有松絞りが現代の暮らしのなかに馴染んでいく可能性を探る「絞りのある暮らし」展

 愛知県名古屋市緑区有松にて、有松絞りが現代の暮らしのなかに馴染んでいく可能性を探る「絞りのある暮らし」展が開催中だ。会期は、2022年2月9日(水)〜2月15日(火)。




 かつて、知多木綿、常滑焼の藍甕、その製造過程にでる灰汁など、それぞれの関係から地域性・風土とものづくりが一つの線で結ばれることで有松絞りが生まれ、その循環によって産地が形成されてきた。そして、東海道という流通経路を基点に販路を得て、商業として発展した。図らずも、今日改めて注目されている循環型社会の構図に寄り添っていたことになる。
 今回の展示では、このような循環の規模を改めて捉え直し、知多半島だけではなく、日本全土あるいはアジア圏など世界中から素材を探すことで、掛け合わせにより新たな有松絞りのファブリックの可能性が模索される。


展示会場 | ゲストハウスMADO 絞り天井


 一つめの会場であるゲストハウスMADOでは、天井に有松絞りの百数種類の技法の中から選んだ柄の布を貼りこみ、天井画のように絞りを眺めるという体験を演出。東海道五十三次の浮世絵に描かれている店先の藍染暖簾のオマージュとともに、藍色の世界が広がる空間となっている。


展示会場 | 棚橋家住宅 キャンバス地 鎧段絞り


 二つめの会場である棚橋家住宅では、岡山で織られたキャンバス生地を選定し、「鎧段(しころ)絞り」を施したファブリックの展示が行われる。鎧段絞りとは、武士が戦の時に着用していた、大鎧の大袖や草摺りの段模様に似ていることに由来した絞りで、藍色と少し筋の入った白色が交互に並んだ縞模様が爽やかな和柄だ。厚みによる強度と1メートルを超える大きな布幅によって、この布をもとに商品化するならば、クッション性を活かしたラグマット、鍋つかみ、PCケースなどをはじめとしたプロダクトと相性が良く、今までとは違った、現代の暮らしに馴染んでいく有松絞りの可能性が探究された。




 ぜひ、暮らしのなかにある有松絞りの可能性にスポットをあてた本展に足を運んでいただき、地域、そして循環型社会などの背景を含めた今後のものづくりの本質を体感してほしい。



「絞りのある暮らし」展
会期 | 2022年2月9日(水)~2月15日(火)
開館時間 | 10:30~15:30
*最終入場閉館30分前まで
*会期中無休
*入場無料
問合せ先 | [email protected]
主催 | 有松日本遺産推進協議会
企画 | ゲストハウスMADO
企画協力 | 山上正晃
製作協力 | 早恒染色株式会社、有限会社名桐商店、有限会社野々山絞り
会場構成 | 村山圭
写真 | 安永ケンタウロス
デザイン | 齊藤智法、澤田 翔平
展示会場1 絞り天井
会場 | ゲストハウスMADO
住所 | 愛知県名古屋市緑区有松924
展示会場2 キャンバス地 鎧段絞り
会場 | 棚橋家住宅
住所 | 愛知県名古屋市緑区有松3004