日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

2013年 展覧会ベスト10

今年も、見た展覧会を振り返って、ベスト10を選んでみました。なんだかんだでどんどん膨らんでしまったけれど、いやいや、と押しとどめて30に絞ったところから、なんとかひねり出したベスト10。それ以外のものについても大まかにグループをつけて印象の良かったものから並べてみます。

1.京都国立博物館『狩野山楽・山雪』

1位は文句なしのこれ。もーね、震えましたわ。会場をいったりきたりうろうろしながら悶絶。めくるめく、とはまさにこのこと。京都でこの展覧会に出会えた興奮はなかなか忘れようにも忘れられません。ことばにできない
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/130330/

2.東京国立博物館『和様の書』

展覧会として2〜3時間で見ろってのは酷です、無理があります。ずっといたい、むしろ住みたい。布団と家財一式持ち込ませて貰いたい。寝しな起きしな、手の空きに、ごろんごろんしながら恍惚としてうっとり眺めたい。書が絢爛で美し過ぎる…
東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「和様の書」
東京国立博物館『和様の書』が凄かった…で、選挙 - 日毎に敵と懶惰に戦う

3.奈良国立博物館『當麻寺展』

タダナラヌ、ナマナマシイ、フオンナ展覧会。鎌倉時代の当麻曼荼羅絵巻とか、菩薩さん大集合の極楽浄土感とか、お祭り騒ぎな感じが。仏教関係の展覧会で、こんなにノリとグルーヴを感じたのははじめて。なんかエライもん見せられた…

4.東京国立博物館『特別展 京都』

これからの展覧会のありかたのエポックメーキングになるかもしれない、いやなるであろう展覧会。
東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 日本テレビ開局60年 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」
東京国立博物館『京都―洛中洛外図と障壁画の美』、西洋美術館『ミケランジェロ展』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

5.愛知県美術館『応挙』

衒いの無い直球勝負の、応挙の魅力を余すところなく伝える素晴らしい展覧会。大乗寺『松に孔雀図襖』部屋、寺の一室で一人向かいあうような贅沢な空間…あの展示方法を考えた人、許した寺万歳!
愛知県美術館 過去の企画展

6.東京都美術館『ターナー展』

ターナーがなんで凄いのかよっくわかる展覧会だった。画面全体にたっぷり含まれた水分、溢れる光、そして色彩!水彩や習作に片鱗を見せながら晩年に向かい、そして抽象さながらの画面、爆発して溶け合う色と光…に震えましたわ
ターナー展 Turner from the Tate: the Making of a Master|東京都美術館
東京都美術館『ターナー展』など - 日毎に敵と懶惰に戦う

7.東京国立近代美術館『ジョセフ・クーデルカ展』

特に『ジプシーズ』とても強くて、奥行きがあって、一枚の写真の中に何層にも物語が折り畳まれている、その写っている人だけではなくて、その背景にある民族、歴史、ありとあらゆるものが写真の奥に広がっていて、どの写真の前でも立ち止まって凝視してしまう。
http://www.momat.go.jp/Honkan/koudelka2013/
東京国立近代美術館『ジョセフ・クーデルカ展』と『何かがおこってる:1907-1945の軌跡』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

8.東京国立近代美術館『竹内栖鳳』

竹内栖鳳はほんとに掛け値なしで上手い。じっくり見てると、へーっ、ほーっ、と線や色に表現に、いちいち唸っちゃう。動物が!獅子に虎に象に兎に犬に雀に熊に猿に、羅馬之図、日稼とか、素晴らしいものをたくさん見られて幸せでした…
http://www.momat.go.jp/Honkan/takeuchi_seiho/

9.東京都写真美術館『映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。』

重くて長くてうっわー…な映像作品ばかり続く、覚悟して見なきゃいけない、横から張り倒されるような、そんな展覧会でした。正月の気分が吹っ飛んだのです
東京都写真美術館
東京都写真美術館『北井一夫 いつか見た風景』『映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

10.新潟県立歴史博物館『石仏の力』

丸い奇石やら、はては隕石まで、ありとあらゆる民間土着の信仰のありよう、その多様性にびっくりするような、力の入った展覧会であったのです。展示に全面参画している『新潟県石仏の会』をはじめ、民間在野の研究の充実ぶりにも驚かされた展覧会であったのでした
http://nbz.or.jp/?p=3852
新潟県立歴史博物館『石仏の力』、キナーレ、ぽんしゅ館 - 日毎に敵と懶惰に戦う


