかし、それよりも私が問題だと思うのは、岡田議員だけの話ではなく、また、「報道ステーション」だけの問題でもない、他の多くの議員にも、そして他のマスコミも、拉致問題の本質を取り違えているきらいがあるのではないかということである。
 経済制裁というのは、一国が他国に対して圧力をかけることだ。経済制裁の次は武力制裁ということであり、実際にそうなることは希であっても、エスカレートすれば戦争になることもないとは言えないのだ。だから、制裁は国家の責任においてなすべき決断なのである。国権の最高機関たる国会の議員がそれを政府に促す為に被害者家族の決意を聞くこと自体がおかしいのである。これは他の与野党議員も同様で、質問に立った多くの議員が横田さん夫妻の決意を聞き出そうとしていた。
 「ご家族のお立場では心配があると思います。しかし、圧力をかけなければ拉致問題を解決することはできません。私は国会議員として、制裁実施によって北朝鮮にいるめぐみさんたち被害者が危害を加えられることがないよう全力を尽くします。ご理解ください」 本来はこう言うべきである。そもそもこのようなことを被害者の家族が訴えなければならないという構図は終わりにすべきではないか。
 確かに拉致問題のアピールという意味ではご家族に訴えてもらうことがきわめて効果的である。私もたびたび無理をお願いしている立場であり、人のことは言えないのだが、拉致問題は安全保障問題であり、国民全体の問題なのだ。被害者のご家族に頼る運動は、少しずつでも変えていく時期だと思う。

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2005年6月15日

月刊「海外事情」6月号

また広告のような内容ですみませんが、私が所属している拓殖大学海外事情研究所で発行している月刊誌「海外事情」の今月号(できたばかり)は朝鮮半島特集です。戦略情報研究所の真鍋貞樹専務(特定失踪者問題調査会専務理事)や戦略情報研究所の会員向け情報「おほやけ」に寄稿して下さっているジャーナリストの青木直人さんらの多彩な原稿が掲載されています。関心のある方はぜひご覧下さい。お申込、お問い合せは拓殖大学(担当直通)03-3947-7597まで。

「海外事情」6月号 特集=朝鮮半島への新たな視点(以下掲載順・敬称略)
特集論文
「日本にとっての朝鮮半島問題」 荒木和博
「盧武鉉政権の自主外交とは何か」久保田るり子(産経新聞ソウル特派員)
「北朝鮮をめぐる米中の合従連衡」青木直人(ジャーナリスト)
「韓国における世代間の葛藤」洪ジンピョ(自由主義連帯執行委員長)
「北朝鮮人権法を通じた日米韓の連携」真鍋貞樹(戦略情報研究所専務)
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特集外論文
「スーダン:南北『和平協定』と今後の課題」栗田禎子(千葉大学文学部教授)
「台湾の自動車産業と交通政策」塩川太郎(台湾明道管理学院応用日語学系助理教授)
「プーチン外交の優先順位(4)」木村汎(拓殖大学海外事情研究所教授)

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2005年6月 5日

「諸君!」7月号

 文藝春秋の「諸君!」に先月から連載「月報『北朝鮮問題』」を掲載していただいています。2回目の7月号は「北の核は『張り子の虎』か」というタイトルです。関心のある方はご一読いただけると幸いです。

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「あづま」原稿

 以下は陸上自衛隊東部方面総監部の広報紙「あづま」5月25日付「OPINION 一言申し上げる」欄に掲載されたものです。普通の人にはあまり目に触れないものなので、こちらにも掲載しておきます。
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 自衛隊の役割は大きく変わった。
 それまでの自衛隊は、「自衛隊は憲法違反」とか、「非武装中立」などという、およそ現実を無視した議論が大真面目になされる中で、ともかく国民に国防を理解してもらい、国防力の存在を守ることにかなりのエネルギーが割かれていたといっても過言ではない。それこそ「自衛」隊である。
 しかし、その情況は冷戦終了後、約15年の間に劇的に変化した。今、自衛隊に求められているのは紛れもなく「軍」としての役割である。
 私は一昨年、予備自衛官補(技能・朝鮮語)を経て予備2等陸曹に任官した。拉致問題に取り組んでいるものとして、やがて自衛隊が被害者救出の重要な役割を果たすときがくると確信しているし、そのときに自分が後ろの安全なところにいるわけにはいかないというのが志願した理由である。職種や技能は違っても、私と同様予備自補から任官した仲間には、何か国家社会のために献身したいという思いを強く持ち、先の中越地震のときにも召集を心待ちにしていた人が少なくなかった。
 さらに、われわれ当事者以上に、国民の期待は高まっている。それは同時に、これまでと比べて遥かに重い責任を担わされているということだ。今や「軍」として何をするのかが注目され、期待されている時代である。もう、法律や世論を理由に逃げることは許されない。しかし、予備自衛官として片足の指先位自衛隊に漬っているものとして断言しておきたい。
 自衛隊は絶対に国民の期待に応えられる。

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