自作キーボードやアクリルアクセサリをBOOTHで頒布しています。どうぞご覧ください

オープンソースの画像生成AIをセットアップから使い方まで解説する『Stable Diffusion AI画像生成ガイドブック』(ソシム刊)発売中(→本のサポートページ)

-->

「ペリリュー 楽園のゲルニカ」


5日に封切りになったので観に行った。マンガの第一話を読んだ気がするがずっと前の話で、ヤングアニマルで連載が始まったのは2016年だそうだ。

実にメメント・モリな作品だと感じた。戦争映画なのだから死と隣り合わせで、死について思う作品なのは当たり前かもしれない。しかしこの映画で描かれる死は戦闘での死だけではなく、むしろそれ以外の死に方に重点を置いて描写される。敵と戦うという目的と関係ないところであっさり死んでしまう空しさがあちこちにあった。実際、旧日本軍の死者230万人のうち餓死や病死は6割以上とも言われている。そのほかにも映画にあるような、敵の攻撃以外での死亡もけっこうな数があるのだろう。

映画を観たあとマンガは全11巻と聞いて、とするとマンガを読んでいた人に映画はダイジェストになっているかもと思った。ちょうどhontoで「最新完結コミック超無料まつり」が開催されていて、「ペリリュー」も5巻+外伝1巻を13日まで無料で読むことができる。(追記:外伝1巻には本編終了後の物語も収録されており、映画のネタバレになっている。ご注意を)

読んでみたらなるほど、映画ではうまく話を省略してつなげている。特に主人公が直接見聞きしない部分、大きな戦局などは映画ではまったく描写されない。主人公の体験が物語の中心になっていて、周辺の状況はまったくわからない。これはいい感じだった。

追記:劇中、米兵の英語のセリフはすべて字幕がなく、何を言っているのかわからない。これも主人公の主観にもとづく演出の一環なのだな。

それから1巻の巻末には、マンガとしての見た目を重視して事実から改変したところの解説があった。南方の兵士は通常半袖半ズボンで、ヘルメットも革靴も戦闘中以外は使わなかったとのこと。しかしこれをそのままこの絵柄に適用すると兵士が子供のように見えてしまうので、兵士らしくなるよう長袖長ズボン、ヘルメットに革靴としたそうだ。あわせて眼鏡のフレームも戦時中は丸型に統一されていたところ、本作では主人公だけ目立つように四角いフレームにしたという。なるほどね。

連載が終わったのが今年の6月で、映画の公開は12月。映画は連載が終わるずっと前から作っていただろうから、終盤の展開は作者から映画スタッフにあらかじめ開示されていたのだろうと思ったりした。(映画の脚本には西村ジュンジと並んで原作者の武田一義の名前もある)

(追記:本編の最終11巻が発売されたのは2021年で、その後は「外伝」を執筆していたようなので、上の推測は見当違いでした)

劇場に置かれていたぬいぐるみ。