学生時代、私たちは映画『ゴーストワールド』のイーニドとレベッカみたいだった。
世界のすべてを斜に構えて見て、二人だけの閉じられた世界で息をしていた。
最近、久しぶりに彼女に会った。
別人とまでは言わない。でも、何かが決定的に変わってしまっていた。
昔話のついでに、彼女はふとこう言った。
「いま思うとさ、あの先生には悪いことしたよね」
それはとても真っ当で、大人として正しい反省の言葉だった。
でも、その「正しさ」を聞いた瞬間、胸がどうしようもなく苦しくなった。
あの頃の尖っていた私たちは、もうどこにもいないんだな。
ただただ、寂しい。
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