今日の一冊 獄門島(金田一耕助シリーズ 1947年から1948年連載) 

 

新年あけましておめでとうございます

昨年師走に始めたVtuber(デビュー予定)本多よむがお勧め本を紹介する『本多よむの異界図書館』、2025年最初の記事です

去年も読んでくれた方、今年発見してくださった方、どちらもよろしくお願いいたします

 

新年一冊目の紹介は、超有名シリーズから

金田一耕助シリーズ三作目『獄門島』です

作者は昭和の推理小説作家を挙げるなら、絶対に忘れてはいけない横溝正史さん

この横溝さんがこの世に生み出した、推理小説好きでなくても名前を知っている名探偵金田一耕助が活躍する、初期の長編となります

 

金田一耕助、名前しか知らないけどすごいの? という方に、最近の作品で影響があるものを挙げますと

まず『金田一少年の事件簿』と『金田一37歳の事件簿』等の主人公は、この金田一耕助の孫という設定です

そして『名探偵コナン』、こちらは金田一少年の人気にあやかるべく、サンデー編集部が推理ものを企画・開始したとのこと

どちらの作品も、金田一耕助シリーズがあってこそ生まれた存在と考えても間違いではないでしょう

 

そんな金田一耕助が活躍するシリーズの中で、何度も映像化されている『獄門島』

どんなお話かと言いますと

bookwalker.jp

 

時は昭和21年

戦地から復員してきた金田一耕助は、その帰路に看取ることになった戦友の遺言を伝えに、戦友の故郷である瀬戸内海の獄門島に向かう

その島では、戦友の従兄弟が無事に復員することと、戦中に供出した寺の釣鐘が戻るとの知らせが届いて喜びに沸いていたところだった

しかし、金田一の戦友は島の名家の跡取りであったため、その死を知らされた人々は悲しみに沈むが、妹である三姉妹はどこか不可思議な態度で……

金田一に「俺が帰らねば妹たちが殺される」と言い遺した戦友は何を知り、恐れていたのか

そして、その言葉通りに三姉妹の一人が無残に殺された

金田一は残る姉妹たちを守り、犯人を見付けられるのか

 

 

執筆も1947年、作中はその前年と終戦から間がないので、当時の世情が色濃く描写される作品です

主人公の金田一が復員船(出兵した人々を戦地に迎えに行った船)の中でマラリアに掛かって死にゆく戦友を看取ったことで、物語が始まります

この時、すでに彼は名探偵として東京で有名人でしたが、当時の情報伝達速度では瀬戸内の孤島では活躍を知る者もおらず、ひどい目にあったりもします

なにより、復員詐欺が事件に深く関わるところが、この時代を体験した人ならではの表現でしょう

復員詐欺とは『あなたの身内の誰それは戦地から戻って入院中だ、自分は頼まれて伝言を届けに来た』などと噓を言って、礼の金品を受け取る詐欺のこと

 

作中の時代が古いので現代では使われない用語も出てきますが、見立て殺人や因習に支配された孤島の人間関係など、ミステリー好きにたまらない要素も多々ある作品です

映画やドラマでストーリーは知っているという方にも、ぜひ本作の読破をお勧めしたいと思います

興味を持っていただければこれ幸い🐉

 

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