創業大正6年 老舗 中村人形 四代の人形師が繋ぐ「祈りのかたち」

 太宰府天満宮宝物殿にて、中村人形四代の人形師に焦点を当てる企画展「中村人形と太宰府天満宮」が開催される。会期は前期と後期に別れており、前期は令和3年(2021) 9月18日(土)~12月7日(火)、後期は12月11日(土)~令和4年(2022) 3月13日(日)となっている。
 初代 筑阿弥(1897-1947)が博多人形を生業としてはじめた中村人形は、衍涯(1921-1992)、信喬(1957-)、弘 峰(1986-)へと脈々と受け継がれてきた。博多人形は、慶長5年(1600)の黒田長政の筑前入国に伴い、集められた陶工たちが生み出したのが原点と伝わっている。素焼きに着彩という大原則の他は作り手に委ねられるというその大らかな土壌は、確かな技術と精神を受け継ぎ、時代とともに変化することを是とする中村人形の理念を醸成してきた。近年、創作の場は国内外に広がり、その型に収まらない人形のありように熱い視線が注がれている。


中村信喬「御神牛」平成14年 *通期


 太宰府天満宮では、境内の老樟を材料に信喬氏が手がけた御神牛像の他、信喬・弘峰親子による作品が収蔵されてきたが、平成15年(2003)からは、干支鈴などの正月の縁起物は中村人形が手掛けてきた。本展では、伝統工芸の世界に身を置きながら、作品を通して、古来変わらない人の祈りに時代の今を見出そうとする姿勢を前期・後期に分け、バラエティー豊かな内容で展示される。


中村弘峰「影向」平成27年 *前期


 ぜひ、老舗 中村人形 四代の人形師が繋ぐ「祈りのかたち」 を体感して欲しい。



中村人形と太宰府天満宮

前期 | 令和3年(2021) 9月18日(土)〜12月7日(火)

後期 | 12月11日(土)~令和4年(2022) 3月13日(日)
*
9月20日、10月25日、1月3日、10日を除く月曜休館

開館時間 | 9時~16時30分 (入館は16時まで)

会場 | 太宰府天満宮宝物殿 第2・企画展示室
住所 | 〒818-0117 福岡県太宰府市宰府 4-7-1
観覧料 | 一般 500(400)円・高大生 200(100)円・小中生 100(50)円

*( )内は 30 名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者 1 名まで半額料金
主催 | 太宰府天満宮/協力 | RKB 毎日放送
境内美術館ウェブサイト | https://keidai.art/

中村人形 四代の人形師

初代 | 中村筑阿弥(本名:正雄)
明治30年中村喜久次郎の長男として生まれる。明治41年博多人形宗家中ノ子家に入門。商工省工芸展覧会に「護り」が入賞。昭和22年逝去。
二代目 | 中村衍涯(えんがい)
大正10年中村筑阿弥の長男として生まれる。昭和11年小島与一門下の人形師高尾八十二に師事。昭和16年人形師として独立。昭和58年国の卓越技能者表彰。昭和63年福岡県指定無形文化財博多人形製作技術保持者認定。平成4年逝去。
三代目 | 中村信喬
昭和32年福岡市に生まれる。九州産業大学芸術学部美術学科彫刻専攻(木彫)卒業。京都での人形修行を経て、中村人形に入る。多くの展覧会で入選・受賞。平成23年ローマ法王に拝謁・作品「伊東マンショ像」を献上。博多祇園山笠の人形師としても活躍。「全国山・鉾・屋台保存連合会」の保存修復事業にも携わる。
四代目 | 中村弘峰
昭和61年福岡市生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業。同大学院美術研究科彫刻専攻修了後。太宰府天満宮干支神縁品、博多祇園山笠土居流かき山を制作。平成28年「The Otogi League Allstars: Momotaro」で第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ コンペティション部門優秀賞受賞他、多数受賞。令和3年太宰府天満宮崇敬会より奉納された御帳「太宰府天満宮御本殿御帳 登り龍図」の意匠を担当。