第三世界を定義し直す
その後、ソビエト連邦の崩壊を経て、第一世界の人々をはじめ多くの人が、進歩には、自由主義しかないと結論づけ、気の早い単純思考の学者などは、資本主義と民主主義こそ歴史の最終到達地点だと結論づけてさえいます。随分と強引で短絡的発想です。キューバなどのように優れた社会主義国家も存在します。第一、資本主義と民主主義って、本来はセットの概念ではありません。
さて、これまでの先進国、途上国の区別ではなく、社会の形態として、第三世界を定義し直してみます。
第一世界、第二世界というものも冷戦終結以降かな り変化してきて、第二世界は多くが第一世界に戻りました。中国も共産主義とはいい難くなっています。これまでいわゆる発展途上国と言われた第三世界の中にも、必ずしも途上国とは言えないほど開発された国もあります。だから、これまでのようにアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどのいわゆる発展途上国の一般的な総称ではなく、新しく第三世界を定義し直してみます。
自由資本主義の第一世界に対してその後現れた社会主義の第二世界は、理想郷とも捉えられ、社会の進む方向と考えられましたが、ソビエト連邦の崩壊以降、社会主義国家の多くが崩壊しました。この、第一世界とも第二世界とも違った形態の社会として、第三世界を定義し直してみます。
第一世界の自由、資本主義社会も、第二世界の社会、共産主義社会も、どちらの陣営も、開発すればいくらでも存在すると仮定した無限の大地と無限の資源を前提として出発していますから、有限の地球上で、ここまで人口、生産、経済が大きくなると、かなりの歪みが生じます。持続可能な社会ではありません。
それに対して定義する第三世界は、経済成長を前提としない脱経済成長主義国家です。
地球の環境問題を考えた場合、この脱経済成長の第三世界でなければこれ以上の社会の持続は無理でしょう。
第三世界というよりも、第三社会と云うべきかも知れません。
現在脱成長を支持する人々は徐々に増えています。ヨーロッパにも日本にもそんな政治家も現れ始めています。いわゆる緑の政党です。20世紀も終わりに近い頃に出現したこの政党は、歴史を遡ると脱経済成長と言うよりは、環境第一の市民派の政党だったようですが、脱経済成長も掲げるようになってきています。
経済成長路線の自由経済世界は、破綻の滝つぼへと突入しています。グローバルに合流して大きく一つになった文明と言う船が、崩壊の滝壷へ加速運動しているのがこの浪費文明世界です。滝つぼへ落ちる前に舵を切って、この崩壊の滝つぼへの急流から脱して脱経済成長としての第三社会への移行が出来るかが問題です。非常に大きな抵抗のある難関山積みの舵切りでしょう。
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