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分水嶺に咲く花

いつも、お読みいただき有難うございます。目を閉じて見えるもの。著作権は私(阜可 忠:藍の波及び芦野往人)にあります。掲載内容の変更、および全容の削除などをご了承なく行うことがあります。ご了解をお願いいたします。

化粧

化粧


揺れる電車の手すりに寄りかかり

化粧する人

器用に眉を書きあげると

まつ毛に墨を乗せる

小さな手鏡に紅をさす

うん まあまあの仕上がり

微笑み車内に残して

ホームの人波に消えていった人




阜可 忠   

 令和七年一月十三日
  1. 2025/01/13(月) 20:17:21|
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冬の夜光虫

冬の夜光虫



冬の夜 夜光虫の群れ

街路樹の小枝の先にまで留まる

小さな無機質な光の粒たち


都会の夜は とっくの昔に闇がない

結ぶべき星はない

月だけが穴のあいたように明るい


夜よ暗くあれ

転々と街灯のひかりあればいい

懐かしい言葉も浮かぶもの



阜可 忠

令和六年十二月九日






  1. 2024/12/09(月) 21:00:35|
  2. | コメント:0

千切れ雲

千切れ雲


冬の空は剃刀のようにあおい

群れから離れて千切れ雲

細い糸を引いてゆくさきは

夕暮れの花岡山に腰を下ろして

指先で教えてくれた阿蘇の影紫

消えてゆきそうな思いの数々

いたずらに時を費やし

ここまできて千切れ雲

ゆっくりと流れてみたい 今は



阜可 忠    

令和六年十一月二十五日
  1. 2024/11/25(月) 19:30:00|
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うす月

うす月


うす月は満月のひかりあと

空に溶けながら思いを残していく

人の世の埒もない時の流れ

時に満月に人をしのんだとしても

月のしずくひとつ指先を濡らしても

埒もないと笑って許されるだろう やがて

新月の闇に隠されて行くのであれば


阜可 忠

令和六年九月三十日

  1. 2024/09/30(月) 09:02:28|
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糸水仙

糸水仙


池沿いの細い散歩道

木陰に隠れて糸水仙が咲いている

まだ暑い晩夏の陽から逃れて

微かな風に揺れている

焦がれた恋はいつのこと

想いを秘めて咲いている



阜可 忠

令和六年八月二十七日
  1. 2024/08/27(火) 17:46:43|
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