『私塾のすすめ』

齋藤孝梅田望夫私塾のすすめ』(ちくま新書)読了。


素晴らしい本。やや散漫な感想しか書けないけど・・・。
これを読み始めた時体調が優れなかったのですが、読み始めたらそんなことはどこかに飛んでいきました。それくらい、ポジティブな言葉にあふれています。
首根っこをつかまれて、「目を覚ませ!」と言われた感じ。まさに「蒙を啓く」。そうか、自分を肯定的に捉えて自分の可能性に懸けてみたらいいんだ。学び続けながら、私淑できる本の中の「心の師」を見つけながら、自分を深めて、広げていくことは素晴らしい。
とにかくやってみたらいいんだ。素直に、割り切ってしまっていいんだ。時間は有限だ。


お二人とも、「ビジョン」を明確に持って生きてらっしゃるなと思う。自己実現されていて羨ましいし、それが自分の中だけでとどまらず、使命感のようなものを感じて外に放射されている。そして「あこがれにあこがれる」形で人が集まってくる。
ビジョンこそ、お二人が対決しているところの「朦朧とした」日本の空気の対極にあるもの。だからお二人の怒りのパッションは強いし、メッセージ性がはっきりしている。
「生き方をデザインする」という考え方にしても、ビジョン、戦略を持って生きることの大切さを教えて頂いた気がしています。


お二人の対談の仕方もお互いの概念を共有したり、とてもクリエイティブで理想の対話のひとつとして参考になりました。
齋藤さんが今までのご自分の業績や現在の心境を語っていてそちらも面白かったりするし、また梅田さんとの対話によって齋藤さんが伝えたいことが明確になっている印象があります。
とりあえず通読したけど、さまざまなヒントが盛りだくさんなので、もう一度じっくり読んでいきたいと思いました。大事な本のひとつになりそうです。


最後に引用をば。

齋藤「自分探し」という言葉には以前から違和感があります。僕は、「自分がやりたいこと」を模索していた時期はありますが、「自分」を探したことは全くないです。自分はここにいるのだから、自分を探しに行くことはないですよ。僕は常に、自分とは仲がいいです。自分のことは好きだし、自己肯定できるし、自分のことが敵になる状況というのは、どんなに悲惨な状況でもありえません。「自分と仲がいい」っていうのは、能力や才能とは別問題です。…僕は、自分の気質は変えられないと思っているし、あるいは身体性、すなわち身体も、取り替えがききません。小さい頃からどういう遊びをしてきて、何をやってきたかが、全部この身体につまっている。だから「自分」は探さない。

次に読むのは、同じ対話本でも2000年以上遡って、プラトンの『国家』。

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

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