あとは羅列になってしまいますが…

11〜15位

・日本民藝館『つきしまかるかや』
・京都国立近代美術館『映画をめぐる美術』
・東京国立博物館『上海博物館 中国絵画の至宝』
・Bunkamuraザ・ミュージアム『アントニオ・ロペス展』
・京都国立博物館『魅惑の清朝青磁』

16〜20位

・埼玉県立歴史と民俗の博物館『狩野派と橋本雅邦−そして、近代日本画へ』
・Bunkamuraザ・ミュージアム『白隠展』
・横浜美術館『下村観山』
・国立国際美術館『あなたの肖像- 工藤哲巳回顧展』
・国立新美術館『アンドレアス・グルスキー展』

21〜25位

・水戸芸術館『高嶺格のクールジャパン』
・東京藝術大学美術館『夏目漱石の美術世界展』
・金沢文庫『東大寺―鎌倉再建と華厳興隆』
・大倉集古館『描かれた都 開封・杭州・京都・江戸』
・東京国立近代美術館『フランシス・ベーコン展』

26〜30位

・国立新美術館『印象派を超えて―点描の画家たち』
・国立国際美術館『夢か、現か、幻か』
・仙台市博物館『若冲が来てくれました』
・神奈川県立近代美術館葉山『戦争/美術 1940‑1950 モダニズムの連鎖と変容』
・国立新美術館『貴婦人と一角獣』


まだまだ、いれたいものもあるような気がします…。今年はなんだか、日本美術が多かったね。あと、印象派、あらためて良いかも、という年であったような。クラークコレクションも良かったし、エミールクラウスも良かったし。それにしても、ラファエロもミケランジェロもレオナルド・ダ・ヴィンチも入ってないすね…
現代美術系をぜんぜん入れられてないなあ、と。原美術館のソフィ・カルもなかなか良かったような気はしてきた…。あ、そうだ、アーティストファイルの志賀理江子はすごく良かったのだ…。

アートフェアでは、あいちトリエンナーレはもちろん良かったけれど、堂島リバービエンナーレもなかなかでした。瀬戸内のほうにまったくいけなかったのは悔やまれますね…
とても駆け足で廻るあいちトリエンナーレ2013 - 日毎に敵と懶惰に戦う
堂島リバービエンナーレ2013『Little Water』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
来年は横浜トリエンナーレだけれど、さて、どうなるか

あと、とにかく今年は常設展がすごく印象良いのが多かったな、と。東京国立博物館、東京国立近代美術館、東京都現代美術館の常設はいつものことなので言わずもがな(それにしても、トーハクが何時にも増してすご過ぎた)。
東京国立博物館の常設を堪能する - 日毎に敵と懶惰に戦う
土曜日、東京国立博物館の秋の特別公開と、森美術館『六本木クロッシング』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
和様の書、東京都現代美術館、米田知子、パシフィックリム - 日毎に敵と懶惰に戦う
横浜美術館も企画展よりいいんじゃない?というのが多かったし、インターメディアテクのオープンは僥倖であるし、遠征したセゾン現代美術館も良かったなあ。ブリヂストン美術館のコレクションの凄さに改めて驚かされたり。

美術館?みたいな感じなんでちょっと載せなかったけど、六本木の森アーツのミュシャも良かったね。あ、そうそう、岩波写真文庫の展覧会も良かったのだった。ギャラリーめぐりがあまり出来てませんでしたね、ことしは
銀座教文館『岩波写真文庫とその時代』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
選には入れませんでしたが、関東大震災90年に関する横浜の展覧会も見逃せませんでした
関東大震災90年、横浜の企画展めぐり - 日毎に敵と懶惰に戦う

そして、忘れてならぬのが日展。多くは語りませんが
第45回『日展』感想文 - 日毎に敵と懶惰に戦う


今年も大変お世話になった、青い日記帳のTakさんのところに、いろんな方の情報が集約されているかと思いますので、ぜひ
2013年 展覧会ベスト10 | 弐代目・青い日記帳


ちなみに、去年はこんなんでした
2012年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う


そんなわけで、来年も楽しい展覧会めぐりを…まあ少し控えめになると思いますが、していきたいと思います!