こんにちは、しんどーです。 気づいたら入社8ヶ月くらい経ってました。
さて、待望のJUnit 5のGA版が今年9月にリリースされました!
この記事ではJUnit 5の概要と新機能の一部をご紹介したいと思います。
全部User Guideに書いてあるとか言わない
JUnit 5とは
JUnitとは、言わずと知れたJavaのテスティングフレームワークであり、 デファクトスタンダードの地位にあります。ですが現行のJUnit 4系の最初の メジャーバージョンリリースはすでに10年ほど前であり、保守性の低下が問題に なっていました。
そこでJUnitの刷新を目指すべく、JUnit 5プロジェクトが立ち上げられました。 Junit 5の特徴を簡単に述べると、
といったことが挙げられます。
JUnit 5のAPIは、JUnit 4のAPIとは互換性がありません。 したがって全く新しいフレームワークとして理解したほうがいいかもしれません。
で、JUnit 5って使えるの?
結論から言うと、一から再設計を行ったことによって、 JUnit 4のイマイチな部分が軒並み改善された印象です。
これまで設計上の制約からか、謎のお決まりごと(@Enclosedなクラスはstaticでないといけない等)が 多かったですが、JUnit 5はより自然で直感的なインターフェースデザインになっています。 お決まりコードも減りますので、多少のテストコード量の削減も期待できます。
ただし、すでに述べたようにJUnit 4とは互換性がありませんので、 既存のテストを書き換えるのはおすすめできません。 また新規のプロジェクトで使う場合も、IDE・ビルドツール・フレームワーク等の サポートにはご注意ください。 例えば、後述しますがJUnit 5.0系とmaven-surefire-pluginの2.20系の連携はバグがあり動作しません。
Springユーザであれば、Spring 5からJUnit 5のサポートがあるので、一緒に使い始めるのがいいかもしれません。 (逆にSpring 4でJUnit 5を使うのは大変かと思います。。)
JUnit 5のモジュール構成
JUnit 5は3つのサブプロジェクトから構成されています。
JUnit Platform
JUnitテストを実行するための基盤を提供します。Maven用、Gradle用のプラグイン等が用意されていますので、 各プロジェクトの環境に合わせたモジュールを選択します。
JUnit Jupiter
テストを記述するAPI(@Test
etc...)とテストエンジンを提供します。
基本的に、「JUnit 5」と言った場合はJUnit JupiterのAPIを指すことが多いと思います。
JUnit Vintage
JUnit Platform上でJUnit 3 or 4を動かすためのテストエンジン等を提供します。 この記事では特に触れません。
Getting Started
さて、早速JUnit 5を動かしてみましょう。JUnit 4はたった一つのjarにまとまっていましたが、JUnit 5は複数の モジュールの組み合わせで動作します。(おかげで最初の1時間を無駄にしました。。)
シンプルなMavenプロジェクトを作成して、JUnit 5を動かします。
pom.xml
<project xmlns="http://maven.apache.org/POM/4.0.0" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://maven.apache.org/POM/4.0.0 http://maven.apache.org/xsd/maven-4.0.0.xsd"> <modelVersion>4.0.0</modelVersion> <groupId>com.github.rshindo</groupId> <artifactId>junit5-sample</artifactId> <version>1.0-SNAPSHOT</version> <packaging>jar</packaging> <properties> <project.build.sourceEncoding>UTF-8</project.build.sourceEncoding> <java.version>1.8</java.version> <junit.jupiter.version>5.0.2</junit.jupiter.version> </properties> <dependencies> <dependency> <groupId>org.junit.jupiter</groupId> <artifactId>junit-jupiter-api</artifactId> <version>${junit.jupiter.version}</version> <scope>test</scope> </dependency> <dependency> <groupId>org.junit.jupiter</groupId> <artifactId>junit-jupiter-engine</artifactId> <version>${junit.jupiter.version}</version> <scope>test</scope> </dependency> <dependency> <groupId>org.junit.platform</groupId> <artifactId>junit-platform-launcher</artifactId> <version>1.0.2</version> <scope>test</scope> </dependency> </dependencies> <build> <pluginManagement> <plugins> <plugin> <artifactId>maven-compiler-plugin</artifactId> <version>3.7.0</version> <configuration> <source>${java.version}</source> <target>${java.version}</target> </configuration> </plugin> <plugin> <groupId>org.apache.maven.plugins</groupId> <artifactId>maven-surefire-plugin</artifactId> <version>2.19.1</version> <dependencies> <dependency> <groupId>org.junit.platform</groupId> <artifactId>junit-platform-surefire-provider</artifactId> <version>1.0.2</version> </dependency> </dependencies> </plugin> </plugins> </pluginManagement> </build> </project>
実はJUnit 5.0系 は現在 maven-surefire-plugin の最新版(2.20.x)に対応していません。(5.1でバグフィックスが入るようです)
https://github.com/junit-team/junit5/issues/809
ここでは 2.19.1 を利用しています。
pom.xmlを作成したら、次にテストクラスです。
import org.junit.jupiter.api.Test; public class AppTest { @Test void testApp() { assertTrue(true); } }
テストクラスを書いたら、最後にmvn test
でテストを実行しましょう!
