2026-02-09

コロナがすべてを奪っていった

倒産した製菓店の店主として語るなら、胸の奥がまだ少し痛む。

店を閉めた日のことは忘れられない。

ショーケースに残った最後シュークリームを見つめながら、何度も「もっとやれたはずだ」と自分に言い聞かせた。

けれど、現実は甘くなかった。材料費の高騰、客足の減少、どうにもならない流れの中で、店の灯りは静かに消えた。


それでも、あの日々が無駄だったとは思わない。

子どもが初めて食べたケーキに目を輝かせた瞬間や、

常連さんが「ここの味が一番好きだ」と言ってくれた声は、今も心の中で温かく残っている。


コロナがすべてを奪っていった。

いちばんに焼き上げたクロワッサン香りも、

子どもたちの「また来るね」という声も、店の奥で聞こえていた小さな笑い声も。

シャッターを下ろした瞬間、世界が音を失ったようだった。

それでも、あの日々の温もりだけは奪われなかった。粉にまみれた手で積み重ねた時間は、今も胸の奥で静かに息をしている。

  • でもさ、考えてみろよ コロナ前に比べて卵の値段は3倍、その他材料もだいたい2倍 コロナなんてなくても、今借金まみれになってるのは簡単に想像できるじゃん コロナで店閉められて幸...

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