規模の悪魔
・・・・・ ロナルド・ライト[Ronald Wright]
暴走する文明[A Short History Of Progress] 第1章から
旧石器時代に滅んだとされるマンモスやその他の巨大動物・・毛サイ、ジャイアントウォンバット、大きな陸ガメ、ラクダ、大型バイソン、大ナマケモノ・・・の絶滅原因は、色々な説があります。気候変動も有力な説です。
しかし、人間が新しい土地に現れると間もなく大型猟獣が姿を消しはじめています。人類の関与を示す証拠も圧倒的にあります。銃などの武器が沢山存在した近代ならいざ知らず、まだ石器時代の人類の乱獲によってマンモスなどの大型動物が滅びた可能性が極めて高いことに驚きました。しかし同時に納得致します。・・きっと人類が大きな原因でしょう。・・こんな古代から人類は生物を絶滅させていたのです。
ほかの動物のように必要最小限の動物の捕獲に満足せず、必要以上に動物を乱獲したからです。
規模が大きいことは効率がいい事として、大量生産がなされる事によって、大量消費も進みました。でも、規模が大きい事は、効率がいいようで、非常に無駄が多く、かつ、その社会の存続に関わる大きな問題を生み出すのです。
現代の大量生産大量消費文明は、ほんの2百年ほど前の産業革命以降に始まりました。マニュファクチャリングで、同じ製品を1個でなく10個作ることを覚えた現代の製造業者は進歩を成し遂げたように見えました。しかし、石炭、石油をエネルギー源として使っての、大量製造ラインで同じ製品を何千何万と作ることを覚えたのは進歩のし過ぎだったのです。その結果、自らを文明人と呼んで、羽振りのいい生活を送っていますが、その後の反動は旧石器時代の比ではないでしょう。
飢えるだけではありません。廃棄物による汚染の問題、原子力の恐怖・・・みんなグローバル化で世界規模に膨れ上がり逃げ場がなくなってきました。かつては規模の悪魔によって社会が崩壊しても、まだ他の地に逃げることが可能性として残っていました。しかし、現在の規模の悪魔は、『グローバル』の言葉通り、遂に地球規模になってしまいました。崩壊は世界規模で、逃げ道なし・・・です。
宇宙に逃げるなんて不可能なことを探るのではなく、地球上で生き残ること・・「規模の悪魔」を止める事を考えるべきでしょう。
規模の悪魔は、人間の限りない欲望から生まれた人間ならではの悪魔でしょう。規模の悪魔は現代社会を蝕み、確実に破滅へと導いているのです。
参考文献 :暴走する文明[A Short History Of Progress]
ロナルド・ライト[Ronald Wright]著 星川淳 訳
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