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「免罪符」

ある男が、商店街の一角で珍しい店を見つけた。

看板には「罪の軽減承ります」とだけ書かれている。

好奇心に駆られ、男は店に入ることにした。

 

 

中は薄暗く、小さなカウンターに老紳士が一人座っていた。

老紳士は男を見て微笑み、「何かお悩みですか?」と尋ねる。

 

男は冗談半分で言った。

「まあ、会社でつい同僚の功績を横取りしてしまったんですよ。

 ちょっと罪悪感があってね。」

 

老紳士は静かに頷き、棚から小さな瓶を取り出した。

「これをどうぞ。罪悪感を軽減する薬です。一滴で心が軽くなります。」

 

男は半信半疑ながらも瓶を買った。

その夜、薬を一滴舐めてみると、不思議なことに胸の重りがすっと消えた。

同僚の顔を思い出しても、何の感情も湧かない。

 

「これはすごい!」と感激した男は、

それ以来、さまざまな罪を軽くするためにその店に通うようになった。

嘘、裏切り、盗み――男の行動は次第にエスカレートしていくが、

罪悪感がないので止められない。

 

ある日、男が店に行くと、老紳士が待ち構えていた。

「そろそろお支払いの時です。」

 

「え?支払い?もう薬代は払ったはずだ。」

 

老紳士は微笑みを崩さず言った。

「代金はお金ではありません。

 あなたの『罪悪感』そのものが代償なのです。

 すべてを失った今、あなたには何も残りません。」

 

その瞬間、男は初めて心の中に空虚感を感じた。

罪悪感が消えた代わりに、

彼は人としての大切な感情をすべて失ってしまっていたのだ。

 

店を出ると、外の世界がやけに冷たく感じた。

それでも彼は戻ることができない。すべては、彼自身の選択の結果だったからだ。

終わり

 

 

yoyrz8oooooo.hatenablog.com

 



 

 

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