ローコード開発コミュニティは発展的な解散を迎えました

2025年4月21日に開催されたローコード開発コミュニティの総会で、現体制の終了と、今後の活動方針(Facebook活用)が了承されました。いわゆる「発展的な解散」です。

今後、ローコード開発コミュニティは法人からの会費を受け取らず、Facebook グループとしてリニューアルします。個人単位での参加の場になります。
https://www.facebook.com/groups/1584739295499912/

2013年8月の「超高速開発コミュニティ」設立に関わってから12年近い年月が流れました。途中で名称を「ローコード開発コミュニティ」に変更しましたが、一貫して業務アプリケーション開発の適切な自動化について同業のベンダーやユーザーと意見交換を重ねてきました。

それから10年後の2023年、生成AIの登場でローコード開発が大きく変わる局面に立ち会いました。ローコード開発がなくなるという極論も一部には出ましたが、実際にはそうではありません。自動化と生成AIは非常に相性が良いので、いかにこの技術を掛け合わせるかという視点で再検討するという新しいフェーズに移行したと受け止めました。

そのような潮流がありつつ、あわせて「ベンダーを中心とした法人が運営費を負担する組織形態」も10年たつとマンネリ化してきたという側面もありました。これらを考慮すると、まだ各社とのつながりがあるうちに現在のベンダー法人を中心とした運営を終了し、個人による活動に切り替える、いい時期だと幹事会で判断したところです。

設立当初は「競合他社が自社製品の売り込みのためにつくった会だろう」とか「昔のCASEツールの焼き直しで、うさんくさい」などのネガティブな意見も散見されました。それでも私は技術的な視点でこの業界が抱えていた問題点 - Excelで設計書を書くこと、その設計書が実装コードと対応できていないこと、低スキルの技術者を大量に集めることで大規模システムを開発すること、などを解決するために、さまざまな開発フェーズに自動化技術を盛り込むという考え方を共有できる企業、個人が少なからずいるはずだという確信がありました。そのような方々が共通の場で意見交換できる場があれば、その活動が結果としてローコード技術の普及啓蒙に貢献できると考えたのです。

これは結果的に当たりました。この考え方に賛同する方が声をかけあい、コミュニティは発展していきました。そしてボランティアにもかかわらずコミュニティの運営に関わっていただけたウイングの樋山さんやSCSKの堀井さんをはじめ、本当に多くの方に支えられて活動した12年でした。コミュニティ設立の翌年には、日経BP社から書籍「超高速開発が企業システムに革命を起こす」を出版できたことで活動に弾みがつきました。その後も定期的に技術勉強会やユーザ事例発表会、イベントへの共同出展を行っていきました。2021年にコミュニティ初代会長の関さんのインタビュー記事が日経コンピュータに掲載されたときが、このコミュニティの注目度がもっとも高まったときでしょう。そして今、生成AIがローコード開発を次のステージに引き上げようとしています。

最後の総会ではライトニングトーク大会を企画し、数社にご発表いただきました。技術的な視点では、どのツールも AI との連携に熱が入っており、ジャスミンソフトも日立製作所様との共同研究である上流工程の生成AI活用を紹介することができました。今はまだ「ローコード開発」と「AI駆動開発」は別のように扱われますが、1-2年でこの垣根はなくなるとみています。

振り返ってみれば、日本におけるローコード活用の普及という場に身を置き続け、そのリード役の一人として関われたことは幸運でした。市場規模が小さいところからスタートしたため、市場への認知がいかに大変なことかを身をもって知ったこと、そして同業他社がどのような工夫をするか、ユーザ企業はどういう視点で活用しようとしているのか、などを自身の目で追えたことは何者にも変え難い経験になりました。熱い思いをもった人たちと一緒になってコミュニティを立ち上げ、誤解や偏見をひとつずつ解消しながら賛同者を増やし、そしてピークを迎えたあとに無事にクローズして次にバトンを渡せたことに満足しています。

改めて、これまでのローコード開発コミュニティに関わっていただいた、すべての方にこの場を借りて感謝します。

そしてコミュニティは個人活動を中心に、これからも続いていきます。ローコードやAIといった技術を現場で使ってみたい、またはその経験を発信したいという方、是非とも Facebook のグループに入ってください。不定期ではありますがオフラインでのイベントも企画していきたいと思います。

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