【特集】一人一人を大切にする教育で「奉仕する心」を育てる…カリタス女子

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 カリタス女子中学高等学校(川崎市)の萩原千加子校長が就任4年目を迎えた。萩原校長は、カリタス学園の創立間もない頃から小・中・高と12年間学び、教師として帰ってきてからも都合30年以上学園で務めている。自らも経験してきた「カリタス(愛)」の精神を伝えるため、校長として現在、「生徒一人一人を大切にする」教育を実践しているという。萩原校長の考える同校の魅力やこれまでの取り組みを聞いた。

「生徒一人一人を大切にする」方針で学習プログラム改革

「生徒一人一人を大切にする」教育方針について語る萩原校長
「生徒一人一人を大切にする」教育方針について語る萩原校長

 萩原校長は、1967年にカリタス小学校に入学し、高校までカリタス学園で学んだ。83年に中央大学を卒業し、非常勤教員としてカリタス高等学校に赴任し、その後、同小教員を約20年間務めた。2003年からは上智大学神学部及び同大大学院でキリスト教を学び、修士号を得て07年、同小学校に復帰。小学校校長、中高副校長を経て、19年度から中学高等学校校長の任にある。

  ――学園の一番の特色は何だと考えますか。

 本校は1960年に、カナダのカリタス修道女会から来た3人の修道女によって設立されました。私が入学した頃はまだ、設立者の先生方が教えていました。遅刻や忘れ物が多くて度々叱られましたが、先生方の接し方から、自分は大事にされている、いつも見守られていると子供心に感じていました。これが本校の教育の本質で、変わらず受け継ぐべき部分だと思っています。

 校名の「カリタス」とは「神の人間に対する愛」、つまり他者を自分との関係などで区別せず、等しく大切にする精神のことです。そうした精神を持ち、それを世の中に伝える人間を育てるため、本校では生徒一人一人を大切にする教育を基本としています。

 就任2年目に学習プログラムの改革を行いましたが、それも「生徒一人一人を大切にする」方針に基づくものです。一つは、中3の後半以降を対象とする「放課後講習」です。従来は英語と数学の補習授業でしたが、生徒の目標に応じて細かく支援する内容にリニューアルしました。「現代文共通テスト対策」「小論文演習」「早慶上智対策世界史演習」といった教科関連のものから「面接・志望理由書対策」などまで、入試を踏まえた約50の講座を用意しています。

 もう一つは、興味を持った分野を深く学ぶための、全学年を対象とする「土曜講座」です。従来は「古典」「英語」など広い枠組みでしたが、学ぶ内容を明確化した再編成を行いました。たとえば数学は「数検対策3・4級」、国語は「読解力養成講座」、英語は各級の「英検対策」のほかに「ディベート講座」や社会の問題を英語で討論する「グローバル・シチズンシップ講座」などです。従来の受講者は数十人程度でしたが、現在は350人ほどに増えています。

学校運営にも生徒の希望が反映される

  ――「生徒一人一人を大切にする」方針は、学校生活の面ではどう生かされていますか。

カフェテリアを開放した「夜の自習室」で勉強する生徒たち
カフェテリアを開放した「夜の自習室」で勉強する生徒たち

 「思ったことは、誰でも、何でも提案できる」という姿勢で臨んでおり、学校運営面で生徒の希望を反映することも多いです。私自身、可能な時には校長室の扉を開けておき、生徒が気軽に入って話ができるようにしています。

第一線で活躍する女性を講師に招く「グローバル リレー講演会」
第一線で活躍する女性を講師に招く「グローバル リレー講演会」

 就任1年目の春、3人の生徒が来て「最終下校時刻の後も学校で勉強したい」と願い出ました。そこで作ったのが「夜の自習室」の仕組みです。小講堂やカフェテリアを午後7時まで使用できるようにし、教員も数人待機して質問に応じるようにしました。この話を聞き、チューターを引き受けてくれる卒業生も現れました。現在は日常的に40、50人が利用しています。

 毎年6月には、第一線で活躍する女性を招いて話を聞く「グローバル リレー講演会」を行っていますが、生徒が人選に関わることも度々あります。昨年登壇した環境活動家の露木 志奈(しいな) さんも、外部の講演会で彼女を知った高2の生徒の提案でお呼びしました。彼女の話に感銘を受け、中3のグループが学校に「クライメートクロック(気候時計)」を設置するなど、活動の広がりにもつながりました。

  ――積極的な姿勢の生徒が多いようですね。

 毎日の「朝の祈り」も、そうした姿勢を促すベースの一つでしょう。全校生徒が持ち回りで放送室からお祈りの言葉を述べる時間で、その際に自分の気持ちや意見、身の回りのことなども話します。良いことばかりでなく、悩みや迷いを吐露する生徒もいます。そうしたことを通して、さまざまな感情や考えを生徒同士で共有し、支え合う姿勢が生まれていると思います。

「自分の力を人のために使いたい」という思い

  ――生徒たち自身が「カリタス」の精神を学ぶ機会はありますか。

フィリピンの孤児に送るポシェットを手作りする中1生
フィリピンの孤児に送るポシェットを手作りする中1生

 本校では社会奉仕を目的とした活動が盛んです。全員参加の活動としては、クリスマス前に学年ごとのボランティア活動を行います。中1はフィリピンの孤児に手作りポシェット入りの文具を送る活動、中2は近隣の清掃活動や福祉施設へ送るクリスマスカード作り、中3は里山の保全活動です。高校では、街頭募金や地元の福祉施設でのレクリエーションなどを行います。

 生徒のボランティアグループ「アンジェラスの会」の活動も盛んです。中1は全員、中2以上は有志参加で、フェアトレード製品の販売などの海外支援や、国内被災地へ募金するためのバザーの開催、障害者施設への訪問や町おこしイベントへの参加など幅広く活動しています。

 個人レベルでも、有志が集まって地域貢献に取り組むグループがいくつかあります。

  ――多様な活動がありますね。

 本校の生徒は、入学時にはむしろ引っ込み思案な子も多いですが、さまざまな活動や行事で先輩たちが生き生きと活動する姿を見て成長し、教員が驚くような行動や提案をする生徒も現れます。こうした活動は将来の志望や目標につながり、学習のモチベーションともなります。

  ――今後、力を入れたいことは何ですか。

 学内外への情報発信をもっと行いたいです。現在もフェイスブックで学校の特色や活動を発信しており、生徒や保護者を含む多くの人が見ています。「誰かのために行動したい」「学校をより良くしたい」という意識が伝統的にあり、今は行動していない生徒も思うところはあるはず。前例に背中を押されて前に踏み出し、連鎖を起こしていければいいと思っています。

 安心感のある環境で大切に育てられた経験は、「自分の力を人のために使いたい」という思いにつながります。私の同級生だった女優の紺野美沙子さんは、国連開発計画の親善大使を20年以上務めていますが、その原点には本校での学びや経験があるはずです。他にも、企業や団体のまとめ役を担ったり、子供の支援組織を運営したりという卒業生がたくさんいます。世の中のために行動し、多くの人に愛される人が、本校からこれからも数多く出てほしいと願っています。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:カリタス女子中学高等学校)

 カリタス女子中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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3521861 0 カリタス女子中学高等学校 2022/11/16 05:01:00 2022/11/16 05:01:00 /media/2022/11/20221114-OYT8I50029-T.jpg?type=thumbnail

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