基本のテスト
JUnit 5のAPIはJUnit 4とは互換性がありませんが、 基本的なアノテーションは パッケージと名前を変えるだけでほぼ同じように動きます。
JUnit4 | JUnit5 |
---|---|
@Test | @Test |
@Before | @BeforeEach |
@BeforeClass | @BeforeAll |
@After | @AfterEach |
@AfterClass | @AfterAll |
@Ignore | @Disabled |
前処理・後処理
前処理・後処理は @BeforeEach
@BeforeAll
@AfterEach
@AfterAll
を使います。
@BeforeAll static void setUpAll() { System.out.println("before all tests"); } @BeforeEach void setUp() { System.out.println("before each test"); } @Test void test1() { System.out.println("test 1"); } @Test void test2() { System.out.println("test 2"); } @AfterEach void tearDown() { System.out.println("after each test"); } @AfterAll static void tearDownAll() { System.out.println("after all tests"); }
このときの出力は次のようになります。
before all tests before each test test 1 after each test before each test test 2 after each test after all tests
テストケース名
テストの名前は @DisplayName
で指定可能です。これまではテストメソッド名を日本語で書く人も多かったと思いますが、 @DisplayName
であれば文字種の縛りもなく自由にテスト名を変えられます。
@Test @DisplayName("1 + 1 = 2になるテスト") void plusTest() { assertEquals(1 + 1, 2); } @Test @DisplayName("😁") //絵文字も可能 void emojiTest() { }
Eclipseで実行すると以下のように表示されます。
注)mavenでレポート出力したら@DisplayNameが効いていませんでした。。
アサーション
ラムダ式に対応した、便利なアサートAPIが追加されています。
もちろん、assertTrue
や assertEquals
もあります。
アサーションのグループ化
あるオブジェクトのプロパティを全て検証したいとき、これまでは以下のように書いていたと思います。
@Test public void employeeTest() { Employee employee = employeeService.findById(1); assertEquals("Aoi", employee.getFirstName()); assertEquals("Miyamori", employee.getLastName()); }
仮に1つ目のアサーションが失敗したとします。 その時点で例外が投げられ、その次のアサーションは実行されません。 1つ目のアサーションが通るように修正したら、 今度は2つ目のアサーションも失敗していることに気づいてまた修正に戻って・・・という経験をした方も多いと思います。
そんなときに役に立つのが、アサーションのグループ化です。
@Test void employeeTest() { Employee employee = employeeService.findById(1); assertAll("employee", () -> assertEquals("Aoi", employee.getFirstName()), () -> assertEquals("Miyamori", employee.getLastName()) ); }
assertAll
の中にラムダ式で複数のアサーションを渡しています。
このように記述することで、片方のアサーションが失敗しても、
もう片方のアサーションを実行することができるのです!
例外のアサーション
@Test(exception = NumberFormatException.class) public void exceptionTest() { Long.valueOf(null); // throws NumberFormatException fail("Exception not thrown"); }
これが assertThrows
によってこう変わります。
@Test void succeedingTest() { NumberFormatException ex = assertThrows(NumberFormatException.class, () -> Long.valueOf(null)); assertEquals(ex.getMessage(), "null"); }
assertThrows
は、例外がthrowされなかった場合には
アサーションが失敗となります。@Test
には何も書きません。
assertThrows
は例外オブジェクトを返しますので、
そこからメッセージの検証などもできます。
また、JUnit 4で例外が発生しなかったケースのために書いていた
fail("Exception not thrown")
という呪文も必要なくなるのです!
assertThat
様々なアサーションAPIが追加された一方、 assertThat
はJUnit 5では提供されていません。
JUnit 5の方針として、アサーションライブラリは開発者が好きなもの使ってね、というスタンスのようです。
assertThat
を使いたい場合は、Hamcrestなどのサードパーティのライブラリを導入すればOKです!
構造化テスト
JUnit 4の @Enclosed
の代わりに @Nested
が導入されました。
public class EmployeeServiceTest { EmployeeService service; @BeforeEach void setUp() { this.service = new EmployeeService(); } @Test @DisplayName("IDで検索する") void testFindById() { Employee employee = service.findById(1); assertAll("employee", () -> assertEquals("Midori", employee.getFirstName()), () -> assertEquals("Imai", employee.getLastName()) ); } //非static @Nested @DisplayName("名前で検索する") class FindByFirstNameStartingWithTest { @Test @DisplayName("firstNameが「E」から始まる") void startsWithE() { // アウタークラスのフィールドにアクセスできる List<Employee> employees = service.findByFirstNameStartingWith("E"); assertEquals(employees.size(), 1); Employee employee = employees.get(0); assertAll("employee", () -> assertEquals("Ema", employee.getFirstName()), () -> assertEquals("Yasuhara", employee.getLastName()) ); } } }
その違いは何と言っても、インナークラスが非staticになったことです! これによって、アウタークラスのプロパティを参照したり、前処理・後処理を共通化することができます。
まとめ
ここまでJUnit 5の新機能の一部を紹介してきました。 この他にも、パラメータ化テスト、タグ、Extensionなど 注目すべき機能がたくさんあります。 この機会にJUnit 5を是非触ってみてください! (できれば続き書きたいなあ。。)